妊活とはなに?いつから始めたらいいの?「妊娠前の〇日間」に注目!
妊活準備を応援する看護師の矢込です。新婚カップルの妊活準備をサポートするカウンセリングサービス「Smart Nurse」を運営しています。
これまでにお受けしたカウンセリングで一番多い質問は断トツで「妊活って何ですか?」「妊活って何をしたら『始めた』って言えますか?」です!!今回はその質問にお答えしたいと思います。
「妊活」の定義
妊活とはなにか、じつは医療の世界でも明確な定義が定められていません。ただ一般的に病院で「妊活はしていますか?」と質問する場合には、「コンドームなどの避妊法を使用しないで、性交渉をすることはありますか?」と尋ねていることが多いです。
一方で、辞書で「妊活」を調べるとこう書かれています。
私たち医療者と辞書とでは、妊活の意味が微妙に違います。定義があいまいなうえに医療従事者の使い方と一般的な使い方が違っていることが、妊活とはなにかという質問を想起させているのではないでしょうか。
いまのところ正解がない「妊活」の定義ですが、この記事では辞書の定義を採用したいと思います。ちなみに辞書の定義している妊活は、医学の専門用語では「プレコンセプションケア」といいます。
妊活はいつから始めたらいいのか?
そうすると妊活ですることは、次の3つになります。
妊娠についての知識を身につける
体調管理を心掛ける
出産を考慮に入れた人生設計を考える
1と3は、たとえば結婚したときなど、人生の節目で調べたり考えたりすることが多いでしょう。それに、いつ行ってもいいものです。みなさんがとくに気になるのは、2の「妊娠に向けた体調管理」ではないでしょうか。これをいつから行ったらいいのかについて、考えていきましょう。
いつから妊娠に向けた体調管理をするとよいのかを考えるためにまず抑えておきたいのは、「なぜ妊娠に向けた体調管理が必要なのか?」です。先ほどご紹介した「プレコンセプションケア」では、3つの目的があげられています。
不妊や妊娠・出産時のトラブルを予防する
赤ちゃんの病気を予防する
健康寿命を延ばす
今回は妊娠と直接関連する1と2に注目して、体調管理が必要な理由を見ていきましょう。
「不妊や妊娠出産時のトラブル予防のための体調管理」から考える、妊活を始める時期
妊娠を望んでいるのになかなか授からない場合、さまざまな原因を考慮して検査や治療が行われますし、検査をしても原因が明らかにならないことも少なくありません。一方で、原因が明らかで予防が可能なものもいくつかあります。
たとえば、性感染症の一部は感染したことに気づかず長時間治療しないでいると、卵子が卵巣から子宮に移動する際に通る卵管が詰まってしまい、卵子が子宮にたどり着かないことがあります。また、太りすぎややせすぎは、女性の場合はうまく排卵ができなかったり、男性の場合は精子の質や量が悪くなったりという影響を与えます。妊娠出産時のトラブル予防も同様に、必要な検査と治療を早いうちに受け、生活習慣を整えることが大切です。
これらを踏まえると、いつから始めるかという問いに対する答えは、「いまから」が正解でしょう。思い立ったが吉日です。
とはいえ、具体的にいつ妊娠したいかが決まっていない人にとって、いまから将来の妊娠に向けて体調を整えるのはさまざまな面でコストが高いかもしれません。「もう少し具体的にいつから妊活を始めたらいいか」の答えを導くためには、赤ちゃんの病気予防のための体調管理について知ると、ヒントが見つかるかもしれません。
「赤ちゃんの病気予防」から考える、妊活を始める時期
妊娠中の過ごし方が赤ちゃんの健康に影響することは想像しやすいかと思います。医療の世界でも、妊娠から2歳ごろまでの「人生最初の1,000日間」が、赤ちゃんの生涯の健康を大きく左右するとして注目されています。これと同様に注目されているのが、「妊娠前の100日間」です。
妊娠前の100日間が注目される理由はいくつかあります。たとえば、赤ちゃんの神経の病気予防に欠かせない葉酸サプリメントの摂取は、妊娠する前からの摂取が推奨されています。葉酸は水に溶けるビタミンのため、尿などと一緒に排出されてしまいます。体内で十分な量を保てるようになるには、妊娠前からサプリメントを摂取し続ける必要があるのです。
また妊娠前の女性のやせは、赤ちゃんが基準よりも小さく生まれる低出生体重児との関連が指摘されています。やせている女性が適正な体重に近づくためには、数か月が必要でしょう。
精子と卵子が作られる過程をみても、この期間はとても大切です。精子の場合、精原細胞という精子のもととなる細胞が成長をはじめ、受精能力をもつ精子に育つまでに約74日かかります。卵子の場合も、卵子のもととなる卵原細胞が受精できる卵子になるまで2~3か月を要します。
このほかにも、赤ちゃんの病気予防のために妊娠前の100日間で準備したいことはたくさんあります。
まとめ
今回は妊活とは何か、いつから始めたらいいのかについてご紹介しました。必要な検査や治療については「思い立ったら吉日」ですが、みなさん忙しくてなかなかすぐには取り掛かれないと思います。ぜひ子宮頸がん検診や会社の健康診断など医師と話ができる機会に、相談してみてください。
たとえば「8月以降だったら妊娠してもいいかな?」といった具合に、具体的にスケジュールが立てられる人は、ぜひ「妊娠前の100日間」を有意義に過ごせるような計画を立ててみてはいかがでしょうか。今後、この100日間の具体的な過ごし方をnoteで紹介していきますので、参考にしてみてください。