「景色」に寄り添い尽くす
最近TUBEがテレビにたびたび出ていて、「あー夏休み」などをよく耳にし、私はふと、あの夏に見た、あの景色のことを思い出した。
2009年夏、私は横浜スタジアムのスタンド最上段にいた。
TUBEライブの現場に入っていて、酷暑の中野外で、朝から夜中まで準備や作業に追われていた。夜中は「明かりづくり」という照明のデータをひたすら打ち込む作業がえんえん続く。(照明の変化をあらかじめデータに打ち込んでおくことにより、公演中はボタンを歌に合わせて押すだけで、照明が変わる)
時間があったので、横浜スタジアムのスタンド席の一番上、最上段まで行ってみた。
そこから見下ろす夜の横浜スタジアムに立つステージは壮観だった。
真っ暗闇にステージが光り輝き、そのふもとでは、たくさんのスタッフがステージを見つめている。
壮大な景色に感銘を受けた23歳の私は「俗世界と、たもとを分かつ」と腹をくくり、決意の表れとして、左耳の軟骨にピアスを開けた。(若気の至り・・・)
そういえばいつも、そういう「景色」を求める人生だったのかもしれない。
ディズニーランドのパレード
ジャニーズのコンサート
箱根駅伝の選手と、沿道と、中継車
国立競技場の聖火台横から見えるトラックと新宿の街
競馬場のターフとスタンドと検量室
野球のヒーローインタビューで選手の背景として置かれるパネルを支える青年たち
トレランレースならではの、サポートがいて、カウベルが鳴るエイド
そびえる山々
わたしの人生は「最高の景色」を探し求める人生、なのかもしれない。
ちなみに自分の職業だと思っている「裏方」を英語辞書で引くと「behind the scenes」とある。
景色の“背後”にある存在。
コロナ禍で先の見えない我が人生かもしれないけれど、最高の景色に寄り添い尽くす、人生でありたい。