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安芸高田市の幻の美術館

*画像は「安芸高田市立八千代の丘美術館」Webサイトより。青い三角屋根を持つ白いコテージが中庭を囲む。このアトリエ棟で、14名の「入館作家」が個展やワークショップを開き、学校での訪問指導なども行っていた。残念ながら2022年3月より休館している。


安芸高田市に美術館があった?!

都知事選で、広島県なのに注目を集めた安芸高田市。風雲児となったかつての市長のもとで、経費削減のため体育館や美術館、市営団地がなくなった、という新聞記事を見た。・・・え、美術館?!

調べてみると・・・「八千代の丘美術館」という名称で、かわいい三角屋根のコテージが丸く並ぶ、メルヘンのような画像に息をのむ。クリスマスには広島大学ジャズ研究会によるライブがあったりして、イルミネーションがきれいな幻想的な空間だったのではないかと思う。

*「八千代の丘美術館」Webサイトより。2021年のクリスマスに開かれた広島大学ジャズ研究会の演奏会の風景。コロナ禍がやや収まってきた中での素敵なイベントになったのではないか。会場の市民ギャラリーでは同日より「難波英子ワークショップ自画像を描こう展」が始まり、壁一面に自画像が並んでいる。

広島の作家が個展とワークショップを開くユートピア

八千代の丘美術館は、旧・八千代市が観光農園と抱き合わせて2001年にオープンした。15棟の「アトリエ」があり、毎年、14名の作家が選ばれ、それぞれのアトリエで個展を開いてギャラリートークをしたり、ワークショップを開いたりしていた。建物内は展示用のギャラリーの他に、宿泊できて制作に没頭できるアトリエ(プライベートスペース)がある。作家はまるまる一棟を借り受ける形で、一年間をかけて美術活動を展開する、驚きのシステムである。

作家に公的スペースを無償で貸し出す恩恵の対価として、作家は年に3回の展示(4ヶ月の作品入れ替え)と、市内の小・中学校や施設での訪問が課される。美術館は教育委員会の生涯学習課の所管で、こうした学校での訪問指導や施設での講座がそのまま市の生涯学習事業として位置づけられていた。

全国でも珍しい運営スタイルは、広島大学附属中・高等学校教諭で、自らも「入館作家」だった森長俊六氏が詳しく紹介している(「作家と美術館の連携による教育普及活動:安芸高田市立八千代の丘美術館における教育普及活動」『美術科教育学会誌』第36号、2015年3月)。

また、閉館にいたった事情について中国新聞に紹介があった←この記事が読みたくて、「たるポ」(このまち応援プラットフォーム)の会員登録をしました(笑) 月10本まで無料で閲覧できます!

(つづきを書きたいです)



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