【ChicagoMarathon】Wheelchair REPORT②レース当日編
〈マラソン スタート前〉
シカゴマラソンの朝は早い。そして寒い。(当日早朝は3℃)
車いす男子は朝7:20にスタート。
そのため朝5:30頃、宿泊先ホテルからスタート地点まで向かいます。
車いすマラソンの選手は、日常生活では日常用の車いすで移動をし(選手たちは"常用"と呼んでいます)、マラソン時は"レーサー"と呼ばれる競技用の車いすを使用します。
そのため、スタート会場までは常用で移動をし、レーサーは別で会場まで運ばなくてはなりません。ここで活躍していたのが、大会ボランティア。
帯同スタッフがいない、車いすアスリートのレーサーをスタート会場まで運ぶのはボランティアが担当します。
ここで意外だったのが、エリート車いすアスリートでも帯同スタッフがおらず単身で参加している選手が多かったことと、レースで使用するレーサーをボランティアが触り、運搬していることに驚きました。
私も渡辺選手のレーサーを運搬させていただきましたが、この後すぐにレースで使うアイテムだけに、とても緊張しました。
レーサーは上の写真のように、前輪部分を持って運搬します。
朝5:30 車いすアスリートとボランティアが一体となってスタート会場を目指します。
とても長い、車いすアスリートとボランティアの列が、シカゴの街並みに出現。ボランティアと会話するアスリートも多く見られました。
スタート近くに車いすアスリート用の待機スペースが用意されていて、
(今年はスタート近くの美術大学)
ほとんどの選手が室内にレーサーを持ち込み、レース用の準備をします。
車いすマラソンの選手は給水はハイドレーションから摂取するため、
(これも今回始めて知りました)
補給ドリンクをレーサーにセットしたり、ゼッケンを取り付けたり、といった準備をします。
最後に、車いすの車輪にポンプで空気を入れます。
選手によってどの程度の圧にするか、それぞれ違うそうです。
〈スタート直前〉
移動用で使用した常用車いすを待機スペースに置いて、そこからはレーサーでスタート地点へ。
大会スタッフのテキパキとしたアナウンスのもと、昨日のテクニカルミーティングで説明があった順番通りに選手が並び、スタートラインへ移動します。
↑ スタートを待つ、洞ノ上 浩太 選手
↑ スタートに向かう、渡辺 勝 選手
今年のボストンマラソン優勝・ワールドマラソンメジャーズ前回シリーズ覇者のDaniel Romanchuk選手の入場時には"前回シリーズチャンピオンの入場です"と盛大にアナウンスされ、拍手のなか、入場していました。
これも日本ではあまり(ほとんど?)見られない光景です。
↑ Daniel Romanchuk 選手(USA)
↑ 車いすアスリート 整列の様子
↑ Team ILLINOISの女性アスリートたち。カッコいい。
↑前日のテクニカルミーティングでの説明を担当していた大会スタッフの女性が、よく通る大きな声で、テキパキとアスリートの整列とボランティアへの指示出し。
スタート前、今年のアメリカ国歌斉唱は、jana Kennedy-Longさん。
アメリカ人歌手かと思いきやなんと、アルペンスキーのスペシャルオリンピックスのアスリート・・・!
Chicago Access Network Television(CAN-TV)というシカゴの公共ケーブルテレビでスポーツ番組のプロデューサーも務めているそう。
来年2020年にスペシャルオリンピックスがシカゴで開催されることからの抜擢だと推測されますが、これもまた日本ではなかなかない計らいではないでしょうか。
〈スタート後〜フィニッシュ〉
車いす男子、車いす女子、ハンドサイクル、障害者の部、マラソンとスタートが続きます。
マラソンスタートはWAVE制でWAVE3まであります。
WAVE1だけでDブロックくらいまでがスタートしていました。
(Dブロックにサブ3.5のペーサーがいました。シカゴマラソンのレベルの高さがうかがえます。)
WAVE1のスタート後、スタートエリアの横断が許され、車いすアスリートの関係者たちはマラソンのため整列している市民ランナーたちを間を通り抜け、フィニッシュまで徒歩で向かいます。
男性車いすアスリートはおよそ1時間30分でフィニッシュするため、アスリートのスタッフが沿道で応援することはほとんどの大会で難しいものなのだと分かりました。
先ほど、待機スペースに停めた常用の車いすは、ここでもボランティアがフィニッシュまで運んでくれます。
シカゴマラソンでは、スタート地点とフィニッシュ地点が同じGrant Parkのため、移動がとてもスムーズです。
ボランティアが慌ただしく常用を運んでくれているうちに、あっという間に
車いすアスリートたちはフィニッシュしてきます。
フィニッシュに駆け込んでくるスピードは想像以上のもので、速すぎて、
写真に収められませんでした・・・。
それくらい、速いんです。
↑ 優勝したDaniel Romanchuk選手。
車いすマラソンでは、車いす前部に時計が取り付けられています。
フィニッシュ後は、車いすアスリートも市民ランナーと同じように、
フィニッシャーメダル・アルミブランケット・果物などの詰め合わせ袋(アメリカのレースでは渡されることが多い)・シカゴマラソンオリジナルビールなど、たくさんのアイテムを受け取ります。
かなりの量のため、車いすアスリート一人にボランティア一人が付き添い、
ゴール後のアスリートエリアまでボランティアが運んでくれていました。
↑ フィニッシュ後の洞ノ上選手と荷物を運んでくれているボランティア
選手は身支度を整え、ドーピングコントロールの検査対象選手はドーピングスタッフと共に、ホテルまで戻ります。
帯同スタッフがいない車いすアスリートは、自身は常用に乗り、膝に荷物を置き、片手で常用を操作しながら、もう片方の手でレーサーを自身で運搬している選手もいて、車いすアスリートがWMMに単身で参加するということは、移動面で大変な思いをされながらの挑戦であることを知りました。