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草の根広告社/父子手帖(ニコニコチャンネル復旧までの臨時更新)

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「ヒグラシ」

 娘と逗子駅に降り立つと秋の気配がした。カナカナカナ。ヒグラシが鳴く声が聞こえた。昨日から鳴いているの、と迎えに来てくれた妻が教えてくれた。

 娘との夏の旅が終わった。無事に連れ帰ることが妻との当然にして最大の約束であり、ぼくの役目だ。緊張して、身体が強ばっていたのが娘を妻に引き渡した瞬間、安堵とともにわかった。大きくなった気がする、と妻が娘を愛おしそうに見つめている。

 子供が母親と離れることで成長することをこの数年で何度も実感している。人は誰もが「二心同体」だった母親から少しずつ分離して大人になっていく。
「パパはばあばと離れて淋しくないの?」
 今回の旅の間にも娘から何度もそう訊かれた。
「さすがに一緒にいた時間よりも離れて暮らしている時間の方が長いからね」
 最初から別々の存在である父親の役目は子供を母親から離していくことなのだなとつくづく思う。

 カナカナカナ。またヒグラシが鳴いた。旅先の町や飛行機で降り立った東京と比べると格段に涼しい。吹き抜けていく海風のおかげだ。日が暮れかけ始めると羽織るものがないと肌寒さを感じるくらいだ。

 夏は終わってしまったんだなと切ない気持ちになる。長いようで始まってしまえばあっという間の短い夏だった。

そうそう、今年の夏も無事に旅を終えたことを心配症の母に報告しなければ。

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