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老いてもまだ、食わず嫌いってありますか?(小原信治)

カーネル・サンダースは初老の星か

 カーネル・サンダースが65歳で自身の経営するガソリンスタンドで細々と販売していたフライドチキンのチェーン展開を始めたという逸話は、時に斜陽などと言われてしまう50代にとって一縷の望みと言えるのではないだろうか。還暦で赤いものを着るのは生まれ変わって赤ちゃんになるからだそうだけど、60歳までに今までやってきたこととは違う新しい何かが始められるなんて想像しただけでワクワクするじゃないか(なるほど、ずっと食わず嫌いだった「ワクワク」って言葉はこういう時に使うんだな)。

 ケンタッキー州でドン・シャーリーが生まれて初めてケンタッキーフライドチキンを食べる場面が印象的な映画『グリーンブック』を取り上げた『渋谷のラジオの学校』(2019年3月6日放送)を聴きながら、改めてそんなことを思った。

 一方で、65歳のサンダース自身はフライドチキンを食べることができたのだろうかという疑問もある。ラジオでも話していたけれど、僕自身は27歳のときに以前も書いた3ヶ月で80㎏→50㎏のダイエットをしてから、ケンタッキーとマクドナルドとデリバリーのピザに代表されるファストフードをほとんど口にしていない。それまでさんざん食べていたのに(いや、無自覚に食べまくっていたから太ったとも言える)ジャンクフード特有の〈あの揚げ油〉をカラダが受け付けなくなってしまった。藤村くんが揚げて来てくれたケンタッキーフライドチキンが懐かしく食すことができたのは、味はケンタッキーに近いのに、揚げ油がファストフードのそれとは違っていたからに他ならない。

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