ダブル
コーヒーは好き。
深煎りの濃いものを好むので、よくエスプレッソを飲む。
しかも、ダブル。
今朝、駅伝練習の前に時間があったので名古屋駅地下のDOUTORでエスプレッソを飲んだ。
もちろん、ダブル。
ところで、ダブルを飲む時は必ずシュガーを入れる。
すぐには混ぜない。しばらくそのままで飲む。
今日は何キロ走れるだろうか?
ペースは遅れずに行けるだろうか?
などと考えながら飲む。
スマホなんか見ない。
コーヒータイムは神聖な時間。
エスプレッソがカップの半分以下になったら軽く混ぜる。
その時の甘味。
マラソンレースの厳しさを乗り越え、もうすぐ競技場が見える、という頃の安心感に似ている。
もう無理しない、そのまま体が楽しむのを味わう。
エスプレッソがかなり減り、ドロリとした舌触りになる。
ついにこの時が来た。
エスプレッソのきつい苦味とシュガーのえげつない甘さが鎬を削っている。
このドロリを舌に流し込む時の至福。
マラソンレースのゴールに似ている。
———そう?
と、あなたは思うかもしれない。
だったらやってみるといい。
———どっちを?
もちろん———。