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草の根広告社/父子手帖(ニコニコチャンネル復旧までの臨時更新)
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「夏祭り」
完全に我を忘れていた。灼熱と音楽によるトランス。同じ海辺で生きる者同士の親近感。地域の子供たちの笑顔を守るという連帯感。ここで生きているんだ。ここで生きていくんだという一体感。祭りにはそういう空気を醸成する力があると改めて実感した二日間だった。
宵宮――神社の境内で催された縁日で地元のお母さんやお父さんたちと熱い鉄板の前で汗だくになって焼きそばを作り続けた。子供たちの行列を作らないようにひたすら焼き続ける。境内で繰り返し演奏されるお囃子。次々と差し入れられるビールと酎ハイ。脱水症状にならないよう、冷えた麦茶を挟みながら二時間半で800食焼いた。吹き抜ける夕暮れの潮風が最高に心地良かった。
妻と子供を帰した後は撤収作業。子供会として参加していたぼくらは片付けが終わったらすぐに帰宅したけれど、町内会の方々は朝まで飲み明かして翌朝からの例大祭を迎えるというから愕く。
そう、神事としての本番は例大祭だ。神輿を担いで、山車を引いて町内を練り歩く。問題は災害級の暑さだ。コロナ禍での三年に渡る中止を挟んで、気候が大きく変動しているのを実感する。体温を越えるほどではないにしても「屋外での活動は控えましょう」という熱中症アラートが出ている中、神輿を担ぐ子供らを誰ひとり熱中症にさせないようひたすら水分補給させたり、氷水で首の後ろを冷やしたりという対策に従事した。
この町に移住して14年、去年まではずっと傍観者として見ているだけだった。当事者として汗を掻いたのは初めてだった。娘が町の子供会に入ったことで夏祭りの中に「●●ちゃんパパ」としての役割が生まれていた。改めて気づいたのだけれど地域活動というのは多くの人が「町内会の会長さん」とか「子供会の班長さん」というように肩書きで呼び合う。深いつきあいがある人以外は、本名も仕事も知らないケースがほとんど。冒頭に書いた「我を忘れていた」というのは、ぼくが小原信治という個人でなく「●●ちゃんパパ」という役割に没頭していたという意味でもある。
一方で、それでいいのかなという杞憂もあった。今の日本は単身世帯がもっとも多い。独り身でこの町に移住してきた頃のぼくに地域での役割がなかったように、単身世帯の方の中には活動に参加したくてもする機会がないという人も少なくないのではないだろうか。高齢化と人口減少で続けていくことが不安視されているこの町の夏祭りのように地域活動を維持していくには多様な世帯の参加が求められていくだろう。ならば地域活動に参加したい単身世帯の方々にもその扉をわかりやすく開いていくべきなのだろうと感じた。
地域活動への参加は災害時に孤立しない為の準備でもある。今回のような祭りを通じて平時から地域の人たちと繋がりを持っておくことが有事の時に生きてくるのだろうと再確認した二日間でもあった。
例大祭のクライマックス、子供たちの担ぐ神輿が夕暮れの海に入っていく。去年まで傍観者として見ていたときとは違う感慨があった。地域の当事者として汗を掻かないと見えて来ない景色もあることを痛感していた。
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