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本の感想あれこれ

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心に残った本の記録です。
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2021年2月の記事一覧

(本)「ねないこはわたし」(せなけいこ)

誰もが表紙を見れば、「あ、見たことがある」「おばけのやつね」と思い当たるのではではないでしょうか?せなけいこさんの絵本のことです。 本書では、せなさんがどんな風にして絵本を作ったのかが、短い語り口調で紹介されています。 自分がおばけの世界を知りたくなってどんどんできてしまったり(「ねないこだれだ」)、 にんじんを食べて欲しいなあと思って我が子のために作った手作り絵本が本当の絵本になって賞を取ったり(「にんじん」)、 絵を描くかわりに広告の裏紙を切ってノリではっていたり

(本)それぞれの「推し、燃ゆ」(宇佐美りん)

●「推し、燃ゆ」(宇佐美りん、河出書房新社)芥川賞受賞作 読みながら、ふわふわした感じが抜けきらなかった。 小さい頃、公園にある柵の上をバランスを取りながら必死で歩いたような、あんな感覚がずっとした。 これが今時の若い人たちの危うい生活を描いているからだろうと思っていた。もう私にはわからないかもな、と思いながら、「推しは、自分の背骨」ってさらっと言っちゃう感覚を一生懸命想像してみながら、読んでいた。 私の「推し」 そしてふと、重ね合わせてしまったのが、私のお腹の中にい

(本)「きみの町で」(重松清)

「世の中にはもっと大変な人もいるんだから」 小さい頃、周りの大人から言われたことありませんでしたか。 例えば、嫌いなものを食べ残したり、無駄使いをした時とか。 「飢餓で苦しんでる国もあるのよ」 「買いたくても変えない人もいるのよ」などだ。 「うーん、それはわかるけど、私の気持ちはそういうことじゃない…」 と何だかしっくりこなくて、 それがいまだに違和感として残っているんです…。 だけどこの本は素直に、 同じように悩んでいる人もいるんだ、 自分だったらどうだろうって思えた