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鯵のたたき

初夏頃から店頭に並び始める鯵(アジ)が好きすぎて、この季節になると毎週のようにアジのたたきを食べる。

アジの冊を1㎝幅強の平造りに、すりおろした生姜、小口切りの細ネギ、もしあれば茗荷や青紫蘇。生姜だけでも十分で、その方が多いかもしれない。薬味を食べたいのかというくらいたっぷりとかけて、地元のかめびし醤油の薄口醤油を少し付けていただく。ここは濃口醤油や刺身醤油ではいけないのがマイルール。あと、季節的に新生姜が出ているけど、それではなくてひねた方がピリッとして良い。アジの旨味は薬味に負けないくらい濃いから大丈夫。

実家には近所の魚屋のおじさんが、週に2回、朝の市場の帰りに、冷蔵庫と簡易台所付きの軽トラで鮮魚を売りに回ってくれていた。ネオいただきさんスタイル。薬味たっぷりニンニク抜きのアジのたたきは、このおじさんが起源である。恐らく母がニンニク抜きと伝えたからだと思うけど。

実家に居た頃の夏休みなど長期休暇中に、軽トラの冷蔵庫から魚を選ぶのは私の仕事だった。今思えば贅沢なことだが、毎週二回地魚をたっぷり食べていると、年中手に入る鯛や鮪には飽きていたので、旬の短い魚がやってくると嬉しかった。

特に夏のアジと小さな海老が好きだった。今調べたらその海老はヨシエビ(シラサエビ)という名らしい。それが生きているうちに、お昼ご飯はおどり食いで頂いていた。殻は出汁を取って、晩ご飯にお味噌汁として出てきた。そんなふうに育ったので、魚に対する舌は肥えまくっていると勝手に自負している。(その舌は北の魚に馴染みがないので、西日本の魚に限る。)自然の恵みを享受した田舎の人あるある。

今、住んでいる周辺には魚屋さんが無い。高級スーパーの鮮魚売り場が一番高品質で、魚だけはケチらず良いものを買っていたが、最近近所のスーパーに朝一番に行くと新鮮な天然魚が入っている日があるのを知った。その場でおろしてくれて、高級スーパーの1/3の価格!それに味をしめて、朝イチに行ける時はアジを求めてスーパーへ通っている。お昼は炊きたての白米と一緒に定食にして、夜は日本酒と一緒にいただく。

最低週二回はお刺身を食べないと死にそうになるのでありがたい。特にアジが旬のうちにアジをできるだけたくさん食べたい。そういえば、死ぬ前に食べたいものは?という定番の問いに、私は絶対にアジのたたきと答えている(その際は上記のでお願いしたい)。それくらいアジのたたきが好きすぎる。

器は久美ちゃんの @utsuwayaquwan さんで何年か前に求めた、安達健さん @hitohi_hitohachi 。目にした瞬間から、これはお刺身専用皿に。花崗岩みたいな質感がお気に入り。

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