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牡牛座24度「首級を挙げる」

2018年5月14日午前4時58分、トランジット太陽が牡牛座数え24度へ入りました。牡牛座数え24度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「首級を挙げる」

「♉24首級を挙げる」の原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「A mounted Indian with scalp locks 髪の毛付きの頭皮(scalp locks)を持ち馬にまたがるインディアン」。青字が1975年ルディア版「An Indian warrior riding fiercely, human scalps hanging from his belt. 荒々しい様子で馬にまたがるインディアンの戦士、ベルトに髪の毛付きの頭皮を吊るしている」 scalp locks については後述。

「♉24首級を挙げる」の番地チェック。牡牛座後半(復路)の、5度ずつに3等分した第2グループ(まんなか)の、第4度数。どの5度組でも第4度数は第3度数と対になる。第3度数は第1度数と第2度数の対からうまれたこども。磯野家で言えば第4度数は波平とフネの子サザエの夫マスオ。

さて、 scalp locks ね。日本語で書かれたサビアンシンボルの本やウェブサイトを見つけるたびに当番が真っ先に訳語チェックをするシンボルが数件あります。牡牛座数え24度もそのひとつです。 scalp locks を「骸骨の締具」とした訳を踏襲したままの記事があまりにも多い。

scalp locks には2種類の意味がありますが、いずれも頭骸骨(skull)には関係ありません。「人間の頭から剥ぎとった毛束(locks)がついたままの頭皮(scalp)」か、「頭の側面を剃り、頭頂部のみ毛髪を残した髪型(俗称モヒカン刈り)」を意味します。

locks は髪の毛の束。Goldilocks(ゴールディロックス、『三匹のクマ』に登場する金髪巻き毛の少女)の locks と同じ。scalp スキャルプは頭皮、skull スカル(頭蓋骨)ではありません。スカルプ!スカルプケアーシャンプーのスカルプ!頭皮の血行を促進し!毛根を刺激して!発毛促進!

ジョーンズ版原文は「馬にまたがりモヒカン刈りにしたインディアン」なのか「馬にまたがり髪の毛をつけたまま剥ぎとった頭皮を持つインディアン」なのか、詞文からは判然としません。ルディア版は確実に「髪の毛がついたまま剥ぎとった頭皮」です。ベルトから吊るしているから。

このシンボルを(「骸骨の締具」と訳した本で)初めて見たとき、当番は「インディアンが骸骨の締具――バックル?――を身につける習慣があったかな?」と首を捻りました。西欧の死神か、髑髏のネックレスをしたインドの神様なら見たことがあるけれど、インディアンは記憶にない。

後年、シンボルの原文を知り、 scalp locks をウェブ検索にかけたところ「(アメリカ先住民の風習で、倒した敵から)髪の毛をつけたまま剥ぎとった頭皮」「頭側面を剃って頭皮を剥き出しにし、頭頂部にのみ毛束を残したアメリカ先住民の戦士の髪型」に行き当たったわけです。

https://www.google.com/search?q=scalp+locks&client=ms-android-fujitsu&hl=ja-JP&prmd=isvn&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi-ltPu2oPbAhXPNpQKHQaDD_MQ_AUIESgB&biw=360&bih=567#isa=y

もう一度画像検索結果を貼りますが、これです。これが scalp locks 。頭骸骨じゃない。では、なぜインディアンの戦士は scalp locks をベルトからぶら下げるのか?それは、人体の中で最もよい部位、そのひとの力が宿るのが頭髪だと考えられていたから。

インディアンの戦士は、戦で倒した敵の頭皮を髪の毛ごと剥ぎとる。そして持ち帰り、腰からぶら下げたりする。遺体損壊、確かに。残酷、そうかもしれない。敵を侮辱するため?それは違う。倒した敵の頭皮を身につけることで戦士はその敵の力とひとつになる。そう信じられていた。

ギリシャ神話の英雄ヘーラクレースは、ネメアの大獅子を倒した後、獅子の毛皮を剥いでそれを身にまとった。その毛皮はヘーラクレースの武勲の証であり、それをまとうことでヘーラクレースは倒した獅子と「ひとつになった」。猟師も自分の仕留めたクマやオオカミの毛皮を纏う。

同じ牡牛座後半第2グループの流れを思い出してほしい。このグループは「いちばんいいところだけを取る」というシンボルが続いてきた。「♉21聖書占い」、膨大な行数からたった一節。「♉22方舟の鳩」広大な荒海からオリーブ一枝。「♉23宝飾品店」選び抜かれた高価な宝飾品。

牡牛座後半第2グループのテーマ「いいところだけを選びとる」は「♉24首級を挙げる」でも続いている。いちばんいいところだからそこだけ取るのだ。身に飾ると自分に「箔がつく」から飾るのだ。ジュエリーを自分という宝石の額縁にするように、戦士は敵の一部を身につける。

ヘーラクレースは倒した獅子の毛皮をまとう。赤ずきんちゃんは死んだオオカミの毛皮で新しい頭巾を作ってもらう。白雪姫のお妃様は白雪姫を殺して心臓と肝臓を取ってこいと命じ、(偽物の)心臓と肝臓を受け取るとそれを食べてしまう。なぜ? 確実に殺した証拠、だけではない。

もしも「♉24首級を挙げる」の日本版画像を作るとしたら「月代を剃った戦国武将が馬にまたがり、討ち取った敵の首級を鎧の腰にくくりつけている」という図になるだろう。首を取るのはもちろん「顔で本当に敵将なのか確認するため」ではあるけれど、「それだけ」でもない。

モヒカンの荒武者馬にまたがりて敵の遺髪を誇らかに持つ
#サビアン一首 通番054)

倒した敵の最良の部分、生命力と強さが宿る頭髪ごと皮を剥ぎ、身につける。そうして敵の名声や力まで我がものとして取り込む。やあやあ我こそはネメアの大獅子殺し・ヘーラクレースなり!

髑髏(skull)ではなく頭皮(scalp)。「死を思え」や「一皮剥けばみんな骨」という意味のシンボルではない。倒した敵の手に渡り、語り継がれるもの。虎や獅子が死して毛皮を残すように死してなお残るもの。

「♉24首級を挙げる」は牡牛座後半第2グループのマスオ(第4度数)。他グループのマスオと比べてみよう。前半第2グループのマスオは「♉9きよしこの夜」年に一度だけのよき日、たったひとりのあのひとの生誕を祝う日。

牡牛座後半第1グループのマスオは「♉19新大陸浮上」。海底へと押し下げる力と海底から押し上げられる力。後者が上回るとき、大陸が浮上する。海底だった名残りをその身に残したまま海上へあらわれる。

精髄、という言葉がある。物事の本質をなす最も重要な部分。選りすぐりの、純粋な本質。人間の精髄はどこにあるか?と考えたとき「頭皮と髪の毛にある」とアメリカ先住民の戦士たちは考えた。だから剥いで持ち帰った。残酷?取られる側になってしまった者にとっては、勿論。

「いちばんいいところを選びとる」や「選びとった『いちばんいいところ』が自分を縁取る額縁になる。身につけることで『いちばんいいところ』の力が自分と一体になる」は、高級ジュエリーを着けたセレブの姿にもなり得るし、敵の首級を高々と掲げる戦士の姿にだってなり得る。

うまれたときのホロスコープで「♉24首級を挙げる」はどのハウスにある?今日の太陽はそこを照らす。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう

「○○○○で(五音・ハウス) 体を張って(牡牛座) 誇りたい(太陽) 敵の精髄 首級を挙げる(♉24)」

#サビアンシンボル物語

「♉24首級を挙げる」にうまれたときの天体や感受点をお持ちの皆様。本日の解説を読んで恐ろしい、嫌だ、と思ってしまった方がいらしたら。慰めになるかどうかわかりませんが、計算方法によっては当番自身、ここがうまれたときのMCです。

何もこの度数に天体やアングルを持つひとが全員妖怪首置いてけになるわけではありません。妖怪精髄(エッセンス)置いてけにはなるかもしれませんが。当番、まだ敵の頭皮を剥いだことはありませんのでご安心ください。

【♉️24首級を挙げる をより深く理解するための比較対象シンボルリスト】
♊24スケート遊び(となりのサイン)
♋24三角関係(60度)
♌24面壁九年(90度)
♍24主を慕う仔羊(120度)
♏24野の花を見よ(180度)
♑24尼寺へ行く(120度)
♒24しくじり先生(90度)
♓24持ちつ持たれつ(60度)

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