記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

細かいけど絶対伝える『モアナと伝説の海』の好きなところまとめ(20000文字)

きのう(2024年11月22日)金ローで『モアナと伝説の海』を放送していたらしいんですね。当番が6年前にどハマりしてタイムラインに巨大な木を生やしたときのログが急にRPされたので気が付きました。この際だから当時のツリーをすべてここへまとめておきます。事前に警告しておきますが、長いです。140文字をほぼフルに使って120ツイートくらいしました。これから1行空けに並べていくひと塊ずつがそれぞれ1ツイートです。

前提として当番は「英語音声・日本語字幕」で視聴しています。ツリー内の台詞や歌詞の日本語訳は字幕や吹き替えそのままではなく、当番訳です。そして当番が『モアナ』語りをしている時期は2018年5月4日から6日にかけてです。途中で『アナと雪の女王』について言及していますが、この時点で『アナと雪の女王2』はまだ公開されていない(アナ雪2は2019年の作品)ため、1までの情報に基づいて語っています。

なお、当然のようにここ以降ネタバレをバッチクソ含みます。本編を視聴してからお読みください。

警告しましたよ。よろしいですね? 行きます。

【2018年5月4日】

細かいけど絶対に伝えるモアナの好きなところ1。海がピンクの巻貝(コンク貝?)をちびモアナのところへ流して寄越し、ちびモアナがそれを拾う場面。海の水が左右に分かれてちびモアナが貝を拾いながら奥へ行くときに流れる歌は、成長したモアナがテ・カアに歌いかけながら歩くときの旋律と同じ。

細かいけど絶対に伝えるモアナの好きなところ2。海がちびモアナの髪をワシャワシャしてツイストにするの、「リトル・マーメイド」の「アンダー・ザ・シー」シークエンスで魚たちがアリエルの髪をクルクルするカットを思い出す。

細かいけど絶対に伝えるモアナの好きなところ3。タマトアの巣への入り口になっている島が見事な柱状節理の岩山なんだけど、モトゥヌイの聖地になっている山も草木に覆われてはいるもののしっかりと柱状節理が見えている。柱状節理はよき……!

細かすぎるけど絶対に伝えるモアナの好きなところ4。村の聖地、代々の村長が山頂へ積んできた石。そこへ石をひとつ積むたびに島は前より高くなり、空に近くなる=発展する。これは山羊座数え6度のシンボルと同じだ。暗いアーチの道とその底にある10本の丸太(ログ)。ログは記録。石は歴代村長のログ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ5。『モアナと伝説の海』は「南の海の裏アナ雪」で「陸のリトル・マーメイド」。モアナは「もうひとりのアナ」であり「陸に閉じ込められながら海へ憧れる逆アリエル」なんだけど、過去2作品と違うのはヒロインが受ける統治者教育が描かれること。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ6。アナ雪のアナは第二王女で、第一王女で王位継承者のエルサがあんな状態で家業を継げるかも不安なのに姉の補佐または万一の継承者となるような教育を受けている場面がない。アリエルは末娘でそもそも王国を継がない。でもモアナは村長の跡取りだ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ7。アナは両親亡きあと姉に何かあったら第一王位継承者であるにも拘わらず割と放置されて育ったフシがあり軽率かつ無責任だ。アリエルは末っ子につき、もっと軽率だ。モアナは違う。ひとり娘で跡取りで、小さな頃から両親にがっつり教育されている。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ8。両親健在かつひとりっきりの跡取りであるモアナはしっかりと跡取り教育を受け、村に愛着も持っているし責任感もある。村への愛着と責任感があるからこそ、どうしても海の彼方へ惹かれてしまう自分との間で引き裂かれる彼女の悩みが際立つ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ9。村人たちが歌うモトゥヌイサイコーソングは「リトル・マーメイド」の「アンダー・ザ・シー」と「アナ雪」の「フィクサー・アッパー」(←岩トロルがアナとクリストフをくっつけようと歌う歌)のハイブリッドだなあと思う。モアナは洗脳されかける。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ10。モアナはモトゥヌイサイコーソングに洗脳されかけるけれど、心からモトゥヌイサイコーと思っているわけではなくてモトゥヌイサイコーと思う家族や村人の期待に答えようとしてのことなんだよね。このあたり、ひとり娘だけど跡取り長女っぽい。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ11。アップになったときのモアナの衣装、腰に巻いている布の織り目の粗さ。後に出てくる帆布の目の粗さとかもそうなんだけど、この小さな島で自給自足していて、布もこの島で採れる植物を叩きほぐして紡いで織ってるはずだから……その現実みが……よき……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ12。織物関係はアップになるたび一時停止してガン見しちゃうよ……モアナの胸に巻いてある布には真珠が縫いつけてあって、たぶん代々村長の家の女性が受け継ぐんだろうし、布がヘタってきたら真珠だけ外して使い回すんだろうし……とか妄想するの楽し……い

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ13。How far I'll go キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! モアナによる「パート・オブ・ユア・ワールド」でもあり「レット・イット・ゴー」でもある。モアナが歌いながら通過する村の中でこどもたちがエイ型の凧をあげているのが伏線になっていて楽しい。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ14。やっぱりこの小舟で帆がバサッと下りてくるところ、風で帆がグルッと回ってきてモアナが頭を下げて避けるところ。『ツバメ号とアマゾン号』シリーズを思い出してもう、もう、小さい帆船サイッコーだな!某シリーズ好きな人はモアナ観て損はない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ15。おばあちゃんとモアナの絆をしっかり時間を割いて描いていること。おばあちゃんのルーツをディズニー旧作から探すなら「シンデレラ」のフェアリー・ゴッドマザーと「ライオン・キング」に登場するヒヒのまじない師ラフィキなんだと思うんだけど。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ16。「シンデレラ」のフェアリー・ゴッドマザーはまるで機械仕掛けの神みたいに突然登場すれけれど、彼女は元々「ゴッドマザー(代母・名付け親)」であり、「眠れる森の美女」の妖精みたいにシンデレラが生まれたときから関わっていた筈の存在。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ17。だからディズニー『シンデレラ』でも「もしかしてあなたは」とシンデレラに訊かれて「あなたのフェアリー・ゴッドマザー?そのとおりよ」と答えている。話を端折られて突然登場しているけれど、生まれたときから見守ってきた妖精なのよね。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ18。語り伝えられた「シンデレラ」の別バージョンではシンデレラを助けてドレスや靴をくれるのはシンデレラが亡き実母の墓に植えた木。ほぼほぼ「死んだお母さんの霊が助けてくれる」だ。元から絆があるから母代わりの存在はヒロインを助ける。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ19。そういう、ヒロインを助ける老賢女が「なぜ」ヒロインを助けるのか?という絆の部分を「モアナ」では端折らずに描写してくれているから、嬉しいなあ、って。ここの場面はすごく嬉しい。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ20。モアナのおばあちゃんとエイの場面。「あたしゃ村の変わり者さ(I'm the village crazy old lady.)、おかしなことをするのが仕事だよ」と言うあたり、「ライオン・キング」のラフィキみを感じる。そしてフェアリー・ゴッドマザーの仕事をする。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ21。『シンデレラ』のフェアリー・ゴッドマザーがやったことをなぞるおばあちゃん。かぼちゃの馬車の代わりに小さな帆つきカヌーのある場所へ案内し、魔法をかける代わりに先祖の声と対峙させ、ガラスの靴の代わりにテ・フィティのハートを渡す。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ22。先祖の船を隠してある洞窟へ入っていってドラムを叩けとおばあちゃんに言われるモアナ。ここでのおばあちゃんはシンバを「ムファサに会わせよう」と森へ導いていくラフィキだよねー!と思うし、洞窟へ入っていくモアナはもう、ベタに神話だねって。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ23。先祖の船が置いてある洞窟、どう見ても胎内くぐりです本当にありがとうございました。そして先祖の歌を聴くモアナ。勇者だ。これ冥界下りの勇者だ。で、先祖の歌がよい。よすぎる。これ泣くわ。射手座が強くてこの歌嫌いなひといないっしょ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ24。先祖の歌へ入っていく場面は、いちばん大きな船の帆に描かれた先祖の旅路を物語る模様をモアナが目にするところから始まる。ここで冒頭の、おばあちゃんが絵を見せながら神話を語っていたことが伏線だったことがわかる。もう、スゲー!の一言。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ25。つまりモアナは、客観的にはあの帆に描かれていた絵から「先祖たちは帆船を操り島から島へ渡っていた船乗りだ」ということをありありと読み取ったんだけど、主観的にはあの絵から先祖の歌声(物語)を「聴き取った」んだ。それがあの場面なんだ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ26。先祖の航海シーン。大海原を行く帆船団がチョウの群れみたいな…海を集団で渡るチョウもいるんだよねって思うところ。そして船のバランスを取るために乗組員が体をほとんど海へ張り出すようにして体重をかけるところがね……操船ホントかっこいい……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ27。ヨットもの、帆船操縦ものの映画やテレビ番組、実写でいろいろ観てきたけれど、「モアナ」の帆走場面いいよ……先祖の帆走場面も後に出てくるマウイやモアナの帆走場面もいいよすごくいい……ああ、あの番組やあの映画で見た動きだよ……帆走はいいぞ……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ28「日高きときは風と空を読み 潮風に乗って海原の限りを帆走する 夜は星を見て現在地を知る 我らは己が何者であるか承知している そうとも 己を知っている」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ29「アウェ・アウェ(おお おお) 新たな島へ 針路定めて どこまでも行かん おお おお ふるさと胸に 帰りたくなれば 道はわかるさ おお おお 我ら旅人 あらゆる徴を読み 祖先の物語を永遠に語り継ぐ おお そうだとも 我ら道を知る」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ30。占星術クラスタの端くれとしてはだな。「太陽が高いときは空と風を読み、夜は星を見て現在地を知る」これが嫌いなわけないだろーちくしょー大好きだよー!!!!!という感じ。天のマップ(星)を見て海や地のマップを知るわけだよ。星のナビだよ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ31。海原を行く船乗りと、砂漠を行く隊商と、夜じゅう家畜の番をする羊飼いが星を観察して天をマッピングした。それをもとに現在地を知り、時を知り、つまり旅と徹夜から天文学が生まれて、天文学と地理は上下一体で、そしてその端っこに占星術がだな。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ32。そんなことを考えるともうこの先祖の歌の場面だけで丼飯が五杯はいける勢いだよ!好き!!!We know the way(我ら道を知る)、このシンプルなことばが「行くべき針路を」であり「帆走のしかたを」であり「生きかたを」であり、もう、もうね……!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ33。先祖の航海場面が終わった直後、茫然とこちら(スクリーン側)を見つめているモアナの顔の大写しになる。これ、最初観たときはわからなかったけれどモアナが見つめていたのはいちばん大きな船の帆、その帆に描かれていた絵なんだ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ34。モアナはあの帆に描かれている(おそらく先祖がみずから、どうやってここまで来たのかを伝え遺すために描いた)絵を見て、あれだけの情報を読み取ったんだ。それを映画的に、あるいはモアナの脳内再生をそのまま表現するとあの航海場面になる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ35。これ、モアナが絵からこれだけの情報を読み取れるというのはモアナ個人が賢いからなのか、そうやって絵で残し、絵から読み取るというのがモアナたちのあたりまえの情報共有・伝達の方法であるからなのかは不明。でも、それをうまく描写してる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ36。モアナの祖先たちはある事情があって航海をやめ島へ定住した。そしてだんだん、自分たちが海原をゆく旅人であったことを忘れてしまった。これを、おばあちゃんは「自分たちが何者であったか忘れた」と言う。モアナの重要なテーマがここで示される。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ37。「自分が何者であるのか知る・わかっている(to know who I am)」これが『モアナと伝説の海』の大テーマなのだけど、同じテーマを持つディズニー旧作品がある。『ライオン・キング』だ。モアナは南の海のライオン・キングでもある。そこが好き。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ38。「マウイの釣り針」と呼ばれる星座は実際にあって、実は蠍座の大きなS字がそれだと言われている。小さい頃に「星と伝説」を読んだとき、マウイがニュージーランドを釣り上げたという話を読んだ。「モアナ」のあの星座は誇張しすぎだけども。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ39。「モアナ」のマウイは実際に伝わっている伝説のマウイとはチョコチョコ設定を変えてあるらしいのだけど「島を釣り上げた」という伝説は作中にも採用されている。「マウイの釣り針」のかたちをした星座も描かれているとなると、やっぱり興奮する。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ40。ところで「マウイの釣り針」(さそり座)ってリアル南半球だとあんなに直立しているものなんだろうか……それともあれは映画的な誇張かな……?今度暇なときに、さそり座の南半球での見えかたをチェックしておかないと……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ41。おばあちゃんはモアナに後を託して死ぬ。船出するモアナの背後、おばあちゃんの家から海へと風が吹く。こういう島では昼は海から島へ、夜は島から海へ風が吹くのは自然なことなのだけど、その風に乗って光るエイの幻影が「岸から海へ」泳ぎ出る。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ42。昼に海風(海から陸地へ吹く風)が吹き、夜に陸風(陸地から海へ吹く風)が吹くのは自然なことで何もおかしくない。けれど白く光るエイが「岸から海へ」風と同時に泳ぎ出るのは自然なことではない。おばあちゃんの背中のタトゥーはエイだ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ43。オバアチャンノ タマシイ ダッシュツ ダイセイコウ。おばあちゃんの魂は陸風に乗り、エイとなって海原へ泳ぎだす。風は旅立つモアナの帆をふくらます追い風となる。モアナは歌う「おばあちゃんの光が海の中を照らす おばあちゃんが呼んでる」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ44。「おばあちゃんの光が海で闇を照らす おばあちゃんが私を呼んでる そう、わかってる 私いけるって」ここでおばあちゃんの魂・光るエイは大きく跳ねる。「月は昇り 風は追い風 すぐにわかる どこまでいけるか」モアナはサンゴ礁を越える。

……もっとも、今までロクに外へ出たことのなかったモアナは帆走技術がなく、このあとギャグシーン混じりの試行錯誤を続けることになるのだけれど、それはまた別の話。今夜はこれで寝よう。細かく観ていると長いこと長いこと。細部までホント見どころが多いよモアナ。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ45。日本語字幕端折ってるなあ。「海を照らす光が私を呼んでる」では誰/何が照らしているのかわからない。そこは映像で補えってことかな。元はSee her light up the night in the sea She calls me と歌っている。この突然出てきたshe はおばあちゃんだ。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ46。海も代名詞 She で受けることがあるんだけど、モアナはこの歌で海や風のことを一貫して It(それ)で受けているし、もしShe が「海」なら「海が海の中で夜闇を照らすのを見て」になって意味が通らない。この「彼女」は光るエイになったおばあちゃん。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ47。モアナは陸風に乗って、来るはずのない「岸から海へ」出てきた光るエイを見て、きちんと「あれはおばあちゃんだ」と認識している。「死んだらエイになる」「お前の行くところどこへでもついていく」とおばあちゃんが言ったことを覚えているからだ。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ48。だから日本語にするなら「おばあちゃんが海の中で夜(闇)を照らすのを見て おばあちゃんがわたしを呼んでいる」になるんだ。モアナはわかっている。おばあちゃんが口先だけでなく本当にエイになってモアナを送り出してくれているって。そこがいい。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ49。有言実行おばあちゃん。死んだらエイになると言えば実際エイになるし、お前ひとりで、私抜きでは行かせやしない、どこへだってずっとついて行くよと言えば、本当についていく。こどもにした約束を守るおとななんだよおばあちゃんは。そこがいい。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外。最初の方でモアナ父が言う You must learn where you're meant to be を何と訳すべきかな?と考えていた。お前の立場を(where you're meant to be)学ばなければならない。モアナが自分で意図した(mean)わけではない。父や民によって望まれた。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外2。好きなわけではないんだけどモアナ父とモトゥヌイ民が歌うモトゥヌイサイコーソング、うまくできてる歌詞だなあと思って。「地に足つけて(stay on the ground)村長の役割を学びなさい」が「島にいなさい」に引っかけてあって。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外3。Our people will need a chief and there you are. 我らの民は(そのうち)長を必要とし、そして(都合よく)お前がいる(there you are)。そのうち来る、見渡せば幸せは今いるここにあると(where you are)わかる日が。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外4。誰も島から出て行かない。みんなここにいる。必要なものは全て与えてくれる豊かな島に。そして我々が行く末を望む先にはお前が(あなた様が)いる(there you are)。もう何かモアナの両親と民にとってはモアナってほとんど収穫物みたいなもので。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外5。ほぼココナッツみたいに余すところなく消費されるものなんだよね、モトゥヌイサイコーソング内で歌われる「村長の娘」っていう立場(what you meant to be)。繊維から網を作り、葉で籠を編み、実の中の汁は甘く、葉に果肉を包んで焼いて食べる。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外6。あのモトゥヌイサイコーソングは本当によくできていて(アンサンブルもカットも◎)、すごく陽気に歌われていてモアナも洗脳されかけるくらいなんだけどこう…非常に山羊座ソング。村長の跡取りの立場=ココナッツの新しい実だからさ……

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外7。だからあのモトゥヌイサイコーソングの最後でおばあちゃんが「あたしゃ水と踊るのが好き 引き潮や波と 水は悪戯好きで あたしゃそれが好き」と歌ってくれるのが心に沁みる。おばあちゃんの歌いかたは字余り調で旋律とリズムから少し外れてる。

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外8。英語で歌っていてさえも、おばあちゃんの歌いかたは字余り調でモトゥヌイサイコーソングの元々の旋律とリズムに完全には乗っていない。おばあちゃんの歌を聴くと、モアナ父と村民たちの歌がいかに揃っていてノリノリだったかを改めて実感する。

細かすぎるけれども絶対伝えるモアナの好きなところ番外9。「あたしの頭がおかしい はぐれ者(drift too far)だとみんな言う だけどみんな自分が好きなものがわかってしまえば(But once you know what you like) まあそこが己の場所さ(there you are)」

細かすぎるけれども絶対伝えるモアナの好きなところ番外10。どんどん老いていくおばあちゃんと成長していくモアナ。「お前は父親似 頑固で誇り高い子 父親の言うことは心にとめて でも覚えておおき 内なる声がきこえたら その声が遥かな星を追っていけと囁いたら モアナ その声が本当のお前さ」

細かすぎるけれど絶対伝えるモアナの好きなところ番外11。泣くわこんなの!彼女は「シンデレラ」のフェアリー・ゴッドマザーや「ライオン・キング」のラフィキ系統のキャラなのだけど、ディズニー旧作で主人公と支援者である老賢者の絆をここまで時間とって描くのモアナが初めてじゃない? そこが好き。

タラおばあちゃんいっぱいしゅき……

ある意味「ユパ様/大ババ様とナウシカ」なんだな「おばあちゃんとモアナ」は。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ50。マウイ本格登場。「鉄のハンス」みたいな「野生の男元型」キャラかと思えば実態は結構こどもっぽい。後で判明するけれど捨て子であり、神に拾われた男。しかし拾う神の方ではなく捨てた人間の方に永遠に片思いしている男の子。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ51。マウイ系統のキャラクターをディズニー旧作長編から探すと「ピノキオ」と「ピーター・パン」だと思われる。マッチョで自慢屋だからガストン系かと思いきや、マウイの造形は「捨てられた男の子・半端者の男の子」であり、それゆえの悪戯者。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ52。マウイ、自分の彫像を作るくらいナルシストマッチョなんだけど、ナルシストマッチョ=ガストン系ではない。ピーター・パンも結構なナルシストで上から目線。ピーター・パンやピノキオとマウイの共通点は「捨て子」「半端者」「小さい分身の存在」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ53。ディズニー近作長編で言うとピーター・パン/ピノキオ/マウイの系統にある男性キャラクターは『アナ雪』のクリストフ。彼も孤児であり半端者として人間の村で生きていたが、ひょんなことで岩トロルに拾われ養育された。そしてトナカイの相棒がいる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ54。マウイとミニ・マウイが『アナ雪』のクリストフ系野生孤児キャラクターということになると、モアナがアナ系キャラクターであることも見えてくる。女神テ・フィティにモアナとマウイでハートを返しに行く、というのは『もうひとつのアナ雪』だ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ55。カカモラ襲来。逃げようとしたマウイが「ハリヤードを締めろ、ステーを結べ!」と叫んでモアナが全然理解できない場面は死ぬほど笑った。これほど帆船出てくる系航海系児童文学たくさん読んどいてよかったと思った場面はない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ56。You can't sail? って叫ぶマウイの顔な…もうな…そりゃびっくりするわ。どうやってマウイの島まで来たんだよ? って思うよな。で帆走する場面はモアナもマウイも、モアナの祖先もカカモラたちもかっこよすぎてだな。本当によき……すばらしき描写……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ57。カカモラの船な。ギミックがな。帆の広げかた、全乗組員へ指令を伝えるためと思しきほら貝の音、ドラムの音、見てると映画『ホビット』の五軍の戦い場面を思い出すのな。大軍に陣形や指令を伝えるために旗やラッパで信号を出すアレをな。ここ好き。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ58。ホントどうでもいいところだけどモアナの服、オーバースカートの下にペチコート的にフサフサの蓑的なアレを仕込んでいて、どう動いても鉄壁の防御力なのよくこのデザイン考えたなあっていう。あとマウイ、笑うとえくぼが出るんすけど何この愛嬌……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ59。なんでえくぼ…このナルシストマッチョでジャイアンでトリックスターでシェイプシフターで、更に航海術だって超一級の半神に更に「笑うとえくぼが出る」なんていうキュート属性まで盛ったデザイナーは誰だー!!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ60。モアナの身体能力の高さと戦闘能力の高さ。アナやラプンツェルも身体能力高かったけれど、それを軽々と上回る。ジブリ映画の主人公かルパン三世かと思う身の軽さ。公開が2010年代じゃなくて1990年代だったら吹替えCV田中真弓だったと思うぞモアナ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ61。マウイがやってるロープヒュイッとやって片わな結びにするやつ私もマスターしたい。ロープ結びの教本探してくるかな図書館で……あと、マウイの伝統的航海術の演説好きだ。なんで伝統的航海術なんてそっけない字幕にしたんだか知らんけど。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ62。「伝統的航海術」と字幕がついているところ、元は wayfinding と言っている。それができる者のことは wayfinder と呼ぶ。海路を見つけること。海路を見つけられる者。これで興奮しない射手座民がおるかー!!弊ネイタルの人馬天体ズは大喜びだ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ63。It's called wayfinding, princess. And it's not just sails and knots... it's seeing where you're going in your mind. Knowing where you are by knowing where you've been.

細かすぎるけど絶対に伝えるモアナの好きなところ64。「道探りって言うんだよ、お姫さま。単なる帆やら結び目やらの話じゃない。向かう先を頭の中で描くこと。いままでどこにいたかを知ることでいまどこにいるかを知るということだ」人馬宮強いさんでこれが嫌いなひとなんている文字数。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ65。ラロタイの入り口。柱!状!節!理!!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ66。マウイがモアナを一貫して「こども」と見なしているところ。おそらく不老不死であるマウイはモアナを mortal 死すべき者と呼ぶし、実際「8歳くらいか?」と言うくらい実年齢より低く見積もっている。モアナに色恋的な興味を一切示さない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ67。マウイはモアナを揶揄して「お姫さま」とか「お嬢ちゃん(buttercup とか girlieとか )」とか呼ぶけれど、それは主にモアナの世間知らずについて言っているだけ。モアナの方もマウイに色恋的な意味では全然興味を持っていない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ68。これはモアナに限らず近年のディズニー長編は大体そうなんだけど、どんなにヒーローをかっこよく、ヒロインを美しく造形してもキャラクターがセリフで「美しい」「かっこいい」とは相手を評さなくなった。いつの間にか言わなくなった。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ69。『美女と野獣』『アラジン』あたりまでじゃないのかな、「ヒロインが美しい」とか「ヒーローがハンサムであったり男らしかったりする」ということをキャラクターがセリフや歌で表現するの。いや『ヘラクレス』『ノートルダムの鐘』あたりまでか。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ70。「どんなに外見は美しく・かっこよく描いてもそれを言葉では表現しない」というのは何かこうディズニー社なりの時代に合わせた気の回しかたなんじゃないかという気がするけれど。でも結局見た目の良さに惹かれ合ってるじゃん?って批判は多い。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ71。モアナとマウイの関係は『アナ雪』のアナとクリストフの関係をさらに徹底的に友情エンドにまで持って行ったものだと私は思う。不死の者と死すべき者の絆を描いて、かつ!それで恋愛エンドではなく友情エンド、戦友エンドなんですよそこがいい!!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ72。常若のヒーローと日常へ戻っていくヒロインの出会いと別れを描いたディズニー長編旧作と言ったら『ピーター・パン』のピーター・パンとウェンディだけど、ウェンディちょっとピーターへの色恋入ってるからね。ピーター側はママみを求めてるけど。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ73。モアナはマウイに全然「色恋の対象としての男性み」を見ていない。パパみですらない。マウイはマッチョボディだけど顔はそんなに美男じゃない。でも色恋関係ないからモアナはマウイの容姿を批判しない(タイプじゃないから!とか絶対言わない)。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ74。マウイもモアナの世間知らずぶり、未成熟さを馬鹿にはするけれど、色恋の対象にはしない。かといって「色恋の対象としての魅力に欠けること」をからかったりもしない。彼女が予想外にいい働きをすれば、ちゃんと認めるし見くびったことを謝る。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ75。「相手が色恋の対象外であることを示すために対象となる資格の不足をあげつらって激しく否定する」って色んな作品でありがちな描写だしリアルでもホント多いんだけどさ。マウイもモアナも、それ絶対やらないんだよ。だから安心して観ていられる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ76。モアナもマウイも「性的魅力のある女として見られないこと」や「性的魅力のある男として見られないこと」を気にしているような描写がないんだ。相手から魅力的に見られない・相手をそう見てやらないことで自信をなくす・なくさせるって描写がない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ77。そういう色恋的価値判断抜きでこれだけ面白い話が作れる、これだけヒーローとヒロインが築いていく関係を描写することができるってホントいい。モアナとマウイは最後に別れるけれど、それは『ピーター・パン』のような悲恋エンドではない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ78。ウェンディは家へ帰り、いつしか大人の女性になってピーターを忘れてしまう。ピーターは永遠にネバー・ランドの住民で少年のまま、少女でもあり「ママ」でもあったウェンディの思い出を追って生きていく。モアナとマウイの別れはそうじゃない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ79。ディズニー長編を旧作から最新作まで見比べていて楽しいのは、こうやってディズニー社みずからが旧作に似たモチーフをどんどん時代に合わせて上書きしていく軌跡が見えるところ。もちろん製作者は時代ごとに違う別人たちなのだけども。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ80。作品ごとに監督も製作スタッフも変わっていくディズニー長編だけど、共通しているのはみんな旧作をよく見て研究しているってこと。そして自分の作る作品で旧作を越えていこうと必ず試みていること。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ81。新作が出るたびに、製作者たちが描き込んだディズニー旧作への愛と、それをこの作品で越えるんだ上書きしていくんだという自作への愛が見えて、当番はそこに興奮する。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ82。シリアスな語りのすぐ後にこれ言うの気が引けるけれど作中で唯一パンチラを披露するのがマウイだっていうね…(ラロタイへの扉を開けるとき、一瞬見える。なんていうか、その葉っぱの腰蓑の下ってすっぽんぽんじゃなくておフンドシしてたのね……)

マウイのおふんどし、グリーン……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ83。マウイが捨て子の身の上を話すとき、彼のタトゥーであるミニマウイが彼をハグする。そのときの筋肉の盛り上がり表現しゅき。ミニマウイの系統キャラクターを旧作から探すとジミニー・クリケットとティンカー・ベルとトナカイのスヴェンあたり。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ84。「ドレス着てお供の動物を連れていりゃぁお姫さまだ」とマウイは言うけれど、実のところディズニー旧作では男キャラだってお供の動物は連れている。アラジンだってピノキオだってピーター・パンだって。あ、アラジンも孤児だねそういえば。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ85。主人公の連れているお供小動物(時に妖精)は主人公に助言を与えたり、役に立ったり、寂しい時の支えになったりする。時に対立もする。長いことミニマウイだけが友達だったのであろうマウイの孤独が見える場面。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ86。『美女と野獣』の野獣もリストに加えるか。ディズニー旧作男キャラクターで、お供が小…動物ではないな、小器物だ。かつての家来がみんな置時計や燭台やポットという小物にされてしまって、でも家来は手を焼きながらも、主君を助けたがっている。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ87。ミニマウイのハグに背中ぽんぽんで応えるマウイ、「はいはい、俺もお前のこと好きだよ(OK, OK, I love you too)」ってモアナの作中ここだけじゃないかな I love you ってセリフを誰かが言うの。で、マウイ、好きだよって言葉は知ってるんだなと。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ89。マウイ、実の親には愛されなかったけれど、ハグを愛情表現だと受けとめることもできる。マウイが「はいはい、俺もお前のこと好きだよ」ってミニマウイに言えるっていうのは結構重要だと思う。どこかで愛されることは経験しているんだと思われる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ90。マウイが大きなタカに変身するとき、右の翼裏に釣り針のような模様が出る。この右の翼裏にある釣り針紋はマウイのタトゥー内でもしっかり表現されている。おそらく他の生物に変身するときもどこかに釣り針紋がありそう(一時停止で探している)。

右の翼に釣り針紋ってことは、マウイおそらく右利きなんだな……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ91。マウイの航海術指南場面(2度目)。最初の航海術指南よりもマウイの教えかたが親切になってきている。だんだん wayfinding を身に着けて行くモアナ。手のひらで星を測り方角を知る方法、あれ何の星なんだろう。実際の星でモデルはあるんだろうか。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ92。あー!待ってこれちょっと待って、モアナが手のひらと指で方角を測るのに使っている星、ひょっとしてこの四つ、菱形に並んでいる星って南十字星か!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ93。テ・カア登場。プロローグのときからそうだったけれど、最後まで見てからもういちど見ると女性だっていうことがわかる体つきにデザインされているんだよね。モアナもテ・カアを女性だと認識していることが後の場面でわかる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ94。テ・カアとのラスボス戦でうまく攻略できず一旦撤退を余儀なくされるモアナとマウイ。釣り針にヒビが入ったマウイはもう手を引くと言う。神の釣り針がなければ自分は何者でもないから。二度繰り返し言うほどその思い込みに囚われている。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ95。恐れに支配されると、ひとは自分のいちばん強い思い込みをただ繰り返し口にするしかできなくなる。マウイもそう。モアナもそう。モアナも繰り返す。「私はモトゥヌイのモアナ。私の船に乗り、海を渡り、テ・フィティのハートを返しに行って」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ96。追い詰められたふたりの、それぞれいちばん強い思い込みがぶつかり合い、そして決裂する。マウイは去り、モアナは絶望して海へ訴える。「私にはできない。他のひとを選んで」モアナはテ・フィティのハートを海へ返す。そして悲嘆にくれる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ97。モアナが悲しみの底へ沈みきったとき、海の彼方から光るエイ、おばあちゃんの霊がやってくる。これは『シンデレラ』で何もかも奪われて絶望したシンデレラのところへフェアリー・ゴッドマザーがやってくる場面の上書きみたいなもの。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ98。『シンデレラ』のフェアリー・ゴッドマザーはまるで機械仕掛けの神みたいに都合よく現れた(とディズニー版は描写している)けれど、モアナのおばあちゃんは違う。伏線に伏線を重ねて「おばあちゃんはずっとモアナを導き支えている」と描いてきた。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ99。また、モアナのおばあちゃんは『ライオン・キング』のラフィキ的なキャラクターでもある。おばあちゃんは問う。「お前は何者だい?」それはラフィキがシンバへ思い出させようとしたことと同じ。お前は何者なのか。お前は何をすべきなのか。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ100。「あたしはよく知ってる 島の仲間に馴染まない娘 海も島の民も愛している お前はみんなの自慢の娘 世界中が敵に見えるときもある 長旅に傷つくこともある でも傷は癒え そして示す お前のいまいる場所を」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ101。「お前の愛する者たちがお前を変える お前の学んできたことが導いてくれる この世界の何者も黙らせることはできない まだお前の中にいる小さな声を よくここまで来たとその声が囁きだすとき モアナお聞き おのれは何者かわかるかい?」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ102。おばあちゃん(の霊)に促され、モアナは自分が何者なのか自分で腑分けしていく。「私は自分の島が好き。海が好き。海が私を呼ぶ。私は村長の娘。私たちは船乗りの子孫。世界を股にかけ道を開いてきた。祖先が私を呼ぶ」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ103。先祖の幻影がモアナの目の前を通過していく。祖先がモアナに目礼してゆく。「私はここまで皆を連れてきた 遠くまできた 私は私が学んできたこと全てでありそれ以上のもの それはまだ私を呼ぶ 呼び声は外じゃない 私の中から来る」

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ104。「呼び声はずっと自分の中から聞こえてきた」と歌うモアナの両脇を青白く光る先祖の船団が通過していく。何これ『ロード・オブ・ザ・リング』で幽霊軍団を連れて帰って来るアラゴルン?モアナが英雄になっていく。父の幻影を見たシンバのように。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ105。おばあちゃんが死の間際に「お前がどこへ行こうとついていく」と言ったことばの意味をモアナは改めて知る。おばあちゃんの霊はエイになってモアナについてきた。それは半分しか真実ではない。おばあちゃんはモアナの中にいる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ106。「死んだ者は去るのではない、それは自分の心の中にいる」このテーマは『ライオン・キング』と同じだ。モアナはおばあちゃんを「私の心の中に入れて、一緒に連れて行く」と歌う。モアナの心の中にはおばあちゃんもいる。船乗りの祖先もいる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ107。何があろうとも取るべき針路はもう知っている。私は自分が何者かわかっている。私はモアナだ! モアナは海底からテ・フィティのハートを再び拾い上げ、ひとりでテ・カアを突破しハートを返すことを決心する。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ108。いやもうホント、再度テ・カアに挑むモアナの帆走シーンのかっこよさったらないね。動力、風だけなんだよ?帆の広げかた、帆の向き、船体への体重のかけかただけであれだけスピード出して走れたり急カーブ曲がったりできるんだよ? すごくね帆船。

くりかえすけど、動力、風だけ。あと波もか。風と波だけであんなにすっ飛ぶように帆走できるんだから小帆船スゲー。やってみてえ……!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ109。マウイ再登場。なんだよ悟飯ちゃんの危機に駆けつけるピッコロさんかよかっこいいな!その後のテ・カアとの大立ち回り空中戦がこれ、『ピーター・パン』のフック船長とピーターの立ち回りの21世紀アップデート版でかっこいいのなんのってな……

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ110。マウイがテ・カアの手首を執拗に切り落とす場面、もちろん手首を切り落とすことで溶岩をブン投げられないようにしているという意図はわかるけれど「手首を切り落とす」でスタッフがフック船長を意識しなかったとは言わせない、言わせないぞお!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ111。モアナは土壇場でテ・カアの正体に気付く。そして海へ向かい「彼女を私のところまで来させて(Let her come to me)」と頼む。ってことはモアナはテ・カアを女性として認識しているってことだよね。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ112。海水はモアナの頼みを受け入れて分かれ、水へ入れない溶岩の魔物テ・カアはそこを通ってモアナへ向かう。モアナもテ・カアへ向かう。ここでモアナが歌う歌の旋律は、かつて海水が分かれてできた道を幼いモアナが歩いたときに流れた曲と同じ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ113。『十戒』だー!ってくらい綺麗に割れた海の道を通ってモアナがテ・カアへ向かっていく。あなたに会うために海を渡ってきた。私はあなたの名を知っている。「名を知っている」は最強のアレね、解呪。見越し入道、見越したり!

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ114。ハートを盗られたこと、それはあなたを決定づけはしないとモアナは歌いかける。訳、むずかしいね。 But this does not define you. 定義づける。決めつける。ハートを盗られてそんな姿になったけれど、それがあなたのすべてではない。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ115。This is not who you are. You know who you are. 日本語に訳すと零れていってしまうようなギリギリ単純なことば。この姿はあなた本来の姿ではない。わかっているでしょう、本当は自分が何者なのか。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ116。全部現在形なんだよねここ。「かつてそうであったようなあなたに戻って」ではなくて「あなた、今でもそうでしょう。あなたは今だって自分が何者かわかっている」ハートを盗られて荒ぶる溶岩の魔物になってしまった彼女へ、モアナはハートを返す。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ117。この、テ・カアへ向かってモアナが海の中にできた道を歌いながら歩いて行く場面。初めて観たとき『オペラ座の怪人』の終盤かよ!って思ったもの。クリスティーヌが水の中を怪人のところまで歌いながら歩いていってキスするでしょう、アレさ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ118。Pitiful creature of darkness...What kind of life have you known?God give me courage to show you you are not alone...哀れな闇のいきもの どんな人生を味わってきたの 神様が私に勇気をくださる あなたがひとりではないと示すため。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ119。それでまたモアナがクリスティーヌみたいに黒髪巻き毛クルクルなんだけどさ、というのは置いておいても。これ『アナ雪』の上書きでもあるんだよね。モアナは「もうひとりのアナ」で、テ・カアは「もうひとりのエルサ」。でマウイはクリストフな。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ120。『アナ雪』でエルサが自分の能力に怯えるようになった原因、後に家出して大災害を引き起こす制御不能な雪の女王になってしまった原因、どちらもきっかけはアナなんだよね。エルサの暴走を止めたのはアナの自己犠牲に対するエルサの後悔だった。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ121。でも、エルサの暴走が止まり制御可能になったのってほとんど偶然に近いものだったように私は思う。特にあの止まりかたでは。アナ、エルサに謝ってないよね。死んだ両親もエルサに謝っていない。誰もエルサを本当の意味で気にかけなかった。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ121。エルサの魔力が直撃して身体的な傷を抱えることになったアナの世話で手一杯で、誰もエルサの心の傷を手当しないまま「力の制御」だけを彼女へ課した。だから後々エルサは爆発した。本当の意味でコントロールする方法もわからないままに。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ122。『モアナ』ではモアナがマウイを連れ、テ・フィティの欠損を修復しに行く。奪ってしまった心臓を戻し、傷ついて不完全になってしまった彼女を元通りにしようとする。エルサも本当は、そうしてもらう必要があった。でも誰がそうしてくれた? 誰も。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ123。『モアナ』は『アナ雪』の結末を上書きする。「もうひとりのアナ」が「もうひとりのクリストフ」を連れて「もうひとりのエルサ」の傷を癒し、謝罪する。テ・カアは傷ついたテ・フィティであり、ハートを戻すことでテ・フィティはよみがえる。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ124。そして『もののけ姫』のシシ神様かよ!という勢いでブワワワ!と復活するテ・フィティ。モアナは実家の島へ帰るとき、マウイを誘う。master wayfinder が必要だ、とモアナは頼みこむが、マウイは断る。モアナはもう立派な wayfinder だから。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ125。このモアナとマウイの別れが、前のツイートでも言ったけれど『ピーター・パン』ラストのウェンディとピーターの別れを上書きしていて、爽やかでいいなあと思うんだ私は。死すべき人間の女の子と常若の半神の色恋抜き友情エンド、戦友エンド。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ126。ふたたびモトゥヌイの島。聖地の詰み石の上に置かれたコンク貝が村長の代替わりをそっと示す。祖先の船が洞窟から引き出され、モトゥヌイの民はふたたび外海へ乗りだす。どこまでも行こう、行くべき道はわかっている。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ127。モアナ円盤に「インナー・ワーキング」っていう短編アニメーションがついてくるんだけどね。ある人間の体の中で脳や肺や臓器が(主に死にたくない!という思いで)人間を操っているって短篇で、長編「インサイド・ヘッド」の元ネタっぽい作品。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ128。そして「インサイド・ヘッド」(ある女の子の脳内に住んでいる五つの感情たちが冒険を繰り広げる長編)の円盤にはLAVA(邦題・南の島のラブソング)っていう短編が入っていて。これが南の火山島が恋をする話でモアナの元ネタっぽいんだわ。

細かすぎるけれど絶対に伝えるモアナの好きなところ129。そういう『モアナ』と『インサイド・ヘッド』の円盤間でのテレコ具合が気に入っていたりする。モアナ語り、たぶんこれで打ち止め。やっと円盤返しに行けるわ(もう四回くらい借りてきてる)。

モアナ語り番外。と、TLに木を生やすくらい『モアナ』が深く刺さった当番ですが、ここまで刺さった原因を弊ネイタル中に探すとすれば蠍座ICに火星合、4室に射手座天体が4つ(度数順に水海陽金)入っていることだと思われます。外海へ出たいと思う衝動(射手座)、それは祖先の生きかたでもある(4室)。

弊ネイタルの♐6水星がモアナとマウイのフェアネスに喜んでるし、♐10海王星はテ・フィティの神話に興奮してるし、♐14太陽は祖先の遺産と対峙するモアナに奇声を発してるし、♐21金星はマウイから wayfinding を習う場面に胸踊らせてる。♍2月は織物がアップになるたび一時停止してる。

♏27火星がテ・カアへ近付いていくモアナの場面を観て「オペラ座の怪人かよ!」と泣き咽び、♓10木星が水平線へ向かいたいモアナに「それなー!」と遠い目をし、♋18土星先生がヘイヘイに珍しく大ウケしている。♏1天王星が「映画館で観たかったやつだこれ」とボヤき、♎9冥王星が殿堂入り認定してる。

全身全霊で、楽しかった!唯一の後悔は、これ大スクリーンで観たかった!!

ラプンツェルも円盤になってから観て「大スクリーンで観たかった」って言ったろお前。

いいなと思ったら応援しよう!

星見当番
お気が向いたらサポートをお願いします!サポートは当番の紅茶代となり、ひいては明日への活力となります