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私の読書●小説家志望の読書日記㉑男性作家と女性(漱石・太宰)
前回のものに追記するならば、女性をある種の憧れの対象として描き出し成功しているのは、夏目漱石でしょう。『三四郎』の美禰子、『それから』の三千代、『こころ』のお嬢さんの描き方など。
鏡子夫人が「悪妻」であるとの評判もあるので、その反作用のように憧れの女性像を求めたのかとも思われますが、今の自分の知識では定かではないですね。
ちなみに、鏡子夫人悪妻説は、主に弟子たちが言ったことで、現在の視点から言えば、むしろ彼女がはっきりものをいう、さっぱりした気性で、かつ比較的開明的な家庭に育ったところからくるものと思われます。でも、案外古臭いところのある漱石が、そういう奥さんの性格をやや苦手としていたことも推測できるでしょう。女性にずばずば言われるのは、いかにも面白くなさそうな感じがしません?
ちなみに鏡子夫人は長生きしますが、その後再婚はしていません。
あと、女性の一人語りを得意とした太宰治ですが、それもやっぱり、あくまで太宰から見た女性たちの理想の姿で、実際の生きている女性とは異なっているように私には思われます。女性スキャンダルばかりの太宰ですが、きっと奥さんの美知子夫人には感謝の念しかなかったのではないでしょうか。この女性、ただものではありません。すでに女スキャンダルまみれだった太宰と結婚したのも、太宰の小説をいくつか読んで、その才能にほれ込んだからだというのですから。夫の情死後も、そのの作品を管理しまとめることに力を尽くしたのだというのですから。私、ひそかにこの美知子夫人を描いた小説をいつか書いてみたいと思っています。それくらい、心惹かれる女性です。
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