草の根広告社/秋谷日記(ニコニコチャンネル復旧までの臨時更新)
2015年より草の根広告社を月水金配信させて頂いておりますニコニコは
大規模なサイバー攻撃を受けており、
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そのため、毎週月水金に予定しております配信については、
復旧の目途が立つまでは
こちらでの公開とさせていただきたく、ご理解のほど、お願いいたします。
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「浜辺の盆踊り」
記憶の中にいつまでも残るのは「声」なのかもしれない。浜辺に盆踊りの為の櫓が建てられていくのを見上げつつ、そんなことを思っていた。
「早く入ろうよ」
隣りで準備体操を終えた娘が浮き輪を抱えてせがむ。
「じゃあ、いこうか」
ビーチサンダルを脱ぐ。焼けた砂の上を裸足で飛び跳ねるように歩いて波打ち際に向かう。ゆっくりと足を浸す。思っていたより冷たい。身体を慣らしながら膝下、腰、胸までゆっくりと浸かっていく。
「気持ちいいね」
思わず声が出る。娘は浮き輪の中で気持ちよさそうに波に揺られている。海水浴というのは火照った身体を冷やす行為なのだと夏が来るたびに実感する。
お盆前の三連休。南海トラフ地震臨時情報に留意しつつ、地元の海で娘と海水浴をした。バタ足の練習をしている娘を見守りながら首まで海に浸かる。気温と水温の差で身体の芯まで冷えていく。
海から見た浜辺では完成した櫓に町内会の人たちが提灯を吊している。浜辺で二日間に渡って開催される町の盆踊り。コロナ禍と台風で毎年中止になっていたので5年振りの開催になる。前回の盆踊りのとき娘は二歳だった。地元の祭りに欠かさず顔を出す国会議員の方に「せっかくだから」と抱っこして頂いたっけ。娘に「憶えてる?」と訊いてみると「知らない」と素っ気ない。そりゃそうだ。
日が暮れ始めた頃、町にお囃子が響き渡る。盆踊りが始まる。浴衣姿の老若男女が櫓の周りで輪になって踊る。子供たちはポップコーン片手に波打ち際ではしゃいでいる。大人たちはビール片手に言葉を交わしている。盆踊りがご先祖さまたちを迎えるだけでなく、町内の交流を深める為に受け継がれて来た行事だというのを改めて認識する。
夜が深まっていく。浜辺の提灯が漁り火のように海を照らす。今年見送った大切な人たちにひとりずつ想いを馳せる。声が聞こえる。記憶の中にいつまでも残るのはやっぱり「声」なのかもしれないと思う。娘や妻とたくさん話をしておこう。声を聞かせておこうと思う。
夜風が日焼けした肌の上を通り過ぎていく。夏が通り過ぎていく。「声」が通り過ぎていく。明後日は迎え火だ。新盆が明けるまでは水辺に近付いちゃダメだよ、と娘に伝える。