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THE YELLOW MONKEYとミレニアム前夜の私と令和前夜の私

19年前の私は地方在住の高校3年生で、絶対東京に出てやるという思いで、週末も学校に行って勉強していた。学校に行けば誰かしら友達いて、同じように勉強していたので、自宅よりも勉強がはかどったように記憶している。

話はそれよりもう少し前、日本でCDがバンバン売れていた90年代後半にさかのぼる。私は当時NHK-FMで平日の21時から放送されていた「ミュージックスクエア」という音楽番組のヘビーリスナーだった。中村貴子というパーソナリティが最新のJ-POPとリスナーからのリクエスト曲をフルコーラスかけてくれるのが大好きで、お風呂で中断されるのが嫌だったので防水ラジオを買ってもらってお風呂でも聴いていた。

在京のラジオ局が聴けない環境にあった当時、毎日東京から生放送されていたミュージックスクエアは私にとってリアルタイムの東京の空気と、いままで知らなかった新たな音楽を届けてくれるという意味で、ラジオ番組を超えて、未来への指針を示してくれるような存在だった。

そして、THE YELLOW MONKEYのJAMはミュージックスクエアの週間・月間・年間・90年代と、あらゆるリクエストランキングで1位を獲得していた。メンバー全員で番組のゲストにも何回も来てくれて、毎回聴きながら大笑いしていたことを覚えている。
私を含めた当時のリスナーにとって、彼らは番組と切り離せないアーティストだし、思春期の始まりにご神託を聞くかのように毎晩ラジオのイヤホンを耳に入れていた私にとってTHE YELLOW MONKEYは、当時の夢見がちで、根拠のない自信があって、プライドが高くて、挑むような目つきで未来を見据えていた自分を思い出させてくれるバンドなのだ。
その後活動休止・解散してしまったこともあって、バンドの記憶は当時の空気をまとったままいつの間にか蓋をかぶせられて脳の奥の方に仕舞われていた。再集結までは。

そして、再集結から3年を経てのニューアルバム。
いろいろなところで、決してこれは懐古的なものではないと言ってきた彼らの答えが、3年かけて作ったニューアルバムなんだと思う。
彼らは彼らの歴史を以て、メンバー全員が揃って音を出しているのは全然当たり前のことじゃないと教えてくれた。見届けに行かなければいけない。

彼らが『8』というアルバムをリリースしたとき高校3年生だった私は、19年経ってアラフォーになった。東京に来てからの時間のほうが地元で過ごした時間よりも長くなってしまった。
2016年のアリーナツアーに行って、97年の私に「2019年にLIVEでJAM聴けるよ。いま机に貼ってある雑誌の切り抜きの4人もかっこいいけど、19年後に横浜アリーナで観る4人も相当かっこいいし、泣けるよ」って教えてあげたいと思った。

当時抱いていた夢のうち20%くらいは叶ったようなところにいる私を見て97年の私はどう思うだろう。

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