『あの頃は良かった』と振り返る青い春はありますか？(小原信治)

「バカ騒ぎの青春なんてあの頃はよかったと振り返る材料にしかなりゃしないのだ」(小学館ビッグコミックスペリオール『欲望セブンティーン』より)

　居酒屋でジョッキ片手に「あの頃は良かった」と青春時代を振り返るような大人にはなりたくない。16歳の僕は、青春を謳歌するクラスメートたちをそんな風に侮蔑していた。

　そう、ただの負け惜しみだ。僕の青春時代は本当に無様だった。甲子園を目指していたわけでもなければ、バンドを組んでいたわけでもない。片想いの女の子に告白することすらできなかった。やりたくないことは山ほどあるのに、やりたいことはまるで見えていなかった。劣等感と焦燥感の塊だった。