着込んでいる方がセクシー党員
唐突だが当番は「着込んでいる方がセクシー党」党員である。ネクタイをゆるめる? シャツをはだける?おろかな。三首きっちり隠した仕立てのよいスーツを崩さずに着た端正な姿こそ至高。軍服も可。髪はできればオールバックで秀でた額を見せていただきたい。はい、蠍座火星のヘキです。
Twitterの過去ログを掘っていたら2017年に濃ゆいツリーを生やしていたので、本日の更新はその再録。
【2017年9月2日のツリー】
上質のウール地とレザーの香り、シャツの糊の香り、首と名のつく箇所は手首足首顎の下までぴっちりと服と靴とでぱりっと封緘された、持ち重りのする手紙みたいなのがいいんだよ。肉体のラインが出過ぎてもいけない。筋肉など生地の下からその存在をほんのり匂わせるだけで充分なのだ。
封蝋で留められた羊皮紙の封筒、美しい飾紐の上に紙縒りで封をしてある桐箱、その封を切るまでもなく、そこまで大切に包まれているものならば中身は貴いものだとひと目でわかる。ハコだハコ、関君の好きなハコだ。「本を表紙で判断するな」とは言うけれど素敵な本にはよい表紙をかけたくなるものでしょ。
ぴっちり手首足首顎下まで覆って素肌を晒さないスーツが好きなのは、装丁フェチみたいなもんですよ。紙の! 手触り! 特殊印刷! 箔押し! 本文はもちろん大事だけれど! いい紙着せたいし着ててほしいでしょもん!! というわけでガチムチのワガママボディ(本文)に凝ったスーツ(装丁)の本が好きです。
あかがね色の絹のスーツに互いの尾を咥えて輪になった明色暗色のヘビをかたどったメダルを身につけたナイス皺紳士がいたとするじゃない。金輪際脱がせようなんて思わないじゃろ? そのままでいて! と思うじゃろ??
当番がきっちり着込んでてくれる男性が好きなのは、スーツ自体が好きだというのもある。洋服箪笥に吊るされているスーツのウールの匂いが大好きで、ネクタイの手触りが大好きで、打ち込みのきいた綿のシャツ地が大好きで。スーツを両腕に抱えたときの重さと手触りと。
私子供の頃、スーツ吊るしてある箪笥の中で暮らしたいと思っていたもの。箪笥の開き戸に入れない体格になる前は、よく中に入って扉閉めてた。暗くてひんやりしていて、布地の香りがして落ち着くんだよね。生地屋さんのウール地売場の香りも好きだ。
シルクのスーツも素敵だけれどやっぱりウールかカシミヤが好きで、なぜ好きかというと湿気を含んだときの匂いが好きなわけで(シルクのスーツは匂いを嗅いだことがないからわからないのだ)。夏の麻スーツもいいものだけど匂いがいいのはやっぱりウール。決していい匂いではないけれどそこがいい。
ウールやカシミヤってそんなに「いい匂い」ではないのだけれど、好きな匂い。雨や汗で水分を含むとちょっとケモノ臭がするじゃない。あれが好き。ウールのセーターをぬるま湯で洗っていると、今は亡きうちの犬を風呂に入れたときの匂いを思い出すんだ。決していい匂いじゃないのだけど、生き物の匂い。
何を言いたいかというと、いいウールかカシミヤの上等のスーツを一分の隙もなく着ているナイスな紳士が雨に濡れたり僅かに汗をかいたりして、普段は男性物の香水とかで上手く覆い隠されている獣性が濡れたスーツの犬みたいな香りに混じって立ち上るような瞬間が性癖なんです! 雨降りスーツ最高です!!
シルクのスーツ紳士は濡れたらえらいことになるので外出しないでいただきたい(月乙女座目線)。ウールのスーツ紳士は時々濡れて帰ってきてください。ひん剥いて風呂に叩き込んで、バスルームから漂う石鹸の香りとハンガーに吊るしたジャケットから濡れた犬の匂いがモワモワしている部屋が性癖です。
裸の紳士はバスルームの曇り硝子にうつるシルエットくらいでお腹いっぱいですのでちゃんと体を拭いてパジャマ着てから出てきてください。タオル一枚で出てきたらお尻を蹴る。