草の根広告社/父子手帖(ニコニコチャンネル復旧までの臨時更新)
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「母業休暇」
今年も娘との二人旅が始まった。三年前からの夏休みの恒例行事だ。娘との「限りある時間」の中で同じものを見て、同じものを食べ、同じものを感じて、お互いの同じところ、違うところを見つける。心を通わせる。と同時に、妻に「母業休暇」を取って貰うのが目的だ。
ただ、例年出発日となる夏休み初日と妻の誕生日が重なるため、家族での祝宴は前倒しになる。今年は地元秋谷の隠れ家レストラン「Loriga」を予約させて頂いた。娘の同級生のお父さんがオーナーシェフを務める店でもある。子供同士が同級生になる前からお世話になっていたので小学校入学とともに子供同士が同じクラスになっているのを知ったときは愕いたし、親近感が増した。今年は子供会の夏祭りで一緒に焼きそばを焼いたりもしたので尚更に。
歩き慣れた娘の通学路から一本入ったところにある生活圏内なのに、ワインと料理を楽しみながらだと窓越しの空が旅先のように感じられた。
乾杯の後で、娘が妻に手作りのカードを渡した。娘が生まれてからの家族写真をセレクトしたものをコラージュしたカードだ。娘に頼まれてこっそり作った。クラスでも「誕生日係のリーダー」をやっている娘は家族の誕生日もリーダーとしてサプライズを準備してくれるのだ。とてもありがたい。ありがたいのだけれど、難点はサプライズを準備していることを当人に内緒していられないことだ。
「ママ、今日ね、ごはんのときにサプライズがあるよ」
その日も朝から妻の周囲をぴょんぴょん飛び回りながら何度もそう言っていた。
「ありがとう、びっくりしたー、うれしいー」
にもかかわりず知らなかったフリをしてサプライズを受ける妻。満足気な娘。身体の成長だけでなく、心を育む親業――とりわけ母業というのはつくづく大変だなといつも思う。
どんな仕事にも休みがあるのに母親業にだけは休みがないと言われる。たとえ夫が家事を一手に引き受けたとしてもひとつ屋根の下で暮らしている限り子供は何かと母親を求める。傍にいるだけで何かと気になって母親は世話を焼く。母業を休むには物理的に距離を置くしかない。
今年の娘との旅は11日間。妻にとっては11日間の「母業休暇」となる。今年はどんな「自分時間」を過ごせたのだろう。帰ってから妻に話しを聞くのが楽しみだ。