本当に安全??知っておきたい!液体ミルク!!
『液体ミルクが長期間保存できる理由』
みなさん、こんにちは!
先日、MXTVのモーニングクロスでお話した、「液体ミルクが長期間保存できる理由」について、まとめてみます。
現在子育てに関係のないかたも、液体ミルクを通じて化学に触れてみてくださいね。
〜 徐々に浸透してきた液体ミルク 〜
国内で液体ミルクが販売されて、半年以上が経ちました。
台風15号や19号では、断水で粉ミルクが使用できないお母さんに液体ミルクが配給されるなど、徐々に浸透しています。
ディズニーランドや一部サビースエリアでも取り扱いが始まりましたが、みなさんは見かけましたか?
現在販売されている液体ミルクは、賞味期限が半年から1年。
これは、販売店や災害備蓄用としては短いんです。
しかし、大切な赤ちゃんに飲ませるお母さんにとっては「微生物や病原菌の影響を受けやすいミルクで、しかも液体なのに・・・1年ももつなんて!!(一体何が入ってるの??)」と不安に感じてしまうみたいです。
当然ですよね。
でも、液体ミルクには、心配するような防腐剤や保存料は入っていません。
この賞味期限を可能にしているのは、殺菌や充填の技術なんです。
〜 紙パックタイプの液体ミルク(アセプティック技術) 〜
現在販売されている1つが紙パックタイプのもので、これには「アセプティック技術」が用いられています。
これは、超高温で数秒間加熱して滅菌し、無菌状態で充填する技術で、ロングライフ牛乳も同じです。
特徴は「加熱が数秒間なので、色や風味が変化しにくい」ことです。
実際、このタイプの液体ミルクを販売しているグリコは「白いミルク」を売りにしています。
そして、安全に保存できる理由は、紙パックにあります。
紙パックは6層構造で、そのうちの1層にアルミニウムが使われているんです。
アルミニウムは安全で、紫外線や酸素を通しにくい性質を持っています。
また、加工しやすいこともあり、風味が大切なコーヒーのパッケージなどにも利用されています。
このタイプの液体ミルクは賞味期限が半年。
7.5ヶ月後でも完全無菌のデータがあります。(賞味期限は守りましょうね)
〜 スチール缶タイプの液体ミルク(レトルト殺菌法)〜
もう一つがスチール缶タイプのもので、これには「レトルト殺菌法」が用いられています。
レトルト食品などで、馴染みがありますね。
これは、中身を充填してから、高温高圧で数分間滅菌する方法です。
加熱時間が少し長いため、ミルクがわずかに褐色になりますが、これは、クッキーを焼くと焼き色がついて香ばしくなるのと同じで、安全性に問題はありません。
特徴は「スチールは温まりやすい」ことです。
冬の災害で火が使えない状況でも、カイロや人肌である程度温めることができます!
また、「バリア性や密閉性が高い」ので異物が混入されにくく、衝撃などに対し丈夫です。
製造工場では、缶の底に音を当てて、その振動数を解析して密封性を確認して出荷しています。
これは、底が平らなスチール缶だから可能なんです。(アルミ缶は底がドーム状)
そして、スチールは鉄なので磁気選別ができ、リサイクルが簡単にできる利点もあります。
このタイプの賞味期限は1年。
15ヶ月後に完全無菌のデータがあります。(賞味期限は守りましょうね)
〜 飲み比べてみました! 〜
紙パックタイプとスチール缶タイプ、実際に飲み比べて見ました!
ともにミルキーを薄めたような味ですが、スチール缶タイプのほうが、わずかに香ばしさを感じました(上述のレトルト殺菌法の加熱時間が原因ですね)。
ネットでの評価は様々で「紙パックタイプしか飲まない赤ちゃん」「スチール缶タイプしか飲まない赤ちゃん」に分かれていたので、赤ちゃんの好みだと思います。
〜 「知らないから怖い」はもったいない!! 〜
国内で液体ミルクが販売される前、災害時には海外のものが支給されていました。
断水で粉ミルクが使えなかったり、ストレスで母乳が出なくなるお母さんもいる中、重宝されるはずの液体ミルクが全く使われなかった地域があったんです。
それは「知らないから怖い」からでした。
液体ミルクに限らず「知らないから怖い」より「知った上で選択する」ほうが、より人生が豊かになると私は信じています。