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壬生義士伝

私が所有してる友の会カードには振られてばかりおりまして、望海さん、観たくてもなかなか観させてもらえませんでしたが、縁あってこんな千秋楽間近にお誘い頂いて、観ることできました。
一昔前は、日本ものなんてチケット売れなかったのにな!(捨て台詞)


「壬生」と聞いた時点で、新撰組ものだと気づけって感じですが、想像だにしておりませんでした。ポスターの具合から、勝手に「恋の大和路」のようなものだと思ってました。
幕開いて、まず鹿鳴館で「あ?」となり、斉藤一出てきたとこで、「んあ?!」となり、
「あぁ、壬生か💡」
となりまして。鈍いな。

話の筋としては、よかったです。面白いという類の話しではないので、そこのところはアレだけど。
ただ一つ解せなかったのが、妻子を食わせるために脱藩して京に上り、新選組に入った貫一郎。人を切るのは自分が死なないため、死なずに金を稼いで妻子に送るため。守銭奴と言われようとも、人を切って金を稼ぐ。とにかく、妻子の為に死なぬことが、一番の義である男だと思ってみていたのだけど、最終局面で、武士として、幕府に扶持を頂き働いてきた義を、天皇陛下に盾突くつもりはないけれども、義を通すとして、鳥羽伏見(だよね?)の戦場を死に場所と選んだ、その選択が。
え?そこで変節するの?と思った、の。
武士である以上、自分が選んだ道というか、主君に対して忠義を尽くすことが、自身の本懐なのだろうけど、でもこの人の場合は、それよりも上位の義を尽くす相手は、妻子であるように見えたから、むしろ玉砕覚悟よりも逃げるのではないか?それが自身の義を通すことじゃないのかなぁ?と思ったのだけど。

ただ、結果として、この戦役では死なずに、南部藩の藩邸に逃げ込み、幼馴染に盛岡に帰りたいと言っているのだけど。
一度は、死ぬことで義を通すと決めたけれど、死を選んだ場所で生き延びたから、幕府に対する忠義は果たしたという、判断だったのかな?とも思ったけど、本当に故郷に帰るつもりで居たのかはなぁ…?どうもそうではないような気も。

まぁ、ともかく、愛する人の為に何をしても生きるという、それだけの強い意志を持った人が、負け戦となったとたんに、その主への義を通して死のうとする、というのが、男にとっては美学なのかもしれないけど、他人は皆死ぬことを厭わないとしている中で、生に固執していた人が、だよ?


それにしても、望海さんいい声してるなぁ(知ってたけど)
ショーの時軽やかな音程よりも、お芝居の押さえた音程のが、とてもよろしかったです。
お芝居も、腰の低さと人の好さげな愛想だけに、表面的には見せてるけど、その下の表情というか激しさというか、厳しさを、ふと見せる塩梅が。いやいや、上手いなぁと。


もう宝塚から離れて久しいので、役名離れた生徒さん方は、誰が誰やらなのですが、アーサーの使い方、ちょっと変えたほうがいいんじゃないかなぁ?と思った。まぁ、前回観たのがサンジュストだったから、なんというか役柄のイメージが同じような感。それ以外での彼女のイメージも、あんな感じ。
分かりやすい色男、斜に構えたような、水が滴るとかいう枕詞が似合いそうな、ある意味やんちゃ的な。
多くのファンとか、初めて宝塚を目にする人とかにとっては、分かりやすい惚れやすい親しみやすい(?)アイコン的なイメージになるのだろうけど、(実際その方がおいしいだろうと、フロントは踏んでいるのだろうけど)、番手も順当に上げてきているから、違った毛色を付けてあげたほうがいいんじゃないかなぁと老婆心。


ショーはただただ忙しく、目が回りました。そして、誰が誰やらなので、その辺は気にせず。
ただ、なんか毎回(って望海さんの本公演観るの2回目)、娘役ちゃんのオープニング衣裳が可愛いよなぁ、雪組って思ってる。

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