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天秤座1度「時よ止まれ」

2018年9月23日午前10時56分、トランジット太陽が天秤座数え1度へ入ります。天秤座数え1度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「時よ止まれ」

「♎1時よ止まれ」の原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「A butterfly made perfect by a dart through it ひとすじの針を刺すことによって完全にされた一匹の蝶」。青字が1975年ルディア版「In a collection of perfect specimens of many biological forms, a butterfly displays the beauty of its wings, its body impaled by a fine dart. 多くの生物学的形態の完全な標本コレクションにおいて一匹の蝶がその翅の美しさを示す、その胴はひとすじの鋭い針に貫かれている」長い……

「♎1時よ止まれ」の番地チェック。天秤座前半(往路)の、5度ずつに分けた第1グループ(はじめ)の、第1度数。どの5度組でも第1度数はグループのテーマをバンと打ちだす。磯野家で言えば第1度数は波平。

ドデカテモリーで見る「♎1時よ止まれ」の番地チェック。♎1で新月、つまり太陽と月の合が起きたと仮定する。ゼロ日経過しているから、太陽も月も♎1にいる。天秤座数え1度はドデカテモリーで言えば「天秤座の中のちいさな天秤座」

各サインの数え1度は、小アルカナのエース札に性質が似ている。各サイン30度ずつあるシンボルの中で、そのサインの性質をいちばんシンプルに、大きくバンと出してくる。「♎1時よ止まれ」は天秤座のエース。天秤座は風サインなのでさしずめ「剣のエース」だ。剣=風の元素ね。

風の元素=知性。小アルカナでは剣のスートに象徴される。剣は切り分ける。天秤座のエース「♎1時よ止まれ」は秋分点。黄道と天の赤道が交わる点。ここに太陽が(実際には公転する地球が)到達する日、昼と夜はほぼ等しくなり、太陽は真東から昇り真西に沈む。

約半年前、太陽(実際には公転する地球)は同じように黄道と天の赤道が交わる点を通過した。同じように昼夜の長さが釣り合い、太陽は真東から昇り真西に沈んだ。その点は春分点、牡羊座のエース「♈1絶対押すなよ」。春分点♈1と秋分点♎1は180度で向かい合っている。

牡羊座のエース「♈1絶対押すなよ」は海から地上へ上がる女。これは誕生のシンボルだ。♈1は春分点、12サインのはじまり。天秤座のエース「♎1 時よ止まれ」は針で貫かれ完全にされた蝶。これは♈1とは対照的に、死のシンボルだ。♎1は秋分点、12サインの折り返し点。

「♎1時よ止まれ」の蝶は標本にされている。蝶の形態、特徴を長期間残すためにいちばん美しい姿のときに息の根を止められた。羽化して飛び回りやがて老いて死ぬという自然な流れを途中で止められ、防腐処理を施される。

ひとつ前のサイン、乙女座のエース「♍1顔はアイコン」と天秤座のエース「♎1時よ止まれ」を比べてみよう。そのひとをそのひとと認識してもらうため、肖像画は特徴を盛って描き、他はあっさりと描く。標本はその形態をよく見るため、生体の息の根を止め、姿を固定する。

「♍1顔はアイコン」の肖像画は個体(個人)をそれと見分けるための看板だった。「♎1時よ止まれ」の標本は他の個体をそれと見比べて「同じ特徴を持つから同じ種類の蝶だ」と同定するための「モデル」だ。もっとも整った姿をした個体が「モデル」として選びだされ保存される。

「♈1絶対押すなよ」は新しいサイクルの始まり春分点、日の出の勢い、誕生から始まる成長のシンボルだった。その♈1とオポジションになる「♎1時よ止まれ」はサイクルの折り返しである秋分点、成長の中断、死から始まる確定・停止・保存のシンボルだ。

秋分点以降、あらゆるものが次々停止していく。確定し、刈り取られ、保存される。つまりはこれまで伸ばしてきたものの収穫期が来たのだ。成長は永遠には続かない。死んで土へ還ってしまう前に、いちばんいいとこを取って蓄える。そうすれば次の春までそれを楽しむことができる。

ピッ、と停止ボタンのように針を打たれて蝶の時は止まる。そのままでは冬を越すことはない蝶はそうして並の蝶の何十倍もの時間を同じ姿のまま存在し続ける。その蝶は個体としては「生きていない」けれど、それを保存する人間の目にはその蝶は長い間「存在する」

「個体としてはもう『生きて』いられないけれど、死んで永遠に『存在する』ようになる」ということについて、ルディアが「アストロロジカル・マンダラ」♎1の脚注でイエスを例に挙げて語っている。変容の山で「人の子」イエスは聖なる光の矢に貫かれて「神の子」になった、と。

しかし光の矢に貫かれ「人の子」ならぬ「神の子」になるということは、その神の子が辿るとされている運命、磔刑を引き受け(させられ)るということでもあった。それもそう遠くない未来に。彼は強制的に停止させられる。そのことで彼は永遠になる。彼に残された時間は少ない。

「♎1時よ止まれ」と死すべき運命(さだめ)と言えば……と当番が天秤座数え1度が登場するたびに紹介する♎1イメソン、アニメ『ベルサイユのばら』OPテーマ曲「薔薇は美しく散る」。当番個人的に1番がオスカル様の歌、2番がアントワネット様の歌だと思っております。ご興味ある方は検索を。

「♎1時よ止まれ」とトラインになるのは「♊1水底観察船」。双子座は風の柔軟サイン、おわりの風。その数え1度は「水中を見たい、でも濡れたいわけではない」をガラス1枚でスマート解決。見てるだけ。温度も感触も、肌には感じないけれど見ることだけはできる。

天秤座は風の活動サイン、はじめの風。その数え1度は標本になった蝶。そのままではすぐ死んで土に還ってしまうものを半永久的に留めておきたい。防腐剤と針で美しい姿を固定した蝶は、個体としては生きることを停止している。しかしそのせいで蝶のかたちは半永久的に存在する。

ガラス越しに水中を見る双子座のエース「♊1水底観察船」と標本として蝶を保存する天秤座のエース「♎1時よ止まれ」のトラインは、共に生きた自然物の一部だけを「切り取る」。「全部」は体験できない、「全部」は保存はできない。でもそれで構わない。とりま、「一部」で充分。

「♎1時よ止まれ」とスクエアになるのは「♋1衣替え」。蟹座は水の活動サイン、初夏の水。その数え1度は船に掲げられる片方は巻き下ろされもう片方は広げられる旗。これは進路変更のシンボル。「私は生きる」から「私は自分より強い者が存在する世界で生き延びる」への転換。

天秤座は風の活動サイン、初秋の風。その数え1度は針を刺され死ぬことで「完全にされた」標本の蝶。蟹座は牡羊座とスクエアで、天秤座はその蟹座とスクエア。蟹座で90度方向転換、天秤座でまた90度の方向転換、2回直角に曲がって天秤座と牡羊座はオポジション。

「私は生きる」が「私は私より強い者が存在する世界で生き延びる」に方向を変え、更に「私は死ぬ、一部を残して」に変わる。永遠には生きられない。全てをそのまま残すことはできない。保存しようとしても、必ず一部は失われてしまう。それならば、私は何なら残せるのだろう?

天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめん

忘れじのゆく末までは難ければ今日をかぎりの命ともがな

「時を止める」とは、切り離すこと。止めることで残せるものがあるのと同時に、止めることで永遠に失われるものもある。切り取りますか?

うまれたときのホロスコープで「♎1時よ止まれ」はどのハウスにある? 2018年9月23日の太陽はそこを照らした。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう

「○○○○で(五音・ハウス) アリかナシかを(天秤座) 意識する(太陽) 時よ止まれ美しいままに(♎1)」

#サビアンシンボル物語

【♎1時よ止まれ をより深く理解するための比較対象シンボルリスト】
♏1バスツアー(となりのサイン)
♐1元兵士が集結(60度)
♑1儂が酋長じゃ(90度)
♒1新大陸伝道(120度)
♈1絶対押すなよ(180度)
♊1水底観察船(120度)
♋1衣替え(90度)
♌1頭パーン(60度)

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