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私の読書●小説家志望の読書日記②花村萬月『色』

 最近は主に現代作家の小説とルポルタージュを濫読中。ルポルタージュは小説のヒントを求めて読んでいます。いずれもこれまでの私にはあまりなかった読書傾向ですが、「いい小説を書くため」という目的があるとこんなに夢中になれるんだなと感じています。
 私はどうしても自分の小説にリアリズムを求めてしまうので、現代の諸事象に目を向けることは必要不可欠なのです。
 

 花村萬月さんの『色』という短編集を読みました。私小説のようなエッセイのような作品。そのなかに創作論として読める部分があり考えさせられました。
 「まとめる。虚構をつくりあげるということは、書くという行為が主体なのではない。嘘をつくこと自体が主体なのだ。書かれたものは、実は原稿用紙なりデジタルデータなりに定着される以前に脳裏に細部まで書かれている。たとえ言葉が細部まで確定していなくとも核であり繭であるものは、ゆるぎなく存在している。……」

 この「核や繭」なく口先(筆先?)で書いてもうまくいかないんだろうな。「核や繭」がなかったら、「嘘」はつけないんだ。そうんなふうに読めました。


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仁矢田美弥|つなぐ、結ぶ、創る ミモザとビオラ
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