見出し画像

ほっとするもの

5/2、輪島塗の輪島キリモトさんが仮設工房の建設のボランティアを募集していたので、これは行かねばと思い行ってみた。坂茂設計事務所の設計の工房とのこと。

もともと坂茂さんは気になっていて、2月にキリモトさんの工房を坂茂さんの設計事務所さんが建てられたのをインスタで見たときに、今度輪島に行ったら見てみたいと思っていた。
それと3月にNHKのプロフェッショナルに桐本さんが出ていた回を夫と見ていて、2人とも桐本さんに感銘を受けていたこと。だから参加する一択だった。

桐本さんからは、当日は10時に来てください、とのお返事をいただいた。
2日目に参加することにし、10時に向かってみると、すでに今日の作業は始まっていた。私たちはボランティアだからきっと遅らせてもらえたのだろう。挨拶を済ませると早々に夫が道具の入った腰袋をつけて、説明を聞いてさっと屋根に登っていた。インパクトを使って長いビスを打ち込んでいると、桐本さんが「速い速い!」と驚いていた。


坂茂設計事務所の方たちとボランティアの方々で作業をしていたのだけど、全員施工が本職ではないため、夫が来てビスを打ち始めた時点で、もう次も来てください!とスカウトされていた。
桐本さんはお忙しいのに、たくさんお話しさせていただくことができた。
私が輪島高校出身で、同級生がキリモトさんで働いていたこともあり、親近感を持っていただけたように感じた。


夫がガンガン働いている間、私も窓のサッシを皆さんとはめて防水テープを貼ったり、ビスを打ったり、板にニスを塗ったり、なかなかやらない体験をさせていただいて楽しかった。


休憩時間に坂茂さんのことを調べたら、講演会が面白いとのこと。
金沢から来られたボランティアの方々は、以前坂茂さんの講演会を開催されたことがあり、そのご縁で今回来られたとのことだったので、坂茂さんって面白い方なんですか?と聞いてみたら、険しいお顔をしながらジョークをおっしゃるので場が温まる、とおっしゃっていた。聞いてみたいなあ。

一緒に壁のニスを塗る作業をした方は輪島塗の作家さんで、今後ご自身の工房をこちらと同じものにするか考えているとのことだった。桐本さんは、そんな方々のためにモデルハウスのようにもなるように建てられたとのことで、輪島塗産業全体の復興も考えておられるのだなと感じた。また、そうやって考えておられる方も一緒に建てる作業を手伝っているというのもおもしろいなと思った。
補助金をいろいろ組み合わせて使えばかなり費用を抑えて建てられるということで、普通の仮設工房は2年で出ないといけないところ、こちらは10年持つし、自分のものになるとのこと。


今回、最後に出入り口のドアを取り付けたのだけど、なんと最後、ドアが引っかかってうまく開かなくなってしまっていた。
それを、私はさっぱりわからないけど、夫がなんとかいろいろ駆使してうまいことやって、最後無事に開け閉めできるようになった時に、わあっと拍手が湧き上がっていた。無事に収まってよかった!!
またタイミングが合えば来て欲しいと言われていたので、今後もお手伝いができるといいなと思う。素人でも2日あれば建てることができるという設計になっているよう。もし夫が仲間を連れて行くことができたら、もうちょっとサクサク建つかもしれない。いろんな兼ね合いがあるとは思うけど、何かみんながwin-winになる方法があればなと思う。

輪島塗の作家さんは、やっぱり輪島で作家活動をしたいなとおっしゃっていた。輪島塗をされている方は、自分がやらないとという使命感を持っているように感じる。

この方と、能登はゴールデンウィークがいいよね!!ていうところが完全に一致してうれしかった。本当そうなんです、最高なんです能登のGW。他の人と別にそんな話したことないけど。ここに来て、実は1人でそう思っていた、ってことが他の人と一致したりすることがある。
お米がおいしいっていうのもそう。家でお米を作らなくなって普通に買うようになったけど、たまに食べると、えーーってびっくりする。おいしくて。

プロフェッショナルの番組の中で、桐本さんがおっしゃっていた言葉が印象に残っている。輪島塗を手にした時の「ほっとする」感覚。
美しいなと目を見開くのでなく、日常使いで、なおかついいものだから感じられる感覚なんだなろうなと。
いつも通りの、毎日の生活の、この食卓にまた戻ってきた、ということも含まれているような感じがした。それって安心感とか、今ここにくつろいでいられるという感覚だと思う。
地震があって日常が失われるとなおさらそれを求めるけど、地震がなくても、みんな根本的にはその感覚をこそ求めているんじゃないかな。


完成!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?