リモートワークに後押しされてますます元気なフレックススペース事業者の動向と課題:今日のアウトテイク#315(2024-09-28)
<アウトテイク>
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#リモートワークに後押しされてますます元気なフレックススペース事業者の動向と課題
世界のフレキシブルオフィス業界のトレンドを、大手の Instant Groupが調査結果を報告していたので、ざっと共有しておく。
ちなみに、フレキシブルオフィスとはフレキシブルワークスペース、フレックススペースとも言う。
従来の一社だけで特定のオフィスを使用するのではなく、何箇所かの異なる施設を複数の企業のワーカーが業務に合わせて共用する。パンデミック後のリモートワークを前提にしたワークスタイルと、柔軟な契約形態が好感されて、大手企業がこぞって利用するようになってきている。
コワーキングも「共用ワークスペース」という意味ではフレックススペースの一種だが、一般にフレックススペースは企業が利用するケースが多い。詳しくはこちらを。
で、調査によると、世界のフレックススペース事業者の79%が拡大を計画しており、その多くが今後2年以内に最大5カ所の新拠点を目標としている。そう、この Instant Groupもその一社だが、海外ではもうエライ勢いなのだ。
まさに、時代のニーズに呼応しているわけだが、多くのテナントビルが空っぽになるに及んで、デベロッパーがフレックススペースに事業転換した、というか、せざるを得なかったと言ったほうが正しいだろう。
この拡大傾向をリードしているのは英国の事業者で、73%が事業拠点を拡大する計画を持っている。これに僅差でアメリカのプロバイダーが55%で続く。特にヨーロッパでは積極的な拡大戦略が見られると報告している。
ただし、課題もないわけではない。その筆頭が運営費の上昇だ。世界のフレックススペース事業者の69%が来年度の料金値上げを計画している。アメリカでは、事業者の55%が料金値上げの主な理由として運営費を挙げており、英国の事業者の36%は値上げの原因をリース費用の上昇としている。
で、もう1つの課題が興味深い。「持続可能性」だ。
フレックススペース事業者の35%以上が、自分のオフィスが再生可能エネルギーを使用しているかどうかわからないと回答している。これ、日本だと100%ではないかしらね。
海外のフレックススペース事業者が持続可能な資源利用や循環型経済(サーキュラーエコノミー)に協力する動きについてはここに書いた。
ここから引用するが、イギリス政府は 、 2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するという目標を掲げている。そのエミッションとは、
場合によっては24時間365日の利用を可能にするがために、「コワーキングはビルのエネルギー効率に悪影響を与える可能性がある」と Instant Groupも警告を発している。いわく、
この課題にフレックススペース事業者として向き合っているかどうか、なのだが、逆にこれに対応することで、環境に配慮したワークスペースを選択するユーザーの需要に応えることが可能になる。
事実、イギリスのフレックススペースを運営する会社が、水力、風力、太陽光発電を含む再生可能エネルギーのヨーロッパ最大の発電事業者と、10年間の企業向け電力購入契約を結んでいる。
そのうち日本でもグリーンエネルギーを利用するコワーキングが当たり前になる日が来るかもしれない。まあ、その前に、社会全体が「持続可能性」の実現を目指す必要はあるけれど。
いずれにしても、リモートワークもしくはハイブリッドワークは今後当たり前のワークスタイルになり、早晩、デフォルトになる。したがって、フレックススペースはますます活況を呈する。冒頭の数字がそれを物語っている。
そしてコワーキングも例外ではない。特にワーカーの生活圏内のコワーキングが増えていく。
ところで、いまだに「RTO(オフィスへもどれ)」運動をやっている企業もあるようだが、肝心の働く人間がその気にならないのだから、いくらやっても時間とコストの無駄だ。いまどき、有能なワーカーほど柔軟な労働環境を好むから、人材確保の点から言っても経営上の損失を招くのは自明の理。
というか、社員を信用していないということを白状しているようなものだから、そんな企業にいつまでも社員が残るはずがない。馬鹿にするにもほどがある。プンプン。
時代に即してアタマを入れ替えられない経営者はそろそろお引き取り願う時期ではないかしらね。
あ、そうそう、ついでだが、「徐々にオフィスに戻りつつある」などという報道もチラホラ見かけるが、企業(というか業界団体)のプロパガンダであることは明らか。カッコ悪いからおやめになることをオススメする。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:Israel Andrade)
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