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カナダ政府の「RTO(オフィスにもどれ)」に新しい展開、ついに訴訟にまで発展:今日のアウトテイク#385(2024-12-07)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・1ヶ月ごとにKindleでコラム集にまとめていってます


#今日のBGM

#今日のコトバ

"右手にロマン、左手にそろばん、心に冗談。"
(くらたまなぶ)

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#カナダ政府の「RTO(オフィスにもどれ)」に新しい展開、ついに訴訟にまで発展

何やらカナダが喧しい。まず、これ。

カナダ連邦政府は、首都圏に公務員向けの共同作業スペースを開設する。最初のワークスペースは12月にオープンする予定。

契約先は、トロントのLAUFT Inc.。その額、なんと1,380万ドル(!)。

このコワーキングはケベック州ガティノーに設けられ、カナダ公共サービス調達省(PSPC)が利用する。

PSPCでは、ほとんどの職員は週に2日、幹部職員は週4日以上、決められた場所に出勤することが義務づけられている。3日目と4日目はフレックス・デーと呼ばれ、職員は常時デスクが割り当てられていないサテライト・オフィスなど、PSPCの他の場所で働く。今回のガティノーのコワーキングスペースは、PSPC職員が「フレックス」日にのみ利用する。

いわゆる「RTO(オフィスにもどれ)」だが、このことに反発している労働組合の動きもあって、そのことは後述する。

ただし、PSPCのスポークスマンによると、「これは、(第三者が提供する)フルサービスのワークプレイス・ソリューションが、カナダ政府の将来の不動産宿泊ソリューションの一部を構成するかどうかを評価するための試験的な契約である」と言っている。つまり、テスト、ですね。

LAUFTが受注した試行契約は、連邦政府のGCcoworkingプログラムとは別のもので、公務員が予約できるデスクを備えたサテライトオフィスを設置するものだ。 PSPCは2019年にこのプログラムを開始し、700人以上の従業員を収容できる13カ所の開設につながっている。

で、これが他の省庁にも波及する可能性は否定されていない。

職員はLAUFTのアプリからデスクや会議室などのスペースを予約することができる。LAUFTの代表は、このシステムは、職員が1ヶ月前にデスクスペースを予約しなければならない現在の政府のシステムよりも、はるかに効率的に使用できるはずだとし、「これが未来だと考えています」と胸を張っている。

その一方、カナダ公務員同盟(PSAC)会長のシャロン・デスーザ氏は、カナダ連邦政府が公務員に週3日の帰社を義務付けている「RTO」に反対する闘いの先頭に立つことを表明している。

デスーザ氏は、245,000人を超える連邦公務員やさまざまな業界の人々の代表として、この決定の根拠、持続可能性、および結果に異議を唱えている。

以下、その内容をざっくりと。

・パンデミックは世界中の政府や組織にリモートワークを受け入れさせ、それが実行可能で、しばしば優れたモデルであることを証明した。

・PSACのメンバーはシームレスに適応し、通勤時間の短縮、ワークライフバランスの改善、より利用しやすい職場環境の恩恵を受けながら生産性を維持している。

・2019年から2023年にかけて行われたカナダ統計局の調査から、リモートワーカーの生産性レベルが高いことを示す説得力のある証拠を指摘している。

・実際、連邦公務員の生産性は2019年から2023年の間に4.5%成長し、民間部門よりも早く成長しており、連邦職員がリモートワークをしている間、すべてという調査結果が出ている。

・(通勤は)交通渋滞や環境悪化などの問題を悪化させ、都市インフラを疲弊させて、労働者にも納税者にも不必要な負担を強いる。

・しばしば害虫がはびこるなど構造的な問題に悩まされる、準備不足のオフィスに公務員を戻させることは、政府のアプローチの非効率性を浮き彫りにしている。

・多くの政府の建物は、義務付けられた人数を収容するための設備が整っておらず、過密で不衛生な状況を招いている。これらの建物を維持・改修するコストは、納税者の負担をさらに増やすことになる。

データの裏付けを示しつつ、いちいちごもっとも。

政府がRTOを正当化する主な理由の1つは、オフィス内でのコラボレーションの必要性だが、数ある研究や先行事例によれば、物理的な存在が本質的にチームワークを向上させるという概念は必ずしも正しくないことが証明されている。

というくだりで、この発言には笑ってしまった。確かに、あるあるですね。

オフィス環境における多くの労働者は、たとえ数フィート離れて座っていても、Microsoft Teamsのようなデジタルプラットフォームを通じて共同作業を続けています。

それよりも、効果的なリモートワークやハイブリッドワークのコラボレーションを促進する方法に関する管理職向けのトレーニングが不足していることが真の問題だと彼女は主張している。

最近の国際的な研究では、リモートワークによって公共部門の生産性が12%向上することに焦点を当てており、リモートワークが正しく管理されればパフォーマンスを向上させる可能性を強調しています。

このことは、先日書いたこの記事でも取り上げている。

さらに、この問題をさらに複雑にしているのは、何千人もの生活に重大な影響を与えるにもかかわらず、政府が労働組合と協議せず、トップダウンで行われたことだと言う。

で、ついに、PSACはキャンペーンを開始し、義務化の合法性に異議を唱える訴訟を起こした。

この訴訟は、政府の恣意的な意思決定と透明性の欠如に対する責任を追及するものである。
カナダ政府が職場の方針に関してこのような難題に直面することはほとんどなかったため、裁判の進行を認めるという裁判官の決定は、重要な前進を意味する。
納税者にとって、この裁判は労働争議以上のものであり、より広範な影響を考慮しない無駄で稚拙な発想の政策に対する抵抗である。

ガチだ。

この記事でハッとさせられたのは、「RTO」への抵抗がいち私企業、政府機関の労使の争いごとではなくなってきている、ということだ。

デスーザ氏の鋭い指摘にあるように、労働環境の改善が地球環境の保全にも影響を及ぼすということ。そしてそれはすべからく労働者、納税者にも関わるということ。時代遅れの職場モデルに固執することがいかにナンセンスかが判る。

むしろ、「政府が先頭を切って柔軟な労働形態を採用することで、他の雇用主に先例を示し、従業員全体にわたってイノベーション、持続可能性、公平性を推進できる」という意見には両手を上げて賛成する。

ところで、こなた日本でも週4日就労制への動きがいよいよ本格化する気配が出てきた。

東京都が来年4月から導入する考えを明らかにした。勤務時間を柔軟に選べる「フレックスタイム制」を活用し、毎週、平日休みを取得できるようにする。このへんはカナダ政府と同じ。

この記事で知ったのだが、茨城県は今年4月、千葉県は6月に同じ制度をスタートさせていたらしい。こうして地方自治体が率先して実行することで、社会全体に波及することが期待される。

で、カナダの例にもあるように、まあ、あんな大掛かりでなくていいので、地方自治体は地元にコワーキングを整備し、官民協働体制で運営していくことで、市民のワークライフバランスをサポートするべきであることを、あらためて強調しておきたい。

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ということで、今日はこのへんで。

(トップ画像:Owen Farmer

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