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蟹座26度「有閑階級」

2018年7月18日午前0時17分、トランジット太陽が蟹座数え26度へ入りました。蟹座数え26度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「有閑階級」

「♋26有閑階級」の原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「Contentment and happiness in luxury, people reading on davenports 贅沢に満足と幸せを感じながら長椅子で読書をする人々」。青字が1975年ルディア版「Guests are reading in the library of a luxurious house. 人々が贅沢な家の書斎で読書をしている」

「♋26有閑階級」の番地チェック。蟹座後半(復路)の、5度ずつに分けた第3グループ(おわり)の、第1度数。どの5度組でも第1度数はそのグループのテーマをバンと打ちだす。磯野家で言えば第1度数は波平。

ドデカテモリーで見る「♋26有閑階級」番地チェック。蟹座数え1度で新月(太陽と月の合)が起きたとする。25日間で太陽は25度動き26日目には太陽蟹座数え26度。同じ期間で月は325度動いて26日目に月牡牛座数え26度。セクスタイル。蟹座数え26度は「蟹座の中のちいさな牡牛座」

Davenport で画像検索すると、引き出し式のちいさな書物机か、ゆったりとした大型のソファが出てくる。両方とも Davenport と呼ばれるけれど、このシンボルではソファの方。書物机で読書をしなくもないだろうけれど、その場合 on とは言わないだろう。

reading at davenports ならば「(いくつかある)書き物机に向かって読んでいる」だろうけれど、 at ではなく on davenports(on は「その上に接した状態で」)なので「(いくつかある)ゆったりしたソファに座って読んでいる」だと推測できる。

スクエア関係にある「♈26ギフト山積」のように「♋26有閑階級」もリッチなシンボルだ。♈26の男はひとりで抱えきれないほどの贈り物を所有していた。♋26はひとりじゃない、グループだ。豪華な家の書斎に大きなソファーがいくつもあり、皆座っててんでに本を読んでいる。

ディズニー映画『美女と野獣』に登場する、お城の図書室(library)をイメージしてほしい。読みきれないほどの本が整然と収められた書架。詩集、戯曲、神話や古典文学、歴史や地理の本、哲学書。知識欲を満たし想像力を広げてくれる書物たち。そして座り心地のいい革張りの椅子。

そんな豪華な図書室を持てるのはもちろんお金持ちで、かつ教養のある人々だ。そんな人々のところへお客に来て、図書室へ通されて共に読書を楽しめるひと、となるとこちらもやはりある程度お金持ちの教養人になる。着飾ってオペラへ行ったり、文学談議をしたりする有閑階級。

そこは選ばれた人々が内々に集う場所だ。「少納言、香炉峰の雪いかならむ」と中宮様に問われて清少納言がサッと簾を掲げてみせたような文化と教養の香り漂うサロン。知的で、それでいてくつろげる場所。なぜくつろげるかというと、そこには場違いなひとがいないからだ。

裕福で教養のある主人がいる素敵なおうちの豪華な図書室に、裕福でもなく教養もないようなひとはお客に来ない(お客に来たとしても図書室へは通されない)。中宮定子様のサロンに頭の回転の鈍い者や粗野な者や無知無教養な者は来ない。

そこには「和」がある。粒の揃った、内々の、あらかじめ異物を排した「輪」がある。同じことばで語り合えるひとだけ。教養のあるひとだけ。説明不要で話が通じるのは何と気楽で楽しいことか。詩や芸術の話をできる客人や友と過ごすひとときは何と贅沢で心満たされるものか。

♋21で聴く者にしばし我を忘れさせ別の人生を経験させた力強い歌や、♋25で選ばれた者の右肩へ降りてきた「上の」力は♋26では書物と教養へ変わってしまっている。書物も教養も、まだ人々の心へ働きかけ我を忘れさせる力を持っているけれど、人を閉め出す力も持ってしまった。

ぜいたくな書斎で本を読みくつろぐ人々の輪に「文字を読めない人々」「文字を見て頭の中に物語を思い描けない人々」は入って行けない。野獣の図書室で本に囲まれ遠い国の物語を読みふけって喜びと安堵を感じる教養あるベルは、文字なし物語なしで生きる村人から陰口を叩かれる。

裕福な家にある書物に囲まれ座り心地のいい椅子がある書斎は知識と雅を愛する教養人たちのオアシス。一方でそこへ入ることもできない、入れたとしてもくつろぐことができない人々もいる。ぜいたくな書斎で楽しむには下地を要求される。教養人たちはそれを当然と思っている。

教育を受けた裕福な人々の集う書斎では、入るのに教養が求められるのは当然のことになっている。客人が自分たちの仲間かそうでないかを、書斎に集う人々は教養で推し量る。心ない人々、無教養人、仲間ではない者にこのオアシスを荒らされないように。我々がくつろげるように。

教養のない人々、読書を楽しめない人々、粗野な人々、書斎で自分たちだけ意味不明な書物とやらを読んで楽しむ人々へ反感すら抱いているような人々を指して、書斎の人々は「心ない人」とまで呼ぶ。読書を楽しみ書斎に集まってくつろぐ教養ある自分たちだけが「心ある人」だ。

こうして、ひとの心に直接触れて一瞬まるで違う者にさせてしまうようなナマの体験だったオペラや神がかり、自分がそうであり得たかもしれない別の人生を見せるものだった文学は、「それを理解する持てるもの」と「理解しない持たざるもの」の間に壁を作る「教養」になった。

「♋26有閑階級」は蟹座後半(復路)第3グループ(おわり)の第1度数(波平)。同じ蟹座後半の第1グループ(はじめ)と第2グループ(まんなか)の波平ズと比べてみよう。1がテーマを打ちだし、2が1を裏打ちし、3が1と2のいいとこ取りをする構造は、グループ間でも成り立つ。

蟹座後半第1グループの第1度数は「♋16答え合わせ」手元の資料と目の前の現物を見比べる男、「読める、読めるぞ」と呟くムスカ。第2グループの第1度数は「♋21歌う主演女優」、観客の心を震わせ別人の人生を我がことのように体験させる歌姫の妙技、ライブの迫力。

読める、読めるぞの「♋16答え合わせ」とライブの女王「♋21歌う主演女優」をいいとこ取りして、ぜいたくな書斎で読書をする「♋26有閑階級」がうまれる。このいいとこ取りはわかりやすい。教養ある有閑階級は手元の本からトロイア戦争を、楽譜から交響曲を脳内再生できるのだ。

蟹座後半第3グループ第1度数の「♋26有閑階級」と蟹座前半において対となるのは、前半第3グループ第1度数「♋11権力者の風刺」だ。しかめっ面をし、著名なお偉方を風刺する道化。この対もわかりやすい。有閑階級の教養人と市井のお笑い芸人。

セレブのお屋敷訪問番組でお笑い芸人が稀覯本と大きな革張りの長椅子がある書斎に通されたら何を言って笑いを取るだろう。お笑い芸人が司会をするバラエティにゲストで教養あるひとが呼ばれたとき(たとえば「芸能人格付けチェック」)、どんな風にいじられることだろう。

道化(clown)はみずからマヌケなことをして笑いを取り、お偉いさんを茶化して笑いを取る市井のライブ芸人だ。道化は持たざる者の代表、持てる者強い者を風刺し人々を笑わせる。道化にとって書斎の教養人は強者だ。下から目線で格差を笑うのが芸人さんたちのお仕事だ。

「芸能人格付けチェック」は♋26のサビアンシンボル「贅沢に満足と喜びを感じ、大きな長椅子で読書をする人々」のよくできた戯画だと当番は思う。「いいもの」を識別できた者とできない者は分けられ、正解者の部屋にのみ主人は訪れる。不正解者は格が下がり、待遇も悪くなる。

「教養人格付けチェック〜お前たちは何流教養人なのか〜」教養は、同じものを持ち合わせた者同士の心の距離を近づけ、そうでない者同士を遠ざける。そうやって壁ができ、階級ができ、住み分けが起きる。コックニーで喋る無教養な花売娘は高級住宅地メイフェア街のお屋敷を構えるお金持ちから無視される。

こうして教養ある人々はますます教養を得て、無教養な人々はますます無教養になる。有閑階級の人々は教養を格付けチェックの道具にして相手を値踏みするようになり、それらを持たない人々のある者は教養を得て「上へ」行きたがり、ある者は教養を持つ者得ようとする者を笑う。

また、ある者は教養を得て「やっと同じことばで話せる人々のところへ来られた。きっとどこかに私が自由に呼吸できる場所があると思っていた。ずっとここへ来たかった」と安心感を得たりもする。

うまれたときのホロスコープで「♋26有閑階級」はどのハウスにある?2018年7月18日の太陽はそこを照らす。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう
「○○○○で(五音・ハウス) 親近感を(蟹座) 意識する(太陽) 富と教養有閑階級(♋26)」

少納言よ香炉峰の雪いかならむ

#サビアンシンボル物語

【♋26有閑階級 をより深く理解するための比較対象シンボルリスト】
♌26祝福と約束(となりのサイン)
♍26儀式への参加(60度)
♎26白黒反転(90度)
♏26原住民の野営(120度)
♑26滝と虹と妖精(180度)
♓26運命の分岐点(120度)
♈26ギフト山積(90度)
♉26熱唱伊達男(60度)

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