2ndアルバム『羽の意味さえ』セルフライナーノーツ(後編)
自分の作品を自分で解説しちゃいます!企画!2ndアルバム編後編!!!
ということでやっていきます。
前編(1〜5曲目)はこちらです。
今回は6〜10曲目の解説です。
前回、前々回同様、楽曲を聴きながら楽しんでいただけると幸いです。
サブスクへのリンクを貼っておきますね。
↑Spotifyの方はこちら。フリープランでも聴けるっぽいですよ。
↑Apple Musicの方はこちら。
sweet sweet happiness
私がバンド活動してた時代に作った曲のリメイクです。原曲はちょっとモチベ下がってた時期に作ってしまって、ライブで一回しかやらないまま解散してしまいました(笑)。なのでかわいそうな曲だなーと思って、ここで練り直したというわけです。
当時は日本語詞でメロディーもちょっと違ってたんですが、思い切って全部英詞にしてラテン系のリズムを取り入れてみました。パーカッションも入れてみたりね。
歌詞はいろいろ元ネタがあるのですが、大体は英語の単語帳や参考書から構文を引っこ抜いて作っています。
意味よりも英単語ひとつひとつが持つグルーヴや、ミクちゃんに再現させた『日本人が歌った英詞』の持つ、日本人にしか出せない独特のグルーヴを大事にしました。"You got a sweet sweet happiness so don't you?"の部分のグルーヴが好きで。Ⅳ→Ⅰなのに謎の帰結感あるんですよね。
こういうトンネルをくぐるタイプの曲どっからきたんだろ?マッドカプセルマーケッツかな?多分その辺っぽいですね。聴く人を置いてけぼりにする感じ、ダメだとはわかってても好きなんですよねー。いやダメじゃないか。こういうひとクセある曲、ライブだと知らないとノリにくいけどアルバムの中程に入ってるっと刺さるかなーと思って。
たくさんパワーコードも弾けたし、よかったよかった(
船上のパレード
この曲は中学生の時、まだ音楽をやってなかったときに頭の中で作ってた曲です。ええ厨二病です。楽器も何も弾けないときだったので、メロディーを思いつくままにふんふん歌ってるだけ。それが数年経ってDAWのチカラで具現化されたわけです。
当時はここまでパンク調にするつもりはなかったんですけど、思い切ってやっちゃいました。
歌詞なんですけど、2022年4月に北海道で起きた『知床遊覧船沈没事故』がテーマになっています。
婚約していたカップルが同乗していて二人とも亡くなってしまったということで、その無念さ、やりきれない感情を私が代わりに歌に込めました。
もし仮にずーっと意識がある状態で沈んでいったのなら、何を思ったのだろう。
もし翼があれば助かっていたのに。
本当に運命というのは残酷なもので。
天国だなんて贅沢は言わない。せめてパラレルワールドが実在するのならそこで幸せになってもらいたい。
微力ながら、私が信じる音楽のチカラでその船を掬い上げ、結婚式を開きました。
雨のFRIDAY
この”タド!タド!タド!”みたいなドラム、どっからきたんだろうと思ったらシャカラビッツですねたぶん。
ちょっとシステマチックに作った曲というか、とにかくいいメロディーを作ってそれをずっと大事にしていく曲にしてみました。
実はこだわったポイントというのが、とにかく余計なプレイを入れないようにしました。ギターソロっぽいのが入ってますけどね。
後から聴いてみるとちょっと無味乾燥すぎるかな……と思ったりもしましたが、とにかくメロディーのキレ・反復、場面ごとの起承転結感、クリシェのなめらかさ、歌詞の神妙さなど、音楽の根幹にある要素で勝負しようと思って、ポップス性を醸しつつも薄めの味付けになっています。
歌詞のテーマは『発達障害者の生きづらさ』です。
私もそうなんですが、軽度の発達障害がある状態で社会での順応を余儀なくされている人、たくさんいるんじゃないでしょうか。
学校や職場でもうまく馴染めなくて、まさに金曜日まで泳いでいるような感覚。その金曜日もやりきった感情で迎えるものではなく、あれこれと嫌なことを思い出して不安になって、土曜日も日曜日もずっと曇り空。一体いつまでこれを繰り返すんだろう。
それでもがんばっていれば、きっと素敵な未来が待ってるよ!という曲です。暗っ!!!
ちなみにこの曲、最後は謎のノイズで終わるのですが、次の曲の音量が大きくなったと錯覚させるためのちょっとしたギミックです。メタルゾーン君の唸り声です(
港区女子
はい出ました。問題作です(ぇ
この曲、実は1stアルバムに入れようと思ってて。ちょっと世界観が違っててやめといたんですけど、2ndでも浮きまくりですね。
ジャンルは『メタルではない何か』です(笑)。ちょっと歌謡曲特有のビブラートも入れてみて邦楽っぽさと”X JAPAN”っぽさを意識してみたんですが……どうでしょうか?
とにかくテンポが速くて右手が追いつかない!!レコーディングでは苦労しました。ピロピロしたギターソロなんて弾けないのでピアノ入れてみたりして。それはそれで良かった気がします。メタルゾーン君も大活躍でした。
歌詞にはとにかく港区の地名を入れていきました。そんなに港区に出入りしてるわけじゃないけど。歌詞のグルーヴ的に入れられなかったのですが、私の推しスポットは新橋です。六本木とか麻布とか確かにオシャレなんですが、なんだかんだ新橋が一番落ち着いたお店が多いような気がしますよ(なんの話だ)。
あと、最後の"ひとりの赤坂〜〜"ってとこ、とある曲のオマージュなんだけどわかる人いるのかな?
とにかく、何で港区女子とメタル(のような何か)が融合しているのかは自分でもよくわかりませんが、こういう誰かを嘲るような曲はどうかと思います(笑)。
my new gear…
はい、このアルバム最後を飾るのはこちらの曲です。
もうわかりやすく機材紹介の曲です。いろんなエフェクターを使って録りました。
楽器やってる人からするとクスッとなる部分、多いんじゃないでしょうか?
ほんわか甘いポップロックなんですが、実はテーマとしては結構ダークで。
『決してなくならない自己顕示欲』を曲にしてみました。
様々なハードウェアを手に入れて、それに囲まれて。
好奇心よりも先に自己顕示欲がきてしまって、SNSで"my new gear…"と呟いては、他人からのいいねで心を満たそうとする……
音楽の本質とはかけ離れた、人間の終わらない欲望をテーマにしています。
よく試行錯誤が終わらない状態を"沼"などと形容しますが、本当に好きなものが何なのかわからなくなったり、他者からの視線や羨望に振り回されてしまい、最後は結局沈んでいってしまう、と。
楽器をやってるみなさんも、お金の使い過ぎには気をつけましょう。
今持ってる機材をキレイに掃除してあげるだけで物欲がおさまったりしますよ。
あとは今持ってる楽器・機材を使った作品をアウトプットすること。
所詮は道具ですから。使ってあげると一番喜びますよ。
はい!というわけで、前後編に分けてお送りしました今回のセルフライナーノーツ、いかがだったでしょうか?
自分で書いてて懐かしく感じる部分もあり、改めてこの作品が好きになりました。
前にどっかの記事で書きましたが、自分の曲を自分で聴いて受ける感動と、他人に聴かせて与える感動とではとんでもない差があると思っています。
そのスポイルされる部分をできるだけ小さくしたいがために、今回のようなセルフライナーノーツがあるというわけでして。
こんなこと言うのは野暮かもしれませんが、実はとんでもないこだわりが随所に散りばめてあります。
それはソフトやハードによるものではなく、あくまで芸術的なもの、音楽的な創意工夫なんです。
音楽はメロディー、リズム、コードの三要素で成り立っていて、時間軸というキャンバス上で歌詞や音色などでそれが色づけられて、振動や信号となって耳に届くと。私は今までも、そしてこれからもずっとそういう認識でやっていきます。
3rdアルバム、期待してていいですよ。絶対後悔させませんから。
かおりP
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