オフショア開発とは｜グローバルリソース活用からのメリットの解説
1.オフショア開発とは？
近年、日本企業は主に中国へアウトソースを行ってきましたが、中国国内の人件費の急激な上昇を受け、新たなオフショア開発の委託先として、ベトナムやインド、ミャンマーといった東南アジア諸国に注目が集まっています。これにより、日本企業は従来のアウトソーシング先を見直し、新しい委託先の選択肢を広げています。
1.1. オフショア開発の登場の背景
特に注目すべきは、日本国内で深刻化しているITエンジニア不足の背景から、開発リソースを確保する目的でもオフショア開発が活用されている点です。これは単なるコスト削減のためだけではなく、技術力や開発体制を含む総合的な観点から、グローバルなリソースを最適に確保する「グローバルソーシング」の意義がますます強まっていることを意味しています。オフショア開発は単に人件費が低い国への委託という考えから進化し、国際的な技術と人材の融合を目指す重要な戦略となっています。
また、オフショア開発はコロナウイルスの流行によって急速に普及しました。リモート体制への移行が進んだことで、これまでのように物理的な距離や国際間での時間差に対する障壁が低くなり、リモートでのプロジェクト管理やコミュニケーションが進化しています。これにより、日本国内の企業が、海外の開発拠点と連携して開発プロジェクトをリモートで進めることに対しての抵抗感が薄れ、オフショア開発を以前よりも積極的に採用する傾向が高まっています。
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1.2. ニアショア開発とは
オフショア開発を円滑に進めるためには、日本の本社と海外の開発チームの間の連携が不可欠です。これには、言語や文化、商習慣の違いを理解し、双方のコミュニケーションを支える役割として「ブリッジエンジニア（ブリッジSE）」の存在が重要です。ブリッジエンジニアは、コミュニケーションやプロジェクト管理、調整を行い、双方のチームが円滑に協力できるようにサポートする役割を担います。
オフショア開発に類似した概念として「ニアショア開発」もあります。これは、日本国内の人件費や物価が低めに抑えられている地域の企業に開発をアウトソースする方法で、日本国内の委託先であることから、タイムゾーンの差や言語の壁が少ないという利点があります。
2.オフショア開発の委託先国別ランキング
2023年の委託先国ランキングでは、ベトナムが特に人気を集め、日本企業の約半数がオフショア開発先としてベトナムを希望しています。これには、親日的な文化や勤勉な国民性、地理的に近いこと、安価な単価といった要素が影響しています。ベトナムはIT技術者も豊富であり、日本市場に向けたオフショア開発を提供する企業が急増しています。
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3.オフショア開発のメリット
オフショア開発のメリットは、大きく分けて以下の3つに分類されます：
3.1. コスト削減
日本国内のエンジニアの人件費は年々上昇しており、自社開発を行う際のコストが高騰しています。一方で、オフショア開発では人件費が比較的安価な国のエンジニアを活用できるため、コスト削減が可能です。例えば、ある大手SIer企業は、ベトナムにオフショア開発を委託することで、開発コストを約30%削減することに成功しています。
3.2. グローバルリソースの活用
海外の開発会社と協力することで、グローバル市場への進出や、現地の顧客対応を強化することが可能です。たとえば、中小企業がインドの開発会社に委託することでグローバル市場に参入するなど、現地の顧客ニーズに柔軟に対応できる体制を構築するケースも見られます。
3.3. 技術力や開発体制の強化
オフショア開発企業には日本国内にない技術やノウハウが存在する場合も多く、これを活用することで自社の技術力や開発体制の強化を図ることができます。また、複数の開発会社からエンジニアをアサインできるため、自社で不足しているリソースを補充し、効率的な開発体制の構築が可能です。
4．まとめ
現在、多くのオフショア企業が自社の独自性や専門分野を強化し、受注競争に対応しています。たとえば、特定の技術（Rubyなど）に特化している、柔軟な開発体制を提供できる、提案時に無料でプロトタイプを開発するなど、それぞれが差別化を図っています。これにより、日本企業側にとってはオフショア開発先の選択肢が広がり、自社に最も適した企業を見つけることがしやすくなっています。
こうした状況の中で、オフショア開発を成功させるためには、委託する開発内容や目標を明確にし、求める条件に合致する企業を慎重に選ぶことが重要です。もしオフショア開発企業の選定に迷うことがあれば、カオピーズにぜひご相談ください。