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友達も一緒に歳をくっていくんだ

ひとりで生きていくことについて前回触れたけれども、その後、衝撃的な出来事があった。

ある日、40代独身の同僚が突然会社に来なかった。打ち合わせに一緒に出る予定をしていたので、大層困惑はしたけれども、なんとか資料を準備して打ち合わせに備え、無事に終わらせることができた。

翌日、会社に来た彼から話を聞くと、財布と鍵を落として、夜中だったので家にも帰ることができず、紛失届を出しに行った警察署でカードも止めてしまったために、携帯に入っている支払いアプリも、お金も身分証明書もない状態で朝までコンビニをはしごしながら、暖を取っていたという。

靴下も濡れていて風邪気味だという彼を責める気持ちにもならなかったけれど、疑問符がいくつも頭の中に浮かんだ。 家族は? 生まれも育ちも東京でしょう。友達はいないの? なんで警察でお金借りなかったの?

それを直接的に彼に言うわけにはいかないので、「セーフティネットを作った方が良いのかな」と問いかけてみた。すると、「そうなんですよ。よく考えて、鍵のスペアの隠し場所を作りました」という。

「ちゃうやん。鍵のことだけちゃうで! 病気になったらどうするん?」
思わず関西弁で畳み掛ける。
ため息をついて彼は言った。
「今回のことでよくわかったんですけど。僕ってプライドが高くて、財布なくしたとか誰にも知られたくなかったんですよね。なかなか人に頼るの難しくって」

・・・なんのプライドやねん! そんな腹の足しにもならんようなものは捨ててまえっ!!と心の中で突っ込んだのは、ここだけの話。

そこで再度、自分に問い掛けた。真夜中に財布と鍵をなくしたとして、頼れる人はいる? 病気になった時には?

幸いにも、私は家族が多く、離婚という人生でも最も厄介な出来事を潜り抜ける時にプライドも何もかもかなぐり捨てて、周囲に頼りまくったという経緯がある。頼るというのは相互関係だと思うから、私が頼りまくったということは、相手も頼ってくれると信じている。

だけど、もっともっと歳を取って、兄弟がいなくなり、子供達も遠くに住んでいたら? 頼られた人に頼って欲しくないと思っていたら断れる?(たとえば元夫)

友達をセーフティネットだとは思ったことはないけれど、人生100年時代、何が起こるかわからない。そういう時に忌憚なく相談できる(してもらえる)相手がいたらいいなぁとは思う。

二つ目については、まだ分からない。元夫が借金の保証人になってよと書類を持ってきたとしたら、グーでパンチできる自信はあるけれど。

とにかく、お互いにどこまでの関わり合いを持つかは別にして、友達って絶対に一緒のタイミングで歳を取っていくという意味で分かり合えるし、大切だなと思う。
たとえば最近、ちょっと照明を落とした居酒屋に行くと、メガネをずらしたり、メニューを遠くに掲げたりしている友人たちを見るにつけ、一緒に年取っている!!と愛おしく思えてしまうのだ。

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