「こうすべき」にとらわれてきた私が、「こうしたい」を応援するキャリアコンサルタントになるまで
ご覧いただきありがとうございます、キャリアコンサルタントのkaoriです。都内在住、小学生の娘と保育園児の息子を育てるワーキングマザーです。
2022年の夏に約15年間の会社員生活を卒業し、現在はフリーランスとして人事の仕事とライター業、そしてキャリアコンサルタントとしての活動をパラレルワーク(複業)で行っています。
今でこそキャリアコンサルタントとしてキャリア支援の仕事をしていますが、私自身ずっと自分のキャリアに自信がなく、いつも何かしらモヤモヤした思いを抱えてきました。そんな私がなぜキャリア支援を仕事にしようと思ったのか、これまでの経緯について自己紹介を兼ねて書いてみました。少し長いですがお付き合いいただけると嬉しいです。
原点にあった「誰かの人生の後押しをしたい」という思い
3人きょうだいの長女として山梨県で生まれた私は、本を読むことと絵を描くことが好きで、両親の本棚にあった本を小学生のうちに読破するような子どもでした。将来の夢は小説家か漫画家。
高校まで地元で過ごし、大学進学を機に上京。幼少期の夢は才能がないとわかり諦めていましたが、本をつくりたいという思いは消えず、大学卒業後は編集者になることを目指していました。当時は編集といえば紙の本だったということもあり、出版社に入社するのが編集者になる唯一の道。他の学生同様に就職活動を始めるのですが…。結果は全滅。
両親をはじめ周囲の大人がほとんど専門職だったこともあって「会社に就職する」ということがピンと来ていなかった私は、「編集者」という職種ありきで就職活動をしており他の選択肢を全く考えていませんでした。(今思えば、そのビジネス視点のなさも失敗の原因かと思います…)
自分を見つめるために1人旅に出て、瀬戸内の海を眺めながら「なぜ編集者になりたかったのか」をあらためて考えました。
そこで、私が編集者になりたかったのは文章を書いたり読んだりすることが好きだったからということもあるけれど、「(本を通じて)誰かの人生を後押しする」ことがしたかったからなんだなぁと気づきます。私の興味関心の源泉はいつも本で、娯楽の少ない田舎の町で本や雑誌が世界を広げてくれました。そこから「自分もやってみたい」「自分もこんな生き方をしたい」と、行動を後押ししてもらっていたことを思い出したのです。
東京に戻った後、人材業界や教育業界など「人生を後押しする」ことができる業種や企業に範囲を広げて就職活動を再開。大学卒業間際に人材系ベンチャー企業に内定をもらい、無事就職できることになりました。
人材業界、そして人事のキャリアへ
入社後は、転職情報誌に掲載される求人広告の制作をする部署に配属になりました。終電帰りは当たり前、時には始発で帰宅して午前10時にまた出社という生活で20代前半にして白髪も生えましたが、新卒1年目から主担当としてクライアント案件を任せてもらえ、営業担当と二人三脚で企業の採用を支援する仕事にやりがいを感じていました。とにかく息つく間もなく忙しかったですが、毎日が文化祭の前夜祭のような雰囲気が好きでした。(体力のある20代だったからできたことだと思いますが…)
ところが入社3年目の夏にリーマンショックが起き、世の企業はこぞって人材採用を縮小。私の会社の業績も厳しい局面を迎え、担当していた雑誌は休刊になり私は部署異動。それまでの身を削るような働き方に限界を感じていたこともあり、退職することにしました。大学時代から、いつか異なる文化の中で学び視野を広げたいと思っていたので、良い機会だと思いイギリスの大学院に進みます。
大学院ではメディアコンテンツ制作を学び、帰国後は編集の仕事に再チャレンジしたいと思っていました。しかし、二度目の就職活動もやはり苦戦。新卒時と比べてインターネットメディアも多く出てきていたため、雇用形態にこだわらなければチャンスはあったと思います。でも「大学院まで行ったのにアルバイトなんて」という気持ちが邪魔をし、また貯金が底をついていたため早く安定した職につかなければという焦りもあり、目指していた仕事とは違ったけれど正社員で内定をいただいたメーカーに入社することにしました。
入社後は、海外関連会社とのコミュニケーション業務を中心に経営企画や人事などのバックオフィス業務を幅広く担当。色々な経験をさせてもらえたことは良かったのですが、広く浅い業務経験に「自分のキャリアはこのままでいいんだろうか」と不安を感じるようになります。経営資源の「ヒト」「モノ」「カネ」に広く関わる中で、やっぱり自分は「ヒト」に関わっていきたいと思い、人事職を目指して転職活動を開始。事業ビジョンに共感したWebサービス運営企業に採用担当として入社しました。
フラットな立場でキャリア支援をしたい
入社後しばらくは中途採用業務を行い、その後第一子の出産・育休を経て研修・表彰制度など社内向けの企画業務に取り組みました。人を軸に経営課題の解決を目指すという人事の仕事はとても興味深く、正解のない問いに立ち向かうワクワク感もありました。
一方で、どこかモヤモヤした気持ちも抱くようになりました。全社に導入する研修や制度の企画をするなかで、その先にいるはずの社員一人ひとりが見えないことに物足りなさとやりにくさを感じるようになったのです。
そこで、社員一人ひとりの仕事に対する思いや抱えている悩みなどを知る機会を意識的に作るようにしました。採用広報や社内広報の仕事に手を挙げて社員インタビューコンテンツの制作をしたり、業務外の活動ですが子育て中のママ社員同士で働き方やキャリアについて話す交流会を開催したり。そうする中で、やっぱり私は誰かのキャリアストーリーや思いに直接触れ、それを応援する仕事がしたいと思うようになります。
しかし同時に、社内でできることの限界も感じました。ママ社員交流会では「みんな同じように悩んでいるとわかって気持ちが楽になった」「育児と仕事の両立のコツが聞けて参考になった」など嬉しい感想をいただきましたが、一方で「社内の人には一歩踏み込んだキャリアの相談はしにくい」という意見もありました。個人的にキャリア相談をしてくれる社員もいましたが、私は人事という立場上、100%その人に寄り添った関わりができず歯痒さを感じることもありました。
また、私自身も育休からの復職後に働き方で悩んだ時、誰にも相談できずに一人で長い期間抱え込んでしまったことがありました。上司や同僚には相談しにくい、友人は共感はしてもらえるけれどアドバイスはもらえない、転職したいわけではないから転職エージェントに登録するのも違う....。そんな時にフラットな立場で話を聞いてくれ、背中を押してもらえる相談相手がいたらいいなと思っていました。
そうした経験から、利害関係のない専門家として、その人らしい働き方・生き方を選択するサポートをする仕事がしたいと思うようになりました。それは就職活動時から抱いていた「誰かの人生を後押ししたい」という思いにもつながるものでした。
大切にしたいことを全部手に入れるため、フリーランスという働き方を選択
社外でのキャリア支援を仕事にすることを考え始め、第二子育休中にキャリアコンサルタント資格の勉強を始めます。
復職後に試験を受け無事合格し、副業でキャリア支援の仕事にトライしようと考えました。しかし、週5日勤務しながら育児もして、さらに副業のための時間をつくることは私には難しく、行動に起こせないまま日々が過ぎていきました。
とはいえ、仕事を辞めてまでチャレンジする勇気はありませんでした。自分の経歴の中で唯一自信を持って言えるのが「人事のキャリアがあります」ということだったので、それを手放すことへの怖さがあったのです。もう少し頑張ればポジションも上がり、今まで見えなかった景色を見ながら仕事ができるようになりそうで「ここで辞めたらもったいない」という思いもありました。10年近く在籍していたので会社のカルチャーや人間関係に馴染みが深かったことも、なかなか一歩踏み出す決断ができなかった理由でした。
でも、そのまま人事の仕事を続けながらも、自分の仕事を天職だと語る人の話を見聞きするたびに「私は心からやりたいと思える仕事にチャレンジしなくていいのか」と心がざわざわしていました。
転機となったのは、上の子の小学校入学でした。小学校に上がれば手がかからなくなるだろうと勝手なイメージを持っていたのですが、いざ入学してみると保育園時代とは違ったフォローが必要になり、今まで以上に子どもと向き合う時間が必要になったのです。にもかかわらず、同じタイミングで私は仕事での役割が変わり、物理的・精神的な負担が増加。私の状態に比例して子どもの精神状態もみるみる不安定になりました。
本当に自分が大切にしたいことは何だろう?と考えた結果、やはり子どもと向き合う時間と、私自身が仕事で充実感を得て笑顔でいることだと思い至ります。
それまでの私だったら、「そんなの両方叶えられるわけない!」と思ってしまいそうですが、それって本当に欲張りなの?実現できる方法はないの?と自分に問いかけました。そして浮かんだのがフリーランスという働き方でした。実は以前からフリーランスに憧れはあったのですが、正社員としての待遇や組織の中で上を目指すという直線的なキャリアをなかなか手放せずにいました。でも、自分が何を大事にしたいのかにとことん向き合った結果、驚くほどすんなりとその選択を受け入れることができたのです。
現在、一日の半分は人事の仕事を業務委託で行いながら、残りの時間でキャリア支援の仕事をしています。コンテンツ編集の仕事にもやっぱりチャレンジしたく、キャリアや人事関連領域でのライターの仕事も始めました。
フリーランスになったことで、やりたい仕事に全部挑戦できるようになったと同時に、平日日中に子どもと過ごす時間も作れるようにもなりました。今はこの働き方が自分や家族にとってベストだと思っています。ですが、この先ずっとこの働き方をしていくかどうかはわかりません。その時々で自分が一番大事にしたいことやありたい未来の姿に目を向けながら、柔軟に、しなやかに、働き方を変えていきたいと思っています。
おわりに
私のこれまでの人生を振り返ると、「あの時もっとこうしていれば」と思うことがたくさんありました。その後悔の多くは、「こうすべき」と思い込み、自分の本当の気持ちに蓋をしてしまっていたことが原因でした。
もちろんその選択をしたからこそ得られた経験もありますが、長く暗いトンネルの中を歩いているようだった時にもっと早く自分の本当の気持ちに光を当てて向き合うことができていたら、また違った今があったと思います。
もちろん、大事な「べき」もあると思います。でも、もしかしたら手放してもいい「べき」もあるかもしれません。自分がどんな「べき」にとらわれているのかを認識して、そのうえで本当に大切にしたいことを選び取っていきたい。そしてキャリアコンサルタントとして、一人でも多くの方のそうした生き方を応援していきたいと思っています。
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