#音楽 「もしも僕に」関取花

関取花(せきとりはな)さんの透き通る声でうたが始まる。
声がスゥっと心の真ん中に入り込んで、やさしく広がっていく感じ。

私たち当たり前に日々生活しているだけなのに、
積み重ねる度に切ない現実を目の当たりにしていくことになる。
そういう経験をたくさんするのが、
きっと子どもと大人のあいだの時期なんだと思う。

「努力は大抵報われない」
「初恋なんてまぼろしで」

そんな言葉と花さんの声がひとつひとつ胸に刺さって
濃度の濃い、切ない瞬間のいくつもを思い出さずにはいられなくなる。

私が「努力したから必ず夢や目標が達成できるとは限らない」
そう気づいたのは高校3年生の時だった。
部活に、バドミントンに全て捧げたのに自分の願う結末にはならなかった。
「努力が足りなかった」そう思いたかったけど、それだけでは納得できなかった。

私が部長になってから女子の部員が13人から2人になったり、
どれだけ練習しても練習に来ないチームメイトに勝てなかったり。
怪我とどう向き合っていいのかわからないまま迎えた引退試合、
ちっともシャトルを拾えなくて不完全燃焼でペアの子に謝ることさえもできなかった。

想いの強さとか、どれだけ泣いたか、どれだけ練習したか、
それだけじゃないんだってひしひしと実感したのを覚えてる。

ああ、なんだか話がずれてしまったけれど。
花さんの言葉がスイッチになって、そういう時間が再生されるのですよね。

人それぞれそういう経験があって、みんな大人になっていくと思うんだけど
その時に全部諦めてしまう人とか、大事なこと忘れてしまう人とかいるでしょ。
でもこのうたはそれで終わらないからいいなあって思うの。


日々に潜む絶望の中に希望と優しさがある。
私も、そういうの、忘れたくないなって思った。

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