アセスメント
訪問介護の仕事から、施設ケアマネに変わってから来月で丸3年。
在宅生活の世界から、施設への戸惑いは今も変わらない。
それでも、ずっと大切にしてることがある。
新しく入居する方のご自宅での生活を知ること。だから、入居前のご挨拶は特別な理由がない場合ご自宅へ、伺うようにしてる。
当たり前でしょと言われるかもしれないが…それが当たり前じゃないということがずっとだった…。
施設に勤務してから、入居前にどんな生活をしていたか全くわからないという人ばかりで…。しかも、誰に聞いてもわからないと言われ大変困惑したことがある。
今までは、私が知らなくてもスタッフがみんな知っていたということもあったから…。
そら、流れ作業のようになるわけだ…と思いたちコツコツやれることをやってきた。
生活の場を変えるということは、ご本人はどれだけ不安になるか…どんな気持ちか計り知れない。
みんな、入居して口々に安心しましたなんて言うだろうけど…それが心からの言葉じゃないと考えてしまう。
昨日、ご入居前のアセスメントにご自宅へ伺う。
結構な、ぼこぼこの石段があるお家。
出迎えてくれた、たぬきの置物には手作りの毛糸の帽子やマフラー🧣が( #●´艸`)。
玄関を入ると左側にリビング。
こたつでの生活。廊下には、色々段ボールが置かれている。
押せば開く、開戸のリビングから見えた笑顔の下に隠れてる戸惑い。
多くを語らず、身内である甥の顔をニコニコ見てる。
家の風貌と乖離するようなピカピカのエアコンは、昨夏の暑さであたらしくしたらしい。
いつもの…というよりヘルパー時代の私が必ずチェックするポイントは必ずチェック。
ブレーカーはどこ?
壁の傷や汚れ。廊下の軋み具合。
壁や柱の汚れ具合で、手を使う位置がわかる。
日常の歩く姿や、生活してる姿が生々しく見えてくる。
どんなに、大丈夫だからと胸を張っていても綻んでいるところも見えてくる。
家での暮らしは、そんなことが見えてくる。
だから私は、自宅での聞き取りに重きを置く。
施設に来るからと言って、今までの生活を置いてけぼりにするわけではないから。
なんなら、続けられることは続けた方が良い。語ることができなくなった時のために、暮らし方を知る必要かあると考えるから。
「実は婚約者がいたのよ。うふふ。」
そんなことを話しながら、私は世界一の幸せ者なのと笑顔をみせる。
ここだから、見られる顔だなとしっかり自分の記憶に留めておく。
こんな顔を、また見れる日がまたすぐ来ますようにと自分に言い聞かせて帰路につく。
ボコボコの石段の脇には、簡易的に作られたパイプの手すり。
私が育てたのよと話す傍にいた、甥っ子さんが作ってくれたのと笑って教えてくれる。
私は1人ものだけど、1人じゃないの。
ホームでの生活に変わる不安が少しでも紛れるならそれでいい。
他愛のない会話にも、意味がある。
ここ(自宅)でしか見れない顔がある。
それを知ってる人になりたいから、自宅への訪問は続けたい。
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