【No.41】性教育はいたしません
子供達が大きくなるにつれて、抱える問題は大きくなる。
ちゃんと寝てくれない、偏食をする、人見知りですぐに泣く、癇癪を起こす、そういった家の中で解決できた問題が、友人関係のもつれやいじめといった家の外の問題へと発展し、進学、就職、恋人と親にはどうしようもない手の届かない問題になっていく。お金のかかり方も、年齢とともに桁違いに大きくなっていく。
我が家には、大学生の息子と、高校生の娘、中学生の娘がいるけれども、きっと普通の家庭以上にオープンにいろんなことを話してきた。話さざるを得ないといった方がいいかもしれない。子供たちは幼いときより親の不仲を目の当たりにしてきたし、私が話すことに対しても大概、耐性ができている。
親が子供の前で喧嘩をするのはいけないという意見もあるけれど、私たちの喧嘩の発端はそもそもが息子と彼との喧嘩に始まった。力のアンバランスを正すために私は割って入って、元夫に立ち向かった。それ以降の私たち夫婦のギクシャクした関係についても、包み隠すことはなかった。元々、私は嘘をつける器用さを持ち合わせていないし、隠したところで子供たちは気づいてしまうと思う。
私は4人兄弟の末っ子で、思春期になった頃には祖母が家を切り盛りしていて、あまり両親との会話を覚えていない。だから、我が子たちとの間でもタブーなく、なんでも話をしてきた。娘の生理のこと、息子の恋のこと、私の更年期のこと。
子供達に性教育を施した覚えはないけれど、長男は物心がついた頃に妹が生まれ、オムツを換えるのを見ているうちに「何か違う」と思ったらしい。子供達がおとなしくお風呂に入っているなと思ったら、長男が風呂桶の少し高い部分に娘を座らせて、足の間を観察していた。長女は、くすくす笑いながら、長男の髪の毛をグイグイと引っ張っていた。痛いであろうこの攻撃にも長男の好奇心は止められなかった。もちろん、私も止めていない。
長女は、3歳くらいのある夏の暑い日に長男の友人たちと水浴びをお風呂場でさせていた時に、「まーちゃんのおチン〇〇は、ちぎれている!」と悲壮な声を上げた。「いつか生えてくるかな」というから、「あなたの歯とは違うと思うよ」と言ったら、首を傾げていたが、いつの間にか諦めたのか、忘れたのか、何も言わなくなった。
末の娘は立てる頃に目の高さにあった息子のモノをお風呂場で食べようとしていた。長男は、そんなチビをニコニコと眺めていた。なんでやねんっ。さすがにこれについては、止めに入った。
小さい頃はそんな感じで小さな目覚めがあり(あー、可愛かったなぁ。と遠い目)、大きくなってくるにつれて、娘の体の成長を見てどうしていいのか分からなかった私は、ワコールの下着売り場に子供達を連れて行き、それ以降ずっとお世話になっている。(私はかなり発育が遅かったので、級友にアドバイスをもらえた)
長男には、初めて彼女とデートをするときに避妊具を買い与え、「でも使ったらあかんねんで」と脅しつけた。
今、21歳の彼には彼女はいないはずだし、17歳の長女は男性すら周りにいないという幼さだ。13歳のチビに至っては、まだ赤ちゃんに等しい。
それでも、時折ふと、心配になる。
恋というのは思いがけないものだし、子供は予想外の行動を取るものだ。
自分が同じくらいの歳だった時の経験を考えると、本当にうちの子たちはよくできている。お利口さんだ。
もしかしたら、母が反面教師だったりするのかな。今はお利口さんにしているんだけれど。