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大企業はコワーキングではなく「オンデマンドスペース」を使う:今日のアウトテイク#373(2024-11-25)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・1ヶ月ごとにKindleでコラム集にまとめていってます
#今日のBGM
#今日のコトバ
"いまある自分というものは、必然のよってきたる結果なのであって、「なるようにしかならなかった」から「なるようになった」姿なわけです。その必然の帰結である自分の姿に、「失敗」というものさしを持ち込んでも意味のないことです。"
(中島らも)
いまある自分というものは、必然のよってきたる結果なのであって、「なるようにしかならなかった」から「なるようになった」姿なわけです。その必然の帰結である自分の姿に、「失敗」というものさしを持ち込んでも意味のないことです。
— 中島らもキーワードbot (@nakajima_ramo) November 24, 2024
#受講者募集中〜<Ex拡張版>「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング開業運営講座」
コワーキング協同組合は、地域に根ざしたコワーキングスペースの開業・運営ノウハウを体系的に学ぶ『コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング開業運営講座<Ex拡張版>』を2025年1月より開講します。
今回はこれまでの講座をさらにパワーアップしての全7回。さらにマンツーマンのコーチング付きのコースを設けました。
理論は判ったけれども、ではどう実践すればいいのか、という方もおられると思い、月に一回のZoomでのコーチングと、それに加えて随時、チャットで、主にコンテンツマーケティング、ブランディング、コミュニティ運営、イベント企画、等々、コワーキング運営上のよろず相談ごとに対して、個別にアドバイス、コーチングします。
単なる作業場ではなく、地域の人々の多様な活動と交流を支える「まちの拠点」としてのコワーキングスペースを実現したい方は、こちらをご確認の上、ぜひ受講ください。
#AIおばあちゃんが大活躍
これはオモシロイですね〜。よく考えたら、この手があったんですね。
詐欺電話がかかってきたら、それにおばあちゃんに扮したAI「Daisy(デイジー)」が応答する。もう、ここで笑ってしまった。
通話が始まると、AIは相手の声を聞き取り、文字に書き起こす。カスタムの大規模言語モデル(LLM)が応答を生成し、それにパーソナリティーのレイヤーが追加される。その後、カスタムのAIテキスト音声変換モデルで音声の回答を生成する。
だから、ちょっと会話にタイムラグが発生するのだが、それがかえって高齢者らしさを醸し出してるらしい。笑いますね〜。
この開発には元詐欺師(!)の方が監修に参加してるらしい。徹底してる。
Daisyは孫や趣味についてとりとめのない話をしたり、信じられないほどテクノロジーに疎かったり、何の役にも立たない間違った口座情報を教えたりする。いずれにしても犯罪者の時間を拘束し、本当の標的から遠ざけることになる。
そんなのに何十分もつきあわされたら、さすがに逃げ出したくなる。
このビデオを見れば判る。
「もう、1時間も話してるじゃないの!Fu*k!」と怒りをぶちまけて電話を切るところもある。何度もすみませんが、笑いますよね。
ところで、Daisyにはもう1つの目的、「電話で話している相手が、自分が思っている相手とは限らないということを人々に示すこと」だというのは、うーむと思った。
AIとハサミは使いようというお話。
#「cosac」のオンライン説明会やります
全国のコワーキングスペースをネットワーク化し、イベント情報の共有と収益の再分配を実現するスマートフォンアプリ「cosac」のオンライン説明会を開催します。
このアプリのそもそもの目的は何か?どういう仕組みでそれが実現するのか?どんな機能が提供されるのか?
「cosac」はコワーカーの小さな行動のひとつひとつが、コワーキングならびにコワーカーの相互扶助を促進し、いずれひとつの経済圏を構築するその一歩となります。
コワーキング関係者、特にコワーキングスペースの運営者の方、ぜひぜひご参加ください。ただいま、「月額利用料なしのお試しキャンペーン」中でもあります。
どうぞよろしくお願いいたします!
#大企業はコワーキングではなく「オンデマンドスペース」を使う
カシコイ大企業は積極的にコワーキングを使っている。アメリカの保険会社Allstate社は、社員54,000人の4分の1をコワーキングスペースに移動させて、2020年に3億8,200万ドルだったオフィスに要するコストを2024年には1億3,800万ドルに削減した。す、すごい。
利用されているのは、1日単位で予約したワークスペースを利用できるLiquidSpaceというサービス。←ここがミソ。特定のコワーキングではないということ。
いまだに「RTO(オフィスにもどれ)」と言ってる企業も多い中、この数字はかなりのインパクトがあるのではないか。
これに先立ち、同社はオフィスの面積を3分の2に縮小し、シカゴ本社を売却している。このスピード感ある経営判断はさすがと言うべきか。
パンデミック以降、リモートワーク、またはハイブリッドワークがデフォルトになる企業も増えつつある。同社は保険が商品だけに、パンデミックを経て仕事の仕方がまったく変わってしまった、と言う。
顧客は今やオンラインで保険を購入し、管理することに慣れており、見積書の作成や交通事故のクレームの査定といった作業も、直接会って何時間もかかるのではなく、デジタル上で数分でできるようになっている。
「かつては交通事故に遭ったら、車で自宅まで出向くか、修理工場で待ち合わせたものだ」とウィルソンは最近の投資家会議で語った。「今日では、6枚の写真を送っていただければ、数分で対応できます。アジャスターは1日に20件以上のクレームを処理することができます。
まさにDXだ。
ついでに、記事の中から気になる数字を引用しておくと、
現在、ほとんどのホワイトカラー企業ではハイブリッド・ワークが主流であり、オフィスの稼働率は米国の主要都市で流行前の半分程度に留まっているため、企業は不要なスペースを処分しようと躍起になっている。
商業不動産会社のCoStar Group Inc.によると、企業が占有する面積は2020年4月に比べて2億1,000万平方フィート減少しており、Cushman & Wakefieldによると、昨年の時点で3分の2近くの企業がさらなる削減を計画しているという。
一方、フレックススペースのウェブサイトであるCoworkingCafeによると、10月現在、アメリカには7,538のコワーキング・サイトがあり、過去1年間で22%増加している。
「ワークスペースは以前とは違うものでなければならない。 キュービクルの時代は終わったのです」。
そうそう、時代とともに変わるのは必然だ。しかし、1年間で22%増加って、留まるところを知らないな。
同社はアトランタ、インディアナポリス、ミネアポリス、 オハイオ州コロンバスなどに、100人から1,000人の社員がいるが、彼らの働く環境を整備するにあたって、世界中に13,000以上のオフィスやミーティングスペースを提供するLiquidSpaceのCEOに相談したらしい。←こういう情報を持っていた、ということに注目。
LiquidSpaceは、ワイヤレスプロバイダーのT-モバイルUSのような大企業も顧客としてカウントしており、オフィスを閉鎖したロサンゼルスのような都市で毎日場所を予約し、その地域の不動産コストを大幅に削減している。
アマゾンは、近々週5日はオフィスにいるようにと従業員に通達したばかりだが、一部の市場ではオンデマンドスペースの大口ユーザーでもある。
同社CEOは、オンデマンドスペースがいつの日かすべての大企業のミックスの一部になると見ている。
「オンデマンドスペース」、うまいことを言う。そうですね、必要なときに必要な数だけ利用する、なので「オンデマンドスペース」。で、そこで、複数の企業がミックスされる。いわゆるフレックススペースがそれにあたる。
で、ここまで読んできて「お、お」と思ったのは、この記事の最後の部分。2005年にサンフランシスコでCoworkingが始まった頃のことが出てくる。
ちょっと長いが、当時の様子に不案内な方のために引用する。
「コワーキングは、WeWorkが思いつくずっと前から存在していました」と、シチズン・スペースの共同設立者であるタラ・ハント(※1)は言う。
同様のコミュニティはすぐに他の都市でも生まれた。 当時、オフィス不動産の所有者や管理者は、コワーキングをチャンスというよりも奇異なものと捉えていた。
フィラデルフィアのコワーキング・グループ、インディ・ホールの創設者であるアレックス・ヒルマン氏(※2)は、最初の家主に、同じ会社で働いていないが同じ場所で働きたい人々に、オールド・シティの1,200平方フィート、スプリット・レベルのロフトを提供すると説明したときの反応を思い出す。 "彼らは私たちが非常識だと思った"。
2008年の金融危機で不動産価格が暴落し、スペースが割安になると、コワーキングは大繁盛した。専門家や起業家が集まり、アイデアを交換し、交流することを可能にしたのだ。2008年にマンハッタン初のコワーキング・スペースを共同設立したトニー・バチガルポ(※3)は、「多くの人にとってうまくいかない古い仕事のやり方から抜け出す道だった」と語る。
※1=サンフランシスコのCitizen Spaceの創設メンバー。この著作が有名。
※2=Alex Hillman 氏の起ち上げたコワーキングIndyHallはここ。サイトのメタキーワードが「We think working alone sucks.」(ぼくらはひとりで仕事するなんてクソだと思ってる)となってるが、「Working alone sucks.」というのは、ぼくらがコワーキングをはじめた頃のスローガンだった。
※3=Tony Bacigalupo氏は、ニューヨークのコワーキングNewWorkCityの創設者。確か、12〜3年ほど前に日本にも来てて、ぼくもお目にかかった。
で、このあと、WeWorkが登場してきて様子がガラッと変わり、そのあとパンデミックでオフィスが無人になる、というくだりがあるのだが、そこはいいとして、このことにも言及している。
小さな町や郊外でも開花している。雇用主が、通勤にかかる金銭的・精神的負担を軽減することで見返りがあると考えるからだ。
以前から郊外、もしくは地方に、自宅に近い生活圏内にあるコワーキングが続々と生まれていることを書いているが、通勤しないことがデフォルトになってきた今、ワーカーはどこにしても、住んでいても仕事ができるようになってきている。
ところで、ここが気になる。
AllstateとLiquidSpaceの提携は、2005年にサンフランシスコのフェミニスト集団のスペースを数人のベイエリアのスタートアップスタッフが借り、その新風を "コワーキング "と呼んで以来、アメリカでは浮き沈みの激しいワークスタイルに賭けたものだ。
サンフランシスコのフェミニスト集団とは、例のBrad Neuberg氏が2005年8月9日に、はじめてハイフンのない「Coworking」という言葉を作って仲間に呼びかけて、Spiral Museという建物の中でコワーキングを始めたことを言ってるのだが、それから長くコワーキングはフリーランサー、個人事業主のカツドウの場だった。
ちなみにこれは彼が最初のコワーキングに参加を呼びかけたブログ。
それがパンデミックを経験して、企業の労働環境として企業人が利用するようになり、今度はいよいよ提携関係を結ぶようになってきた。←これはある意味、進歩。
そうすると、今後、特定のコワーキングと使用契約を結ぶのではなく、いつでもどこでも希望のスペースを選択して利用できるコワーキングマッチングサービスが伸びてくるのは容易に想像できる。つまり、「オンデマンドスペース」だ。
で、日本でいうと、それはどこだろう?
ただし、それは万人単位で社員を抱える大企業がその気になれば、の話。日本はまだまだ時間がかかるのではないかしらね。どうでしょう?
ただ、そうなったらなったで、それはもうコワーキングではなくなるのではないか、とも思っている。そのことは、また別の機会に書く。
ということで、今日はこのへんで。
(トップ画像:Paymo)
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