センチメンタル熱海 2 サンバード
私の新しい仕事はウエイター。
ホテルの朝食と夕食のサービスがメインだ。
出勤シフトを見ると出勤が右と左に分かれて、真ん中がポッカリ空白。
これを「中抜け」というらしい。
私はその空白を埋めるように熱海の街に出かける。
不思議と朝の労働の疲れはなく、むしろハイテンションだ。
今日はビーチ近くの喫茶店で早いランチ。
観光客もここまではまだ辿り着けていない時間帯。
案内された席は何故かカーテンの影。
せっかく海が見える場所をと思ったのも束の間、
海からの光が洪水のようで目が開けられない。
眩しすぎてツライ。ああそうかと納得した。
熱海の人は知っているんだ。この強烈さ。
爽やかさを期待したが、とんだ片想いだ。
戸惑っているうちに朝日の勢いがさらに強くなった。
ますます私の影を濃くしている。
締めのコーヒーがお腹に流れ込んだ頃、猛烈な眠気に襲われた。
幸い勤務先の寮はすぐ近く。
フラフラ坂道を上がって部屋に着くと、夕方の出勤まで眠る。
夢も見ない。まどろみもない。
かれこれこんな生活が1ヶ月続いている。