『須田景凪 LIVE 2022 "昼想夜夢"』が激アツ過ぎた話
信じて送り出した須田景凪が中野サンプラザの変態ワンマンライブにドハマリして激アツ音楽体験をリスナーに送ってくるなんて…
「必ず良い空間を作りたい」
「全てを出し切ります」
「明日フェスだからと言って手を抜く気はないので」
「咽喉も首も中野サンプラザもぶっ壊しましょ」
以前から昼想夜夢にかける想いの丈を度々口にし、ふんわりとイキってきた須田景凪。小栗旬ファンに怯えるほど気が弱い彼にしては珍しく、やや強気な言葉の羅列が目立つ。そして一週間前の大阪公演ではファンが口々に「コレハッベェゾ! マジッパネェ! 神セトリキタコレッベエ!」と興奮を隠しきれないでいた。
須田ファンが推しの一挙手一投足に興奮するのはいつもの事ではあるが、あの『Billow』終演後に比べても些か熱狂が過ぎる。これはどういう事か。
5月14日。湿る太陽が人々を骨まで蒸し上げる初夏。
中野サンプラザホールを訪れてまず最初に見たのは、花だった。
ステージを覆う絹の様な紗幕に、不思議な映像が投影されている。花や枝葉などの有機的なモチーフ、海中を漂う海月、森の中。そして、深い重低音と共に一歩ずつ刻まれる誰かの足跡。淡い期待と緊張を連れて、否が応にも高まる心音。私は一年前の光景――Billowを思い出した。あの時感じた名伏し難き鮮烈な高揚が、再び舞い戻ってきたのだ。
だが、かつて見た光景と今現在眼前を満たす光景の質感は、似ているようで決定的に異なるものであった。
全ての観客が瞬きすら出来ずに立ちすくむ中、
公演タイトルが一際美しく現れた。
……って 須 田 景 凪 い る ! ! ! ? ?
いる!!!
いつの間にやら颯爽登場! 久々に相見えた我が生涯の推し!!
須田景凪は、紗幕の向こうで朧げに佇んでいた。だが有象無象の人間たちを見据える眼は、深く鋭く容赦のない眼光を湛えて胡乱に見開かれている。まるで獲物を前にした猛獣。私は確信した……今宵の須田景凪は、覚悟完了済みだと。マジでサンプラザ粉砕する気だと!
透き通った電子音が場内を満たし、白い光が主役を燦然と飾る。
オープニングナンバー「Alba」――夜明けの到来だッ!!
巨大な紗幕にMVが投影され、目が覚めるほどに甘く鮮烈な歌声が骨の髄まで突き刺さる。全編CGで描かれた生彩でいて抽象的なアニメーションMV、その只中でクロスする二つの光を浴びながら歌う須田景凪。
その姿は文字通り白銀色に眩く光り輝き、鬣めいた長髪の毛先一本一本にまで張り詰めた神経が通っている様な、一種神さびた凄みがその華奢な身に宿っていた。もう、もう、登場の時点でカッコ良くてオタクし゛ん゛ち゛ゃ゛う゛。いつも眉毛wwwだの白菜ヒエヒエwwwだの言ってイジってるけど、やはりモノホンと同じ空間にいると自覚した途端脊髄震えちゃうよね。
メッシュ加工の施されたスケスケプルオーバーの上から白いシャツを羽織り、ボトムスは太ももまでガッツリ素肌晒すピッタピタのダメージスキニーでキメた些かスケベな須田氏。須田景凪らしい清潔感と来る夏に向けた清涼感がありつつも、どこか漂うワイルドな雰囲気に並々ならぬ意気込みを感じずにはいられない。毛量がエグい。
しかもエグいのは演出や容姿だけに非ず。歌゛も゛上゛達゛し゛過゛き゛!
メッチャ歌上手くなってて泡噴いた。「Alba」と言えば、先の『Billow』やオンラインライブ『催花』でも披露された楽曲だが、リズム難かつ高低差の激しい曲であるためか、両公演共にやや不安定な歌声が目立っていたように感じる。それが今回は違う。全くブレない。特にいつも苦しげな調子で発声していた筈の高音部分は、琵琶湖疎水もかくやと思われるクリアな響きで大変美しかった。須田景凪、またぞろ進化しやがったか……! 開幕早々泣かせてくれるやっちゃなホンマ……!
誰もが思い思いに身体を揺らし、軽やかなステップを踏む様に手を叩く。鬱屈した日常を束の間忘れさせてくれる美しい音楽体験は、まさしく闇夜を切り裂いて訪れた夜明け。些かの瑕瑾もない、素晴らしいオープニングだった!
「ありがとう……(イケボ)」
「須田景凪です(イケボ)今日はよろしくお願いします(イケボ)」
すっかりあったまった、むしろアツアツな場内へ静かな挨拶を落とす須田氏。きみほんとにさっきまで歌ってたイケイケなお兄さん……? と疑いたくなるレベルの温度差に毎回体調崩しそうになるね。でもこのギャップがたまらねンだわ。
紗幕が上がり、代わりにステージ後方へ降りる奇妙なモチーフ。と、同時に満ちる聴き覚えのある浮遊感漂うイントロ。
ヘリンボーン柄を版画で不規則に重ねた様な、森の木立を金属的に描いた様な、何とも言えぬモチーフがセットされた瞬間「MOIL」が始まった。
内に秘めた決意と複雑な情緒の揺れを綯い交ぜにした様な歌声、ダンスナンバーの因子を含んだ緩やかなリズムに自然と身体が揺れ動く。「Alba」と同じミドルテンポの曲ではあるものの、拍動するグルーヴ感で以て目まぐるしい渦中へ巻き込む様な「Alba」とは対照的に、「MOIL」からは観客の熱を一旦落とした上で己の世界観を再度魅せ付ける様な確固たる信念を感じた。
思えばツーマンライブ『ANSWER』でも「MOIL」は導入として大きな役割を担っていたと思う。オープニングから続く美しい流れ、よいですね!
あとさー。「どんな形で~」の部分、1コーラス部分では被せ任せだったのにラストはガッツリ歌うの「自分、あえてやってるんだが?」感あって、何か……カッコ良いね(園児並みの感想)
ハンドマイクからギターにジョブチェンジして歌唱するは「鳥曇り」、そしてバルーン名義でリリースしたキラーチューン「雨とペトラ」(キター!)
激しいギターサウンドを最大の特徴とする両曲は、シャープなライト演出が非常にカッコイイ。「鳥曇り」は曲の展開に合わせてライトが次々切り替わって緊迫感溢れる仕様。サビではまるで手招くかの様に緩慢と揺れ動き、それが観客をちょっと小馬鹿にした感じで何とも言えずso goodです。ノリノリなのに俯きながらギターガン弾く須田さんも色っぽくて良いよ良いよォ~~!⤴
「雨とペトラ」は息もつかせぬ高いBPMのままに、激しく瞬くライトが会場中を疾駆するかの様。リフに合わせてバチバチ明滅を繰り返すとことかどえれえイカしてまっせ。
眩い光と白熱する爆音に内なる闘争心を駆り立てられたのか、オーディエンスの盛り上がりは早くも最高潮へ。勢い良くクラップを打ち込み、飛び上がらんばかりに踊り狂う。そのサマ、どう見てもライブ終盤のそれ。4曲目にしてこの盛り上がりようってどういう事やねん。須田のファンは、アレか。ラストに向けて体力溜めとことか、そういう考え的なのはないんか。んなしゃらくせえのあるワケねえよなあああああ~~~!?
「今」という一瞬をただひたすら楽しむのみ! 素顔も声も名も知らぬ数千を超える人間が一丸となる光景、ライブの醍醐味って感じでンまぁ~~美しいですよね!
「今日という日をめちゃめちゃ楽しみにしておりました(イケボ)一緒に全力で、良い空間を作っていきましょう(イケボ)」
短いMCに続き、深い吐息と共に零れ落ちたのは「アマドール」。
須田景凪名義として最初に発表された記念すべき楽曲は、心の奥底に沁み入る切実な響きを孕んだバラード。柔らかく切なげな歌声が空気を通じて場内を震わせ、先程までの熱狂を緩やかに解きほぐしていった。
郷愁を誘う色彩を湛え、あたたかなオレンジ色の光がステージをしめやかに照らし出す。光を受けて佇む須田景凪の目は切なげに伏せられ、柔い髪の毛先がきらきらと夢の様に透き通っているのが見えた。真善美うち揃ったその光景よ。須田景凪を視覚と聴覚の両方から享受するこの至福! 365日常々思ってんだけどさー、こんなエモーショナル極まった漢がこの世に存在するのがね、もうね、僕は信じられない。シンプルに眉毛抜けそう。抜けた。
「アマドール」の感傷的な余韻を引き摺る様にドロップしたのは「Vanilla」。光が消え去ったステージに、じわり溶け出す深いスモーク。一際異彩を放つドープなスローナンバーの登場に思わずオオッと唸った。
鼓動めいた重苦しいエレクトロニックドラムで魅せる「Vanilla」は、緊張感漂う暗黒のリリックムービーが印象的。楽曲世界が現実に侵食するかの如く、内からじわじわ響く低音の圧が堪らねえなこれ!
『Billow』や『ANSWER』で披露された時は「Vanilla」に呑み込まれるって趣だったけど、今回は湿った指先で心臓を撫でられている様なヒヤリとする不気味さをビシバシと感じた。"陰鬱な緊迫感"と"甘美な希望"の相反する要素を持つ「Vanilla」を違う視点から解釈した様な、そんな質感。
つーか毎度毎度「Vanilla」の異様な雰囲気を見事演出に落とし込んでくんの凄くないですか? 僕は凄いと思う。
次は何の曲だろー♪ 「ゆるる」来るかな? 『ANSWER』みたいに「はるどなり」かな♪
と、次曲への期待をワクワクと高める刹那。 耳馴染みの薄い、しかし明らかに聴き覚えのあるその"詞"に私は耳を疑った。
――――月明かりに消えそうな 瞳を 眺めていた。
よ、よ、……終夜ァ!!!!???
ここで「終夜」入れちゃうー!? と心底おったまげた。まさか、まだリリースされていない闇に葬られた疑惑のある曲を選ぶとは……。
これはもう~~~マジのマジのマジで! 歌声に圧倒されたね!! プラネタリウムで聴いた時から「やば……須田景凪J-POP終わらせよったぞ……」と震えたが、やはり生歌唱の威力は物凄まじい。気迫がヤバいってなんの。
宙を浮遊する様な儚い歌声から徐々に高揚し、沈黙を挟んだのちサビで一気に突き抜ける。その歌声はまさしく夜空の果てにまで響き渡るのではないかと思うほどドラマチックで、艶やかに透き通り、繊細な抑揚を豊かに帯びていた。もうさ、肺の底まで「終夜」で満たされる感覚なのよ。耳だけでなく全身で以て音を味わい尽くす贅沢体験なのよ。こんなん魂持ってかれるわ。
圧倒的とはまさにこの歌唱のためにある言葉。これ、普通はラストに歌う曲では……? 折り返し地点に置いていいの須田さん……? オタクは一向に構わんが……?
そんで追いサプライズなのか「Vanilla」同様、特別リリックムービー付きだったのもイカしてましたね。
黄昏の森の中、こちらに背を向けてどこか遠くを見つめる少女のイラストムービー。シンプルさが却って切なさを醸し出す映像と、切実な歌唱が組み合わさってオタクの知能はものの見事にダダ下がりました。ケイナやばぉ。。オタクゎ「終夜」のリリース座して待つょ。。。
じわりとした感慨に耽る最中、ふと、哀愁漂うピアノのメロディが耳に入り込んできた。おお……これは……こ れ は ……!
憂いを引き連れ厳かに登場、「ノマド」。前日にセルフカバーver.をリリースしたばかりのバルーン名義楽曲は、ピアノの旋律が美しいバラードナンバー。やっぱ来たかぁ~~! と興奮したよね。前日にリリースした時点で既に確定演出かましてたようなもんだったけど、それに加え声出し(意味深)と称した須トーリーも載せてたもんね。ファンが歌ってほしぃ曲ちゃんと把握してるケイナ、サイコウすぎるょ。。。
これはもう、クライマックス感が凄かった。「終夜」の時点で今日もう終わるんじゃね? 感あったっちゃあったけど、「ノマド」は始まった瞬間割と素直に(あ、ゆるるイズム……これで終わるんやな……)とうら寂しい気分になってしまった。そう錯覚してしまうほどに趣深く、静かな意志を感じさせる歌唱でした。
須田景凪の歌声は、バルーン名義でセルフカバーを投稿していた頃から唯一無二の個性が光っていたけれど、その歌唱力は2020年リリースの「Alba」から劇的に化けていったように思う。地声と裏声の自然な切り替えやミックスボイスの発声等、技術的な面もそうだが何よりも表現力が増した。
声に込めた感情を緩やかに、それでいて大胆に刻一刻と変化させ、聴く者の情動を揺り動かす、そんな声に進化した。癖は強いものの押し付けがましさやナルシズムは感じられず、己の心情を吐露している様な飾らない風情が彼の声にはある。文字通りの"胸を締め付ける"歌声。
「ノマド」のセルフカバーはヴォーカリスト・須田景凪の成長が殊更感じられる曲で、声の微かな震えだとか、一音に込める感情の重みだとか、サビの一種悲痛にも感じられる遣る瀬なさだとか、歌詞の一つ一つにアーティストの血が通っている。ライブにもなればその迫力もひとしおで、全身から声を振り絞る様にして歌う須田景凪の姿は圧巻の一言に尽きた。古参ファン曰く、『催花』以前は高音に着いていけず息切れが酷かったそうだが……そんな様子は微塵も感じられない。
きっと人知れず練習に練習を重ね、血を吐く気概で歌い続けてきたのだろう。景凪、頑張ってるな……こんなにhiC#安定して……俺も鼻が高いよ……(後方彼氏面)
「この一年間、皆さんはお元気でしたでしょうか?(イケボ)何をされていたでしょうか?(イケボ)自分は、一番音楽に向き合っていた一年間だったと思っていて、めちゃめちゃに曲を作っていました……一番ピュアに音楽を楽しんで、充実した年だったと思います(イケボ)」
うち、音楽むっちゃスッキやねん! という熱い想いを何かほわっとした趣で告白する須田氏。彼は、ポジティブな飾らない感情をさらりと口にする事が多いが、最近はより一層「嬉しい」「楽しい」「大好き」といったストレートな言葉を多く使うようになった気がする。ドリカムかな。
リア充景凪さんMCが終わると同時に、後半トップバッターとして躍り出たのは「無垢」。これまでのしっとりした空気を吹き飛ばすかの如く、一転してハイテンポな楽曲の登場に会場は再び歓喜に包まれる。
「無垢」はとにもかくにも演出が最高過ぎた。ステージ上のミラーボール(それも四つの大盤振る舞い!)から溢れ出す白銀の光の矢と粒子の奔流、それが歌に合わせ四方八方を白く染め上げる光景はシャレオツ極まってたね。
今回の演出、開幕「Alba」の投影MVから思ってたけど、全体的にメチャクチャ気合いが入ってると感じる。『催花』や『Billow』、そしてツーマン『ANSWER』はステージ上で完結する平面的な演出が目立っていたが、『昼想夜夢』は臨場感溢れる立体的な演出が非常に多い。"ライブを一緒に作っていく"という発言通り、会場全体がセットの一部になっている。ここ、須田氏の進化を感じる部分で大変𝑳𝑶𝑽𝑬ですね。
光の粒子がハミングと共に消え去る。すかさず沸き立つ拍手。会場は「無垢」がもたらした豊かな多幸感に満たされ、一種のどかなムードすら漂っていた。
だがこの時、我々観客は知らなかった。知る由もなかった。
須田景凪が眠れる獅子である事を。
瞬間、ギターとベースが荒々しく掻き鳴らされ、ドラムが激しいビートを刻み始める。
豹変した様に荒れ狂い、明滅を始めるライト。心臓が跳ねる。息が止まる。上体に血液が集まる。これは? これは! 来るのか? 来 ち ゃ う の か ! ? あの曲が――!!
ポリアンナ、堂々たるエントリーだーーッッッ!!!!!!!
ここに来ての「ポリアンナ」はマズ過ぎでしょ。
危うく卒倒しかけた。つーか搬送された。脳内で。暴れ回れるという意味では「シャルル」や「veil」をも軽く凌駕する、須田曲屈指の極悪ラウドチューンをココに仕込んでくるのはマズ過ぎる。言うまでもなくイイ意味で。全く須田景凪のヤツ、けしからんな! 最ッ高ッ~~~~!!!!
ギターバッキングが暴力的に疾駆する。ベースが唸りを上げ、高いBPMに跨り凶暴の血渦巻くドラムビートが叩き込まれる。クラップが数千人のオーディエンスから放たれ、どよめく様に場を揺らした。ライトは毒々しい血の色だ。その痛快さ、格好良さと言ったらさ、もうね、死ねますよ。
須田曲はとかくライブ映えするとは思っていたけど、生で聴く「ポリアンナ」はまぁ~~いっとう格別なモンがありますね。普通、愛を歌った「無垢」の後に「嫌いだ 嫌いだ」なんて突き放してくる曲並べるか~? 一気に突き落としにかかる急転直下の破壊力、最高でしかないね!
この熱気を逃すまいとばかりに撃ち込まれる次なる弾丸は「レド」。そして――「シャルル」&「パレイドリア」! この三曲並べるの、ヤバ過ぎないか!? 星が崩壊すんぞ!!!
私はまたぞろ脳内搬送された。ライブ定番コンビと言って過言でない二曲と、最早、ボーカロイド楽曲というカテゴリでは括り切れぬほどの圧倒的な知名度を誇る名曲の畳みかけ。それを今! 一挙に聴けるとは……!!
俺の脳はバグった。テ ン シ ョ ン ッ ! ! !
既に悲鳴を上げていた手足が嘘の様に軽くなった。押し上がる強い情動が、痛覚を悉く奪ってしまったらしい。フロアは引っくり返らんばかりの昂奮の坩堝だ。その熱狂ぶり、先の「ポリアンナ」の比ではない。風 格 か ら し て 違 う 。っぱ何だかんだ須田バルーンと言ったら速くてうるさい曲やってナンボよ。紛う事なき大正義。これだけあれば勝ちですわ!
とにもかくにもとてつもなくエネルギッシュな一幕であった。「レド」はサビでヘドバンしながら腕を振るのが楽し過ぎたし、「シャルル」は壁面に投影された繊細なモチーフと激しい曲のギャップが美しかったし、「パレイドリア」はシャープに叩き込まれるビートからのイントロ突入が秀逸過ぎた。陽の力が凄い。焼き殺されるかと思った。
三曲共『Billow』でも観客をさんざっぱら沸かせてくれたニクい曲だが、あの神経が痺れる様なじりじりした感覚と、腹の底から迫る言い知れぬ昂ぶりは当時よりも胸に迫るものがあった。激アゲナンバーの後に追い激アゲとばかりに沸き曲ひとつまみふたつまみする鮮やかな手腕、こらぁグッツグツに沸かない方が土台無理ってな話なんすよね。
そんで何より何より、須田さんのクラップ煽りがハチャメチャに格好良い事よ。
華奢な腕(これが重要である)を徐に掲げ、気だるげに両手を打ち鳴らすあの姿。見栄や気取りは一切見受けられないのに、見る者を問答無用で従わせてしまうただならぬ趣。クール過ぎる。ついでに色気がアレしてやがる。景凪ホンマ……なんなの? 勲章か?
(よく見えなかったのでアレですが、このクラップを煽る時不敵な笑みを口角に浮かべていたような。やめろよ、オタク死んじゃうだろ)
ライブにおいて真価を発揮すると言っても過言でない「レド」「シャルル」「パレイドリア」。鼓膜が爆裂するかと思うほどの大胆不敵なバンドサウンドに合わせ、ひたすら踊り狂うのは時を忘れるほどに楽しかった!
「いやー……メッチャアツいですね♨(イケボ)」
大きな拍手に応え、照れた様に軽く微笑みながら須田氏。僕もアツいっす。多分体温120度くらいあんじゃねえかな。あと須田さん、奥床しい笑顔が相変わらず可愛さ極まってますね。いとをかし。
ハンドマイクを手にした須田氏は、会場をそっと見回しながら言葉を紡ぐ。いつもより幾分饒舌だ。丁寧に言葉を選んで解かれる話の内容は、ずばり、未だ我々を取り巻く鬱屈した情勢と"その先"に待ち受ける世界の事。
「何か、今は凄いたくさん嫌な事があったりだとか、訳の分からないワクチン(※後述)があったりだとか、色々よく分からない事が起きていて……今はこうやって声が出せない状況でも、僕は、いずれ絶対にまた声が出せるようになる世界が来ると信じていて。でもそれは"元の世界"に戻るのではなく、そういう事があった"先の世界"になると思っていて」
「それでも自分は、多分一生音楽を作っていくと思うんですけど。ここにいる皆さんには出来るだけ長く、わがままを言えば、一生自分の音楽を聴き続けてほしいなと思っています」
景凪クン❗❗ステージ上✨で、ファン🤩に公開プロポーズ(語弊)😍💥は、大胆💕💕過ぎるんじゃないのカナ⁉️
すげー情熱的な内容でたまげた。須田さんは以前から自分の音楽を聴き続けてほしいでごわす的な事はたまに言っていたが、公衆の面前でここまでアツい想いを吐露するとは思わなんだ。割と冷静なMCじゃないかって? 須田景凪が"一生"を使う時はそらもうよっぽどだって事を我々は今一度学ばねばならない。古事記にもそう書かれている。
言ゎれずとも一生聴き続けるに決まってんぢゃん。。ケイナとキモヲタはズッ友だょ。。。
などと著しく知能を低下させていると、ギター一本で奏でられるリズムに乗せてポップな歌声が響いてきた。おお……もう……オタク、もう、泣いちゃう。
「猫被り」をここでブッ込むのは反則でっしゃろーーーー!!!
底抜けに明るくユニークなバンドサウンド。能天気にも思える音像とは裏腹な苦々しく切ない歌詞。それまでの凝った演出とは一線を画す、ただ黄色一色に染まった背景。
最早、余計な装飾など必要ない。痛切な歌声で紡がれる「あなたの語る美しさを 少し分けて欲しい」「あなたの抱くもどかしさを 少し分けて欲しい」という詞こそ、この空間を最も美しく彩ってくれる花なのだから。つーか公開プロポーズ(語弊)の後に「猫被り」はヤバ過ぎないか!? 美しさももどかしさも全て受け入れる気概って、こんなん一蓮托生するしかなくなるじゃん……景凪と一生一緒エンゲージリング受注不可避じゃん……?(オタクは混乱している)
不意に胸が一杯になって、目の縁に何やら温いものが滲み出てきた。心の底で何とか抑え付けられてきた感情が、遂に行き場を失ったようだ。
私はヘドバンで強情に涙を引き戻した。今は泣いてはならぬ。この光景を、歌を、主役の姿を涙で滲ませるわけにはいかぬ。
多くの観客同様、これが最後と私も大いに暴れ狂った。オーディエンス一人一人が細い糸で繋がり、混沌の中にも確かな秩序が存在している。全身全霊で最高の夜を創り出す須田景凪に応えようと、誰もが渾身のボディランゲージで以て己が熱き感情をステージに送り込んでいた。全てが一つになっている。狂喜している。頭はおかしくなっている。ぼかぁもうね、なんにも望むものはないんだね。
アウトロの終了と共に照明が落ち、割れんばかりの拍手をよそにふっと暗くなるステージ。あぁ、終わった。そう思った。
熱く、そして短い夢が遂に終わってしまった……心臓が地べたに転がった様な、先程まで身体の中にあった何かが不意に落下した様な心地を私は覚えた。楽しみはあっという間に終わってしまうものだが……それにしても儚い。腕いってぇ……。
などと、終演後特有のお通夜ムードに突入しかけた……
まさにその瞬間、耳に纏わり付く気だるげな"何か"。
それがとある楽曲のイントロの一部だと気付いた瞬間、私はハッと息を呑んだ。え……そんな……"アレ"やっちゃうの……!?
プロジェクターを通して大スクリーンに映像が映し出される。朽ちたカーテンが風に靡く、灰色の物悲しい光景……これ、見た事ある! つーか見覚えしかねえ! 120回は間違いなく見たヤツ~~~!
鋭利なカッティングを引き連れ、スクリーンに曲名が大きく表れた。
「パメラ」
須田景凪、よくぞやってくれたッ……!!
絶句した。完全に盲点であった。「パメラ」はボカロファンの話題を掻っ攫ってみせた人気曲とはいえ、このタイミングで披露されるとは思わなかった。 まさかラストとは! 前々から思ってたけどさあ、須田さんは、アレか? 基本的にオタク喜ばせる事しか脳にないんですわオレっていう、最高のアーティストか?? 間違いなく最高ですね。五 体 投 地 ! ! !
開幕から予測不能のスリリングな展開を見せ続けてきた本公演。その最後の最後を、予想の遥か斜め上を行く一曲で締めてみせた我らの生きるよすが(※須田さんのこと)
民族音楽めいて優美な、それでいてダークな憂いを忍ばせた疾走感溢れるリズムに身体が躍り出す。次々放たれるリリックはさながら弾丸の如し。鼓膜を撃ち抜かれながら仰ぎ見るアボガド6氏のMVは、普段液晶で眺めるものとは比べ物にならないほど迫力満点。アツい、アツ過ぎる。最低な夜どころかこれ以上ないほどの最高な夜じゃん! 𝑩𝑰𝑮𝑳𝑶𝑽𝑬……
須田氏の歌唱も艶と情感に溢れ最高&最高。音源と全く遜色ねンだわ。人間が歌うにはカロリー消費ハンパない曲ではあるけれど、最後まで失速する事なく見事歌い切っていたのが凄い。流石、実家で奇声を発し続け幾星霜。ガチガチに鍛え上げられた咽喉なだけあります。
「ありがとうございました、須田景凪でした(イケボ)」と丁寧に頭を下げる須田景凪と、おどけた様子で手を振り立ち去ってゆくサポメン衆。惜しみない万雷の拍手で会場は埋め尽くされた。
須田景凪に乾杯!
その後のアンコールでは、グッズの猫被りシャツに着替えた須田氏が優雅に登場。胸元ガッツリ露出してたためにダメージパンツと相まってやたらセクシーだったしMCで頭掻いた時ちょっと二の腕見えちゃってたけど、俺は硬派なキモヲタだからそんなモンじゃ一切動じなかったよ。ほんとだよ。もう一回着てくんないかなアレ。
「メーベル」、「veil」、「密」の三曲を変わらぬ見事な歌声で歌唱してくれました。『Billow』同様に記憶ぶっ飛んでて殆ど覚えてないのがアレ過ぎるんだけど、「メーベル」と「veil」で再度のクラップを巻き起こした後に名曲「密」でしっとりと〆たのが流れとして最高に美しかったのはしっかり覚えてる。文句の付けようもないひと時だった。
一つ気になったとすれば、「メーベル」歌唱後のMCで「さっき、"訳の分からないワクチン"と言ってしまったんですけど"訳の分からないウイルス"の間違いでした」と申し訳なさそうに弁明していた点。
ワクチンとウイルスて。ドジっ子が過ぎないかおい。一番間違っちゃいけないとこピンポイントで間違えるポカを大事なMCでやらかすか普通おい。聴いた時確かに((もしや須田景凪は反の付くアレか?)) と不安半分疑問半分であしゅら男爵みたいな顔になっちまったけどさ。
しっかし、ここぞという時にやらかすとかホントないですわー仕事なんだと思ってんの須田さん? お金取ってる身でナメ過ぎじゃない? ちょっと可愛く苦笑いしたくらいで俺らが許すと本気で思ってるワケ? 普通に許すよね。すぐにしっかり謝れるとこ、景凪の長所だと俺思うから(腕組み後方彼氏面)
こうして幕を引いた激アツ公演『昼想夜夢』。
公演名通り、開幕から終演まで始終夢見心地で臨めたライブだった。歌唱、演出、映像、パフォーマンス、どれをとっても素晴らしく、須田景凪の進化と本公演にかける並々ならぬ意気込みをひしひしと感じ取れた。
かなりハードルを上げていたのに余裕で飛び越されてしまった感と言いますか。トンデモねぇモンを思いがけず魅せ付けられちまったという感覚が未だに色濃く残っております。もう俺は須田の事しか考えられなくなってんだな。
というか何と言ってもセトリが秀逸過ぎましたよね!
ピッカピカの最新曲から懐かしの曲まで、須田景凪曲からバルーン曲までひじょ~~に幅広く歌ってくれたのが本当に有り難かった。
特に「Quote」収録曲やバルーン曲が多く組み込まれていたせいか、やや大人しめだった『Billow』とは一転してハードな楽曲ゴリ推しだったのが聴き逃せないポイントでしたね。十曲近く速くてうるさい曲連発するとか、須田さんは己もサポメンも観客も滅ぼす気なのかと本気で疑ったよ。後半の殺傷力高過ぎるよ。最高なんだね。
それでも、ただブッ飛ばしてる脳筋セトリではないところがまた良い。「MOIL」や「アマドール」などのエモーショナルなナンバーを不意に差し込んだり、「終夜」や「ノマド」などのサプライズ的楽曲も加えたり、全体通して緩急と表現力に富んでいたのがウルトラグッドです。ここらへんに、近年メキメキと頭角を現してきた須田氏の引き出しの多さを感じてぼかぁまた泣きそうになるんですね。お前涙腺緩み過ぎだろ。歳か。
ちなみにファンの方は既にご存知でしょうが、5月27日から本公演の映像がネット配信されるんですってよ。今回参加出来なかった方は是非とも観て、そして聴いてほしい。後悔はさせない。宇宙始まって以来の神セトリを楽しめるのはHuleだけ!
「絶対に絶対にまた会いましょう」と言い残し、深々とお辞儀をして手を合わせた須田景凪。
須田氏の真摯でいてピュアな想いに束の間触れる事の出来た、激アツも激アツな最高のライブ。余白は今後も全力で須田景凪を応援致します! あ~次のワンマン早く来ねえかな~~~!?(強欲)
🎈よくある質問🎈
Q.「何故、須田景凪さんは"歌詞を間違えやすい気がするから目は瞑らず歌った方が良いかも"と仰っていたのにやっぱり目を瞑って歌っているのですか?」
A.「全然分からない。俺達は雰囲気で須田景凪を聴いている」