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【No.42】夢ではいまだにタバコを吸っている

また台風が発生したみたいだ。
3週間ほど前、台風の影響で東海道新幹線が止まってしまい、週末を埼玉の新居で過ごした。長男は京都の自宅に帰っていて、娘は2人とも京都にいるから、一人ぼっちで、そんなにひどい雨が降っているわけでもないが、車もない、電車が止まるかもしれないから遠出もできない中で、私が何をしていたかというと、ネットフリックスを一日中見ていた。
「Good Doctor」というアメリカのドラマで5シーズン、各シーズン20話あるから100話、4500分もの時間を私はドラマに朝も晩も費やそうとしていて、二日目の夜中にハッとそのことに気づいた。

ああ、またやってしまった。掃除も家事もせずに、ご飯だって冷凍のご飯に納豆という、食べるのに5分とかからない食事でひたすらテレビの前に座り続けるということを。運動だってサボっている!毎日、ずっと欠かさなかったのに。
これはいけない。最低賃金のところで働いたとしても、これだけの時間を働いたら、稼げたのではないか!?(←基本的に貧乏性なもので、こういう考え方になってしまう)
気分を変えなくては、と美容院の予約を取って、日曜日には無事に誰かと話をし、テレビから離れることができた。

子供とか家庭とかいうものがなければ、私は依存体質というのか、そういった事態に陥りやすい。面白い本を読み出したら、寝る時間も惜しくなってしまう。だから滅多に分厚いシリーズものには手を出さない。それでも、時折、気がついたら朝だったということもあるから、活字中毒の度合いもかなりひどい。

人間関係でもそうかもしれない。昔、学校事務で働いていた時に平日のほとんどの時間をスコットランド人の10歳年下の男性と過ごした。
彼は、年齢の割にしっかりしていて私に時折、アドバイスのようなものをくれた。

私は、若い頃、1日にタバコを2箱も吸っていて、いまだに吸いたくて夜中に目が覚めることがある(!)。彼にはそれがない。いくら吸っていても、アルコールもかなり飲むけれども、依存することがないという。そんな彼は私のことを「Addictive(依存性)」だという。
人間との関わり方にしても、当時、私は仲良くなった先生とずっと一緒にいて、授業が始まる前も、終わってからも、時には授業中にも手招きされて、絡み合っていた。
土曜日の授業の終わりに「明日何しよう」と計画を立てている私たちを見て、彼はため息をついて「Addictive」と言ったのだった。

そういえば、彼の距離の置き方は奇妙で、全てを相手に委ねていた。私が一緒にコストコに買い物に行こうというと「いいよ」というし、同様の誘いは彼からも受けるけれども、彼からは近づいたり遠ざかったりすることはなかった。もしかしたら、日本人の既婚者、しかもおばさんとどんな付き合い方をしたら良いのかわからなかったのかなと思っていたのだけれど、別の男性の同僚と話をした時も同じようなことを言っていた。
みんな、彼のことが好きなんだけれど、仲良くなっても距離が詰まらない。彼は、相手が距離を詰めてきた時だけ距離をきっちりと同じだけ縮めるし、大概の人は相手がそういう態度だったら、一方的にどんどんと詰めていくことはしない。

私はたくさんの友達はいらないと思っていて、それは私が人付き合いが下手くそだからできないと思い込んでいた故だったのだが、彼を見て少し学ぶことにした。そして、なんとなく自分の駄目なところを理解できたような気がした。

元夫との離婚に至るまでの歴史を見てもわかるけれど、私は誰かと付き合い始めると、嫌になってしまうまで一緒にいる。どうしても甘えてしまうというか、しなだれかかってしまうようなところがあって、不毛な関係だと思っても、思い切ることができなかったりする。
自分に確固たる自信がなくて、誰かに常に手を差し伸べてもらわなくてはいけなかったり、逆に自分より駄目な人を横に置くことで自分がしっかりしているように見せていたりするのではないか。もっと芯を持たなければ。

1人でそうやって立とうとしていた時に支えてくれたのは、その時、依存していると言われた友人たちだった。
そんなこともできるの、すごいね。どこに行っても、笑ってるだけで、あなたは大丈夫。
私の大したことのない能力を褒め称え、あまつさえ私の人との接し方も賞賛した。

あの時期、子育てを離れて学校に復職をした時、待遇はひどかったけれども、学びは大きかったなと思う。あの時に出会っている人がいなければ、今の私はなかっただろうから。
そう思うと、依存も悪くないんじゃない?と思うのは・・・やっぱりダメか。ドラマ100話はないよね。

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