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「私が畑しごとを始めたワケ」
50を過ぎて、私は畑しごとを始めた。
私にとって未知だった、新しいキャリア。
今日はそれについて書いてみようと思う。
みんなで分けると農作地はわずか100平方メートル
あなたは知っていますか?
土の研究者である藤井一至さんによると、地球全ての農作地を今の地球の人口で均等に割ると、1人あたりおよそ100平方メートル(約30坪)しかないんですって。
野菜って植物だから、生育して大きくするのにそれなりの時間が必要でしょう?
それを考えると野菜、米、小麦などでそのスペースを常に満タンにしておけるわけではないでしょう。
そしてこの面積の中には焼畑も含まれてるそうで・・・しばらく作付けできない休耕地も含まれてるということ。
100平方メートルの中でもさらに限られたスペースで、わずかに収穫できる野菜を私たちは今日食べてるんです。
スーパーにいつも野菜が並んでるから、そこまで思考がいかないですよね。
野菜、高いな、ってとこまでは考えるけど。
きっかけはひとつぶの種から
私が畑仕事を始めたきっかけは、1粒のカボスの種。
冷蔵庫にずっと放置されたままだったカボスを切ってみたら「あーやっぱり・・・」果実は水分も飛んでしまってすっかすかに。
でも、種だけはみずみずしく「生きてるよー」という主張強めな状態で果実の中に収まっていた。
皮も実もすっかすかなのに、種はすこぶる元気。
『もしかしてこの種蒔いたら芽が出るかな・・・』
そんなちょっとした実験のつもりで撒いてみたら、1週間後に芽が出てきた。
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いつもなら当たり前のように捨ててしまうこの果実の種も、ちゃんと命があって、皮も実も栄養を種に届けて守ってたんだね・・・と思うと、なんだか愛を感じるよね。
それからは、普通なら捨てる長ネギの根っこのところやタマネギの芯やらかぼちゃの種やら「ごみ」にされる面々を次々と拾い上げ、土に埋めてみたら、よく育つ!
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植物の生命エネルギーもすごいけど、土の力って、すごいわ。そう思いながら、土いじりが日課になった。
そしてそして、もっとたくさんの土をいじってみたいと思い、畑を借りて本格的に野菜作りすることにした。
主体的に形成するのはキャリアだけじゃない
今「主体的なキャリア形成」というのが国でも推奨されているけれど、食に関しても「主体的に形成」していく必要がある。
これから人口はまだ増えていくのに反して農業を従事する人は減り、さらに農作地が減るとすると私たちには100平方メートル分の野菜は与えられなくなる。
しかも、なんと地球から土ってどんどん減ってるそうだ。
深さでいうと、1年間に1センチずつ減っていってる。
そして、その1センチの土が新たにできるまでに、実は10年もかかる。
これを繰り返していくと・・・今日食べる野菜がない、お米がない、小麦がない、いやむしろそれらを作る土がないという日がいつか来るかもしれない。
さらに地面をアスファルトで固めたりしたら、表面積も減っていく。
お金では解決できないほど、これからの食糧不足問題、土不足問題って深刻なんだ。
スーパーに米だけでなく、野菜が並ばなくなる日が来るかもしれない。
だから「主体的に」野菜を育てて、今日食べる野菜の1/3でもいいから自給自足の習慣をぜひお勧めしたい。
私たちは土です
土から生えた野菜や米や麦を食べて、土から生えた餌を食べた動物を食べて、その栄養で体は活動してるんだから、私たちはもはや土だ、というのは極端かもしれないけど、土にありがとうって言いたくなる。
「お金を払って得る」ではなく「自分で作って得る」という選択肢
現代人は何が不安かっていうことのひとつに「お金がなくなる」ことがある。
「〜のひとつ」なんてもんじゃなくて、もはや人間の不安なんて、お金と人間関係と健康しかないと思ってもいいくらい、お金への執着はつきまとう。
お金がないと何が不安かというと、ものを作り出さない人にとっては「何も得られない」状態になるから不安になる。
私たちは全て「お金」でものを買ってる。ものを作る側の人はものを売ってお金を得ている。
でも、ものを作る側がたくさんのものを作れなくなって、供給する分を生産できなくなったら、他人にものは売らなくなる。
お金をたくさん払っても、作る側の人からしたら、自分を犠牲にしてまで売ろうとは思わない。当たり前のこと。
だから、みんながお金を稼ぐより、自分でものを作る、生産することを少しずつ増やしたほうが安心な生活に少しでも近づける。
お金を払って買っているものの中の1/3でもいいから、「主体的に」生産できるようになったら、あなたの生活は、人生は、どんなふうになると思いますか?
私のように、初めはタダのものの中から。
よーく見てみたら、きっとお宝はみつかります。
ぜひ、あなたの身の回りに、捨てようとしているもの、埋もれてしまっているもの、何かないかなと観察してみてくださいね。
それがあなたのこれからの生活、人生の大きな種になるかもしれないから。
好きな人を守ること
私、ELLEGARDENが大好きだ。
中でも細美武士さんと同世代ということもあり、考え方に大きく共感することが多い。
昔は線の細かった細美さんが、30代半ばくらいから、ちょっとずつムキムキの体になってきた。
そのころのインタビューで「なぜ体を鍛えるようになったの?」と聞かれた時に答えていた。
「何が起こっても自分の好きな人くらい守れる人間でありたいから。」
私は畑を続けることで「自分の好きな人たちの食」を守りたい。
冗談じゃなくて、本気でそう思うんだよ。
私は体は大きいけれど、やはり女性だからいくら体を鍛えてムキムキになっても、男性ほどのパワーは出せない。その代わりにもならないかもしれないけど、畑でお野菜を作り続けていたら、世の中がどんなふうにひっくり返っても、口に入れる栄養だけは、好きな人たちと少しずつでも分け合うことができる。
世の中がひっくり返ったとき、私にはもうそれくらいしかできないと思う。
でも何もできないよりはマシだ。
だから私は「畑を耕す」ことで好きな人を守る、そう誓いながら土いじりを続けていく。
って畑をやっているけれども、すべての野菜をここで賄えられてはおらず、スーパーで買ったりもする。
でも前みたいに大量に買い込まず、食べ切れる分だけ買うようになった。
安いからってたくさん買い込んでもダメにしたらもったいないし、そのダメにした野菜で誰かが空腹を満たせたかもしれないと思うと、以前の自分は愚かだったなぁ。
なんて、この文章を書きながら、反省している。
ということで。
ひとつぶの種が、アクセスする情報も大きく変え、みえる世界と思考の幅とそしてライフキャリアの幅をとても広くしてくれたよ、というお話でした。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
では、また次回もよろしくお願いします。
今日もあなたの幸せを願っています。
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