簪には複数の種類がある。
大まかには、玉簪、平打ち簪、花かんざし、ビラビラ簪、チリカン、松葉(まつば)簪、変わり簪、そして現代的簪に分類されることが一般的。
玉簪はその名の通り、様々な素材の玉が装飾になっている、とてもシンプルな簪。
トンボ玉などガラス製の玉を使うこともあれば、上質な簪だと、珊瑚や翡翠、象牙、水晶など、宝飾品として価値の高いものも存在する。
平打ち簪は装飾部分が平たく作られていて、金属製であったり、木製の作品が多い。
特に金属製の平打ち簪は、透かし彫りや象嵌(ぞうがん:珊瑚や翡翠などの異素材を彫った部分にはめ込む技法)が施されている作品が人気で、現代でも簪職人に凝った細工をオーダーして作る人達がいる。
以前に紹介した簪職人の三浦氏や津留崎氏も、花街で働く芸舞妓さんや、一般の簪好きの人たちから、透かし彫りの平打ち簪の注文を請け負っている。
ちなみに前作の同人誌の表紙に掲載されている簪も、三浦氏や津留崎氏にオーダーして作ってくださった、上質かつオリジナリティーのある作品だ。
花かんざしはつまみ細工という技法を用いて、羽二重(はぶたえ:薄い絹製の生地)を使い、花や蝶や鳥などのデザインに作り上げていく簪の一種。
花街では舞妓さんの髪を華やかかつ可憐に彩り、七五三や成人式の時には、一般人でも主役たる女の子たちの髪を飾る。
とても豪華で可愛らしさのある種類の簪であるため、未婚の女性が使うことがかつては一般的。
でもTPOをわきまえているなど、プライベートシーンでは、既婚者でもお洒落用として花かんざしを使っても良い。
私も既婚女性ではあるが、花かんざしは好きなので、お洒落のために髪に挿すことがあるほど。
ビラビラ簪もキラキラとした短冊型の装飾が施されているため、基本は未婚女性が髪を華やかに彩るのに使われる。
短冊型の装飾は『ビラ』とも呼ばれるため、ビラビラ簪という呼称で定着している種類。
チリカンも短冊形の装飾が付いていることが多いが、小さなバネで蝶や花などの装飾が取り付けられていて、その装飾が揺れ動く様子から、チリカンという呼称になった。
ビラビラ簪もチリカンも、やっぱり未婚女性の髪飾りとして使われるケースが目立つものの、プライベートなお洒落であれば、既婚女性が使っても現代では問題なし。
松葉簪は松の木の葉を模したデザインをしており、比較的にシンプルな姿形をしている。
でもシンプルな分、粋な格好良さも兼ね備えているのも魅力といえるだろう。
変わり簪は、茶道具や釣り道具、楽器、魚介類など、文字通りちょっと変わった装飾が取り付けられている簪。
とてもユニークで、お洒落というより、面白みなど遊び心が溢れている種類の簪だ。
そして現代的簪は、ディップアートの技法で作られたり、ビーズやチャーム、ラインストーンを使った装飾が施されているなど、現代から作られ始めた簪の総称。
ハンドメイド作家さんが作っているのも、主に現代的簪といえるだろう。
現代的簪は和洋どちらの服装にも合いやすく、簪初心者にもおすすめの作品が多数存在している。
簪と一口にいっても、その種類は多いし姿形も様々。
でもどれもそれぞれに個性と魅力があり、簪にハマると色んな種類の簪を集めたくなるほど!
事実、私も簪を愛し過ぎているがゆえに、色んな種類の簪を持っている。
簪の種類を知ったうえで、改めてコレクションしていくのも楽しいだろう。
ぜひあなたも色々な簪を収集して、楽しい簪ライフを送ってほしい!