おはようございます。きょうも書いていきます。

初任給で何を買った?という質問に、答えるほどの器量は持っていないが、はじめてアルバイトで稼いだ金で買ったのは?という質問には答えられる。ポーターの長財布とグレゴリーの鞄だ。

それにオークリーのサングラスがイケてる証しだった。高校一年のときに、近所のプールで(といっても国営で大規模だが)監視員のアルバイトをして知った「常識」である。

ワルい先輩たちから教えを請い、ポーターが吉田カバンのレーベルだというのに結びつくまでに、だいぶ時間がかかった。本店にまで足を運ぶ勇気は無いから、渋谷の東急ハンズで手を打った。

それから随分時間をすごした。ポーターのサイフは、早々にナイロンの糸がほつれ、ふやけた魚のようになった。グレゴリーの鞄は持ちがよく、15年を耐えた。そしてこの間の引越しで、ようやく荼毘に付した。本人もホッとしたろう。

鞄の寿命は長い。買うときの気持ちより長い。付き合ってみると意外と続いてしまい、別れるのが難しくなる。だから慎重に選びたいのだが、やっぱり流されて、付き合いはじめたりする。先輩が付き合っているから、とか。

そんなこんなで、先日やっと別れた。ポリ袋に入れるとき、せいせいした。どれだけ持ってくれたのか、すこしは痛んだり汚れたりしてくれたら、もっと早く捨てられたのに。生地は分厚く、シミが目立ちにくい色だった。

後日、新しいのを買った。またグレゴリー。今度は前より明るい色を選んだ。歳をとると伴侶に青さを求めるのは、太陽より月になりたいからだ。なさけない。それでさえなお、若いころの亡霊にとり憑かれている。

今回のは早くケチがつくかもしれない。そうしたらしめたものだ。

きょうも読んでくださって、ありがとうございました。よい一日をおすごしください。

※noteの「土屋鞄の絵本コンテスト 」企画を見て書いた文章です。応募規定には沿ってませんがせっかくなので投稿します。

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