夏を見送る香水
まだまだ暑いけれど、夏が少しずつ遠ざかろうとする気配を感じた(それでも今日、熱中症になりかけた)
夕方になるとそよぐ風が少しだけひんやりとして、日没が早くなり、そろそろひぐらしが鳴く。
今年は長かった梅雨の分だけ夏がそのまま後にずれることなく、いつも通りに終わってしまいそうだから、なんとも寂しい。
ラルチザンパフューム エテアンドゥース(ひと夏の夕暮れ)
いつもの夏は、ラルチザンパフュームのエテアンドゥース(ひと夏の夕暮れ)をまとって暑さの余韻を楽しむ。
エテアンドゥースは儚くて淡く、夏に選ぶとほんの一瞬で走り去ってしまうところが魅力的な作品でもある。
ずっと若い時はあまりにも儚くて、あまり選ぶことはなかったけれど、今は自分のために香らせる香水としてずっとそばに置いておきたい作品の一つ。
静かな香りで控えめな表現だから、実はオールマイティーに使え、秋から冬にまとえば透明感が際立って美しい。
ザ・ディファレントカンパニー ピュアイブ
エテアンドゥースがおとなしすぎるならば、ザ・ディファレントカンパニーのピュアイブはどうだろう。こちらも静かだけれど、ずっと大人っぽくて艶がある。
カリソンというフランス菓子の香りがほんのりと甘く、グルマン好きにはたまらないかもしれない。と言ってもグルマン系に類するほど甘くはなく、ムスクの大人っぽいドライダウンが楽しめる。
この2つは静かな香り。夏の終りに一人になる時間を確保できるなら、このどちらかをまとってボーっとしたくなる。
フエギア1833 ティンタ・ロハ
今年の夏のように、急にやってきて早く終わってしまう(かもしれない)なら、フエギアのティンタ・ロハも合う。
タンゴを掛けるお店をイメージさせるフローラル系の作品だ。バニラを中心にチュベローズとガーデニアが咲き乱れる、一見すると華やかな香り。
ところが私がティンタ・ロハに感じるイメージは「切なさ」で、夏を見送る時のもの悲しさにはぴったりだと思う。
夏には関係ないけれど、ティンタ・ロハは失恋した後にも似合いそう。女っぷりのある雰囲気で、もしかしたらさらに良い恋が始められたりして。
もう少し暑さを楽しむなら
とはいえ、きっとまだ残暑は続くと思うので、まだまだ夏の香りを味わいたい。
静かな香りだけじゃなく、刺激のある香りもいいかな…
ラルチザンパフュームのバチュカーダ、セルジュ・ルタンスのファイブオクロックオジャンジャンブル、ゲランのシャリマー、クリスチャンディオールのデューン…
…と、このほかに書こうと思っていた香りのいくつかが、すでに販売終了していることに気がついた。
切ない。
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