見出し画像

コモドドラゴン?バリ島の自宅前のどぶ川で見つけたオオトカゲの話

 家の周りを流れるどぶ川(写真下)に近づくとパチャッと 
水の跳ねる音がして、何かが奥に隠れた。前の田んぼから
流れてきたカエル?小魚?それよりずっと大きそうだ。
何かがじっと隠れている。警戒心がかなり強そうなものが。

 晴天続きでどぶ川が干上がったとき、底の砂地に、
それが残したと思われる跡がついていた。1メートルは
ありそうだ。真ん中に腹を擦った跡、その脇には爪痕が
深く残っていた。

 「姿を見せて、何もしないから」。

ある時、2階のバルコニーから何気なくガレージを見下ろすと、
それはいた。オオトカゲだった。首を上げ、何かを凝視している
ように、あるいは考え込むようにじっとしていた。芸術品だった。
写真を撮るのを忘れた。

 ミズオオトカゲはインドや東南アジアに生息し、
全長2.5メートル、体重25キロまで育つ。インドネシアのは
黒っぽく、黄色の斑点がある。指先の鋭い爪が獰猛な印象を
与えるが、ヘビの様な先の割れた舌を出すところはいかにも
トカゲ。

 でも肉食で、ネズミを食べる。前の田んぼでは、シラサギに
向かってコモドドラゴンのように体を左右にくねらせて
猛ダッシュするところを目撃した。捕まえていれば、
ライブ版ナショナル・ジオグラフィックだ。あんな無理めの
相手に手を出すなんてよほどお腹が空いていたのだろう。
私の日本人の友達は寝ている彼女の赤ん坊に近づくのを見て
仰天したそうだ。

 

オオトカゲが住むどぶ川

 それが数日前、隣人の家の前のパパイヤの木に縛りつけられ
ていた。(写真上)首に食い込んだナイロンの糸が痛々しい。
1メートルはあるだろう。「餌を仕掛けて捕まえた。後でワルン
(ローカルフードを出す店)に売りに行く」と隣人が誇らしげに
話した。これくらいの大きさだと1,000円ぐらいになるという。

 翌日、その場所に行くとミズオオトカゲの姿はなかった。
隣人にお金を渡して買い取るべきだった。そしてその場で放せば、
私の大切にしたい気持ちを分かってくれたはず。
ジャワ島の伝統市場の鳥の店で、店の鳥を全部買って
「さあ、自由になるんだよ」と言いながら、その場で全て放した
白人の様子は広くソシアルメディアで伝えられた。
多くのインドネシア人が共感した。

 サワガニ、カエル、5,6種類くらいはいそうなサギ、ニシキヘビ、
オオトカゲ、キジバト。家の中には20センチほどの大型の
ヤモリがいて、時折、部屋全体に響き渡る大声で鳴く。
「僕はここにいるよー」と言うかのように「トッケー」と。
身近にこれらの動物が暮らしていることが奇跡に思える。
毒ヘビは嫌だけど。

 あのトカゲ、解体されて、焼き鳥のように串に刺されて、
誰かのお腹に収まったんだろうか。助けていたら、
竜宮城に連れて行ってくれたかな。どこの?
          


     


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?