丑の日
今日は丑の日。
「う」のつくものを食べると良い日。
スーパーでは鰻が並んでいましたが、梅干し・うどん・牛でもいいとか。
ほかに「う」がつくものでは、ウコン・・・ ウルメボシ・・・?
と考えたものの、結局は鰻で落ち着きました。
今日はこの絵本
「ごんぎつね」新見南吉の本は他にもあると思いますが、
私がすきなのは、偕成社の黒井健さんのイラストのものです。
おはなしは有名ですし、教科書にも取り上げられていたので、
ご存じの方も多いと思います。
子狐のごんは一人で山にすんでいます。
ある日、いたずらで兵十がせっかく捕まえた魚をにがしてしまうのですが
そのなかでも、一番おおきなうなぎを捕まえようとしたところを兵十に見つかってしまいうなぎをくわえたまま逃げ出します。
結果的に兵十は、うなぎをうちに持って帰ることはできませんでした。
しばらくして、兵十のおっ母が死んでしまったことを知ったごんは、
(兵十のおっ母は床についていて、きっとうなぎが食べたいと言ったにちがいない。それなのに・・・)といたずらしたことを悔やみます。
自分と同じで、ひとりになった兵十、せめてものつぐないにと
ごんは山でとれた栗や松茸を届けるのですが、
そんなごんの気持ちは兵十には伝わらず、物語は悲しい結末をむかえます。
兵十のおっ母が亡くなったことと、ごんがうなぎを持ち逃げしてしまったことは、もしかしたら関係はないかもしれません。
けれど、穴の中でひとり、兵十のおっ母のことを思い、いたずらしたことを悔やむごんは、もうそれだけで十分心優しい子狐だということは、読者には伝わってきます。
こんないたずらをしてしまうごんは、人間でいうと小学校低学年までくらいの男の子だと私はイメージしています。
そのくらいの子どもが一人でいるということは、ごんもお母さんと一緒にいることができなくなった事情があるのでしょう。
ごんの優しさは、じぶんとおなじ一人になった兵十に向けられています。
黒井さんの柔らかで優しいタッチのごんのイラストが、
心根の優しさを持ったごんの背景を想像させてくれ、ごんがとても愛おしく思えます。
国語の学習で、ごんの気持ちや兵十の心の動きなどを考えて読んでいく授業をしたことがありますが、授業で読み込むほど、お話しの魅力が減ってしまうように感じていました。
このお話しは「おはなし」として読んだ方がいいなと思います。