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ドジャース大谷通訳 ギャンブルスキャンダル 内部監査の目線から。。。

ドジャース大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告が大谷の口座から総額1697万5000ドル(約26億3000万円)を盗んだとする銀行詐欺などの罪を認めて、当局との司法取引に応じたと報道されましたね。

報じられている内容は以下の通りです。
水原容疑者は18年3月にアリゾナ州フェニックスのA銀行に同行し、被害者A(=大谷)の給与振り込み用の銀行口座開設を支援。ウェブサイトのログイン情報のやりとりでも通訳をしていた。後日、口座開設時に決めたパスワードを思い出し、ウェブサイトから口座にサインインすることに成功。行員が口座からの電信送金を確認する際、大谷でなく自分につながるよう、登録メールアドレスと電話番号を変更した。  

送金が拒否されたこともあったが、電話をかけて大谷の名をかたり、ブックメーカーの同僚に自動車ローンのために資金を振り込もうとしていると偽った。本人確認のため登録電話番号へ6桁のコードを送信されても、変更済みだったため同容疑者に送られた。その後約40回、1700万ドル(約26億4400万円)近くが不正に送金された。  

また昨年9月には歯科治療のため6万ドルが必要だと大谷におねだり。大谷から6万ドル(約933万円)の小切手が振り出された。だが水原容疑者は許可も承認も得ないまま、大谷のデビットカードで支払いを行った。小切手は自身の口座に入金し、個人的に使用していた。

大谷選手が水原被告を信用しすぎたから起きたこと? それで片づけられることしょうか !?

必要な内部統制は何だったんでしょう?監査の目線から検証します!

銀行ウェッブサイトの不正利用

大谷選手は銀行のウェッブサイトのログインパスワードを知られていたにも関わらず、IDの変更をしていなかったようです。デフォルトのパスワードから変更してくださいとのメッセージを無視してそのままにしている場合も危険です。

IDパスワード知っていたらやりたい放題ですね。メルアドや電話番号も変えていたなんて。。。。

必要だった統制はこの場合

  • 口座残高の確認 - 大谷選手は銀行口座開いたまま、まったく残高を確認していなかったのでしょうか。大まかな残高でもいいのでやはり把握が必要だったと思います。送金が起こった後の確認にはなりますが、不正送金が巨額に膨らむことは防げたと思います。

  • 複数口座をもつ ー 銀行口座を用途によって分けられてもよかったかもしれません。入金用の口座、貯蓄用の口座、生活費用の口座、出金用の口座 … でも、この場合給与口座を不正につかわれてしまっていますからね。少なくとも資金移動をしようとした時点で残高が少ないことに気づくくかがカギになります。

以下は一般的に会社で有効とされる統制です。

  • ダブルチェック - いわゆる職務分離です。一人で支払いをできないようにシステムを設定する、手順の作成。内部統制は性悪説に立っているんですよね。優秀でいい人だからと言ってすべてを一人で完結するよう任せるのは統制がないことになります。

  • 発注書、納品書、請求書を照合 - 架空支払のを防ぐことが目的です。継続的な取引であれば契約書の確認も必要です。

  • 決裁の確認 ー 担当者が勝手に発注したものでないか、会社の決裁基準に合ったものであるかの確認をします。

  • 支払いマスター管理 - 怪しい出金先がないか。支払いマスターを作成して、承認された支払先にしか支払いしないという統制です。支払いマスターを管理しておくと反社の取引も防ぎやすくなります。

  • 入出金のトレンド確認 - 監査では不正出金がないかデータのトレンドチェックをする場合があります。同じ支払先に異常な回数の振り込みをしていないか、支払い金額が異常に増えていないかを検証します。

  • 休暇を取らせる ー 銀行などは担当者に強制的に休暇を取らせます。その間不正隠す行為ができないので、不正を発覚することができるという考えに基づいています。 

内部統制の教科書に載っているのですが、プライバシーの関係で検証は難しいですが、担当者の動向も加味する必要があるとされています。急に分不相応な生活(ブランド物、車の購入、派手な飲食、豪遊など)をする、ギャンブル好きなども着服の端緒です。水原被告もこれにあたりますね。

デビットカード不正利用

水原被告は大谷選手のカードを不正に使用したということは、カードを持っていて、暗証番号も知っていたことになりますね。カードの不正支払いを防ぐには暗証番号を教えないことが重要ですが、代理人として利用を許可していたのでしょうか。では、他にできたこととしては、

  • カードの上限金額を設定する

  • カード用の口座を別に設定して一定金額または申告のあった金額を振り込むようにする

  • カード明細を確認して不適正な支払いをカード利用者に請求する

大谷選手は野球に打ち込んでいるので、銀行口座残高同様カード明細チェックすることはしていなかったのでしょか。その場合、水原被告以外の第3者に確認を依頼しておけばよかったかもしれません。今は奥さんがそばにいるので確認してもらうこともできるかもですね💛

おわりに

実は現金預金の着服、不正はあとを絶ちません。ネットで検索しただけでも個人、会社事例がたくさん出てきます。表に出ない案件もたくさんあります。この人だから大丈夫、この会社に任せたから大丈夫ということではなく、時に疑いの目をもって検証する必要があるのです。



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