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友達から、家の壁に隙間が空いているのを埋められる?と依頼された。
中高一緒だった友達で、その子のお父さんは私の高校の部活の顧問でもある。
2月に、夫だけ行って先に修繕を始めていた。

現場調査

私は先生には15年くらい会ってなくて、2月に先生に夫だけ先に行きますって電話したところ、お前も顔を見せろ、と言われていた。
そして5月に久々の再会。先生は何にも変わってなかった。私は変わってないけど顔がちょっと丸くなったなあって言われた。2月に高校時代お世話になった方にも顔が丸い顔が丸いと言われた。丸い自覚は十分にあってですね。

先生は、家にすごく思い入れがあった。きれい好きということがお家にお邪魔してすぐにわかった。わかるもんだなって思う。
そんな先生の家の目の前の車庫は、1階部分が車3台ごと潰れていた。
家の中は、増築部分と既存の部分に大きな亀裂が入っていた。ちょうどそこがお風呂の脱衣所なものだから、隙間風が入ってくるのが辛かったとのこと。せっかくお風呂であったまっても脱衣所が外みたいな気温だろうから・・冬だったし身体にもよくないよね。
見たことない虫もいろいろ入ってくるとのこと。

先生の、お金をかける優先度が高いのが家だった。退職金を使って、老後に奥様と安心して住めるように改築して、そして毎日きれいに使っていたのに。こんなことになって情けないと言っていた。もう家もろともご自身も潰れてもよかった、と思うほどに。

奥様と子どもである私の友達は、そこまで!?と言っていて、私も自分が家を建ててもそこまで思えるかわからないけど、先生がそこまで思っている家がこんなことになって、それを毎日毎日目にするのはその度に気持ちがふさぐだろうな・・・と思った。

思うのが、能登は高齢化が進んでいるけど、高齢者になって自分の家が壊れてしまって、直すにはお金がすごくかかって、ってなると、気力がだいぶ削がれてしまうなと。家って安心する場所であるはずなのにな。悲しいよなって。能登全体が気落ちするよなって。そんなのを考えると私まで涙が出てくる。

先生の家のいろんな箇所を直すのに、1箇所ごとに10万単位でお金がどんどん出ていっているとのこと。
先生ご自身で色々材料を買って外回りを直したりもされてたけど、脱衣所はどうにもならないとのことで私たちに依頼された。

夫は2月に少し外壁をなおし、その後脱衣所を見て、群馬に帰ってきてからずっと考えていた。
下地の木が壁を突き破り、大きな隙間ができており、電気配線も絡んでいる。

脱衣所の隙間
木がパネルを突き破っている

どうやってきれいに収めるか?というのが難しいとのことだった。脱衣所の壁を一度全部壊した方が逆に早い。だけどお金も時間もたくさんかかってしまうので、そこまで大きく壊さずに必要最低限の部分を壊して直してあげたいとのこと。ええ〜これどうやって直すん…私には想像つかんわ。
確かにこんな案件は普通の仕事では出てこないだろうな。

夫が、朝起きて、あ、こうすればいいのか、とか、夜にふと、こうしたほうがいいか?とか言ってることがあった。聞いてるだけじゃ私はあんまりわからなかったけど。とにかくずっと考えていた。

そしていよいよ脱衣所を直す日、夫は脱衣所をやるけど、とにかく日が限られており時間がないとのことで、私は外壁の隙間を埋めるミッションが課された。
え?私もやるの?無理無理!と思ったが、やらざるを得ず、とにかくやってみることに。

隙間にコーキングっていうボンドみたいなやつを打つんだけど、コーキングが永遠に注げてしまう隙間があるので、そういう時に使う、穴の空いていないホースのような、細長ーいスポンジみたいなやつである程度埋めてからコーキングを打てと。
でもその隙間はそのスポンジみたいなやつですらスルスルと入ってしまう永遠があった。あ、これ永遠だ!とか、えーとここに永遠があってね!とか言ってた。

永遠
無限に吸い込まれていくスポンジ

なので発泡スチロールを切って、かたまりで入れてその上に打つことにしたんだけど、隙間が均一ではないので発泡スチロールをいい感じのサイズに切ることすらすんごい難しい。しかも施主である友達が見ている。やりづらー!

がんばって考えているところ

でもなんとかかんとかいい感じに埋められて、おお私やるじゃん~!となった。でもその上のコーキングがまた難易度高くてああ無理無理〜〜〜〜私なんてどうせ・・・・・・となって自己評価の乱気流がすごい。
そしたら友達が、私も手伝う!って言ってやってくれた。友達の子どもも、やりたーい!って言って。いいじゃんいいじゃん、ワークショップみたいでいいじゃん!!って、しめしめよしよしいいぞいいぞと。とにかくコーキングは隙間が塞がればOKなのだ!!ひとりで抱え込まないのが何事も大事だよね?
最終的に夫がその上にカバーのように板を打って、きれいに収まった。夫ナイス!

きれい!めでたしめでたし
早速先生がなんか棒をつけていた

で!脱衣所行ってみたら本当に難しくて、夫がすごく考えながら、その現場に合わせながらやっていた。わかる、さっき発泡スチロールを現場に合わせて切ることがなんと難しいことだったか・・・しかも私のとこは最終的に板がきれいに被さって、表からは見えないところで事なきを得たけど、この人のとこはぜーんぶ見えるとこだし、きっちり数値を出して測らないと、私みたいにあー入らない、ちょっと削ってみよーこんな感じかなーとかそんなんじゃ対応できないやつだ~と思った。

一回はがす!
さらにきれいにはがして
さっきの割れてた濃い茶色のところは空間があるので
パネルをまっすぐ切って空間に木を埋める そしてキッチンパネルを上から貼った
断熱材を入れて隙間風ブロック
ボードを貼る

お風呂の戸の枠のバキバキに割れていたところにキッチンパネルを入れたあたりが超難易度が高く、時間をかけてじっくりとやってた。

隙間のところを壊して断熱材を入れて新たに壁を作る

そこが終わったなと思ったら、ソッコーで↑のところが終わってきれいな壁ができていて、はやっ!と思った。かかる時間が段違い、なんで??と思ったので聞いてみたら、その早く終わったところが、群馬に帰っても考えていた部分だったとのこと。答えが出てたので早かったとのこと。時間がかかったところは複雑で現場見ないとわからなかったところらしい。
普段からよく考えていてなんてえらかったんだ、そして現場で合わせるのも、どちらも、よくきれいに収めたなあ・・・・・と感心した。

ピシッと仕上がった
隙間なくなった〜!

無事終わった時、先生は夫に「あんたの仕事、しびれるわ~~~」って言ってた。
私はそのセリフがしびれるわと思った。喜んでくれてよかった!
そして先生は、常にほうきを持って掃いていた。さすが、そういうところだよね先生、と勉強になった。
友達も積極的に手伝ってくれたし、友達の子どもも掃除してくれた。お茶やお菓子は常に出してくれるし、、本当に優しい一家で心が潤った。

そして、私たちは去年結婚したので、そのお祝いも兼ねて夜に食事に連れて行ってくれた。
能登牛や、先生の後輩の豆腐屋さんの厚揚げ、地酒の竹葉など、先生が、まいぞ~~~~!(うまいぞってこと)っていうものをたらふくご馳走してくださった。

先生が昔、石川県で初めて機動隊が出動した騒ぎのあった中学校に配属されて、令和の世では考えられないバイオレンスの香りがする話をしてくれて腹の底から笑った。楽しかった。

3日連続でお邪魔して、なんとか大事なポイントを終わらせることができてよかった。
GWということもあり先生のご家族がたくさん来ていて、うちの姉と姉の息子も途中で顔を出しに来て、同級生も来たりしてプチ同窓会みたいになって賑やかで。そういうのもなんだかよくって。
こんな形で先生にお会いするとは高校生の私は夢にも思わなかったし、大変なシチュエーションで作業も大変で疲れもあったけれど、
昔私がお世話になった先生だからと、夫が頑張ってくれてありがたかった。
先生が、一緒につぶれてもいいって思うくらい大切なお家を、少しでも直せてよかった。
私にとっては本当に素敵な3日間だった。

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