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老いて思いだすのは、いつのどんな夜ですか(藤村公洋)

多くの幸福が思い込みの産物であったとしても

恋人のどんなところが好き?と聞かれて「顔が好き」と答える人ってたまにいますね。
「優しいところ」「家族を大事にするところ」「仕事に一生懸命なところ」などと答える人が(圧倒的に)多いなかで少数派だとは思いますが、そこをあえて顔と答える人は正直で信頼できるなと思うのですよ。
だってね、こう言っちゃ何だけど顔が好きなんて明言するのは「ちょっとバカっぽい」じゃないですか。軽薄っていうかね。一目惚れなんてその最たるもので、見た目だけでやられちゃってるわけだから顔こそが初期衝動、不動の事実ですよ。
とはいえ世間的には外見じゃなく中身を精査するほうがステージも高く、本質を見極められる人ってイメージでもってウケがいいじゃないですか。就職試験で動機を訊かれて「本社ビルの外観が好き」って答える人もいない(だろう)しね。
そんなことは百も承知で、バカっぽいとは思いつつ真意を曲げられない正直者なわけですよ。そんな正直者の真意には強度がありますぞ。強度とはつまり勝者になり得る思考体系ですな。では勝者とは何か。それはもちろん「幸福」に他ならない。
要するに、恋人の「顔が好き」と明言する人ってのは幸福の近くにいる。
といったわけで『渋谷のラジオの惑星』編集後記3月号、はじまりはじまり〜。

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