突発性難聴#1 「耳が聴こえなくなった瞬間」を私は覚えています。
○私は22歳で片耳難聴になりました
どこにでもいる元気で明るい女の子だった私が、突然右耳の聴力を失いました。原因は突発性難聴という病気。『突発性』の名の通り、それは突然のことでした。
耳が聴こえなくなる経験なんて、あまりないと思います。というか、他の人にあってほしくない。でも、いつ誰がなってもおかしくない病気です。
ここで突発性難聴の事を知る人が増えて、自分や周りの人が罹ったときに少しでも参考になれば良いなと思っています。
今回の記事では、耳が聴こえなくなった日と、その瞬間を、書いていこうと思います。※最後まで無料で読めます
○それはいつも通りの火曜日だった
2018年10月23日
社会人1年目の私は、その日もいつものように出社していました。エンジニア職なので、パソコンの前で座ってするお仕事です。
14:30
職場のラジオ体操の時間。ずっと座っているので、伸びをすると気持ちが良いです。新人のため雑務が多く、少し眠くなっていたので、しっかりとラジオ体操をしました。
○耳が聴こえなくなった瞬間
15:15
パソコンに、カタカタと打ち込んでいた時のことです。
突然右耳にキーンと、耳鳴りがしました。
『珍しいなぁ。耳鳴りなんて普段鳴らないのに。』
初めはその位に思っていました。
キーンという耳鳴りがしたのはおそらく2,3秒のことで、その瞬間、突然右耳から『シュッ』という音がしました。
はっきりと覚えています。
世界中の音が、まるで私の右耳の中に全て吸い込まれたような、そんな感覚でした。
その後は、なにも音がしません。飛行機に乗って耳が詰まったあの感覚が続き、気持ち悪いなぁと何度か耳抜きをしましたが変わりませんでした。
○1時間経って不安になる
16:00
3色ボールペンを右耳に当て、カチカチと鳴らしてみますが右耳からはなにも音がしません。
『もしかして私、片耳聴こえてない…?』
その時、急に不安が押し寄せてきました。有名歌手が突発性難聴を公表した事を思い出し、思わずGoogleで〈突発性難聴〉と検索をかけていました。検索ページに書いてある突発性難聴の特徴に、今の自分が全て当てはまる事に気がついてからは、一人、手が震えていました。
『近くの耳鼻科は何時まで開いているだろう。』
思考は意外と冷静で、会社の前の耳鼻科が18:00まで受け付けている事を知り、病院に行く事を決意しました。
16:30
オープンスペースで会議をしていた上司に「病院に行きたいので早退します。」と告げました。他の人もいたので、上司は深くは聞かず、「気をつけてね」と言ってくれました。
○病院へ駆け込む
動揺していたのか、それからの事は断片的にしか記憶にありません。
・聴力検査をして、いつも聴こえる『ピー』という電子音が、右の時だけなにも聴こえなかった事
・他の患者さんが一人、また一人と帰り、自分一人だけになった事
・お医者さんに「あなたの右耳はスケールアウトと言って、検査の1番大きな音が聴こえない状態です」「明日、大きな病院に行きなさい。紹介するけど、どこがいい?」と聞かれた事
・無理に笑おうとする私に「きっと治るから」と、少し辛そうな顔で励ましてくれた事
病名は予想通り、突発性難聴でした。
○病院を出て会社に向かった
『明日から少し休むって言わなきゃな』と思い、病院の目の前にある会社に足を向けました。上司に電話をしなかったのは、今思うと、電話だと泣いてしまうのが怖かったからだったんだと思います。
エレベーターを降りると、ちょうど帰ろうとする上司が目の前に現れました。「あれ?かおり、帰ったんじゃなかったのか。大丈夫か?」上司は笑顔でエレベーターに乗り、一緒に駅へ向かうことになりました。
「突発性難聴でした。右耳、聴こえなくなっちゃいました。」
それだけ言って、不安なのか安心なのか、目が熱くなったのを感じ、心配させまいと笑いました。
「すみません、明日から少しお休みいただきます。」
もう涙はこぼれていましたが、笑顔は崩すまいと、必死でした。
上司が心の底から心配した顔をしたのを覚えています。私と同じ年の娘がいると言っていました。仕事の事は心配するなよ、休みも制度を調べておくから、いくらでも休んでいいから、元気になって帰っておいで、そういった話をしました。
○おわりに
湿っぽくなってしまいましたが、これが私の耳が聴こえなくなった瞬間とその日の感情です。はじめにも書きましたが、誰がいつなってもおかしくない病気です。そんな事あるんだ、位で良いので知っている人が増えたら嬉しいです。
次回以降は、突発性難聴の治療、後遺症、生活の変化、等をとりあげたいと思っています。
突発性難聴とは
突発性難聴は1944年 De Kleynにより初めて報告された。突然に原因不明な内耳性の感音性難聴が発症する疾患である。
-中略-
原因は不明であり、かつ原因が不明であることを本症の定義とする。したがって単一の疾患とは限らず、突発性・原因不明を条件とした感音性難聴を一括した疾患群である。
(出典:wikipedia)
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