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家族のために…父へ

母は常にイラついていたわけでもない。

心のエネルギー値が高いためか、じっとしていられなかったようで朝から晩まで、家事、パート、PTAや近所との付き合いに渡り、とにかくものすごい熱量で働き回っていた。大人になるとこんなに動かないと生きられないのか…といつも大人に不安を感じていた。

だからこそ、父が自由に仕事を選択し、自由に時間を使うスタイルが母には許せなかったようだ。

父は休みになると寝てばかり。時々起きたかと思うと、「おい‼︎お前ら。今から走りに行くぞ」
と言っては、午後の2時辺りから富士五湖一周などと私たち兄弟は勝手気ままに連れ回されていた。
当然、帰ってくる頃には母が鬼婆と化し、父と大喧嘩となる。私たち兄弟はヒヤヒヤしながらも、富士山の夕焼けや、北アルプスの雄大な景色がキレイ過ぎて、今でも鮮明にその光景は心に焼き付いている。母の怒鳴り声も焼き付いている。

私が小学5年生の頃、祖父が亡くなり、家族4人の生活が始まった。

正直、私はホッとしていた。

祖父とのケンカがなくなるから。
しかし今度はその矛先が父に向けられて…

つづく

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