企業の「RTO(オフィスにもどれ)運動」のための「粉飾」が蔓延:今日のアウトテイク#318(2024-10-01)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・1ヶ月ごとにKindleでコラム集にまとめていってます
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#企業の「RTO(オフィスにもどれ)運動」のための「粉飾」が蔓延
パンデミックが一段落して、企業の「RTO(オフィスにもどれ)」運動が続く中、オーストラリアのHub Australiaが全国の775人の会員の職場体験の優先順位と懸念事項を調査した非常に興味深いリポートを発表した。
タイトルは「Love Where You Work」。汝の職場を愛せよ。いいね。
オーストラリアでは、従業員のオフィス回帰への抵抗のせいで、記録的な空きオフィス数と低稼働率が続いている。特にメルボルンとシドニーは、世界で最もオフィス復帰の遅い都市のひとつに数えられている。
「RTO」についてはこちらを。
この調査によると、ワーカー側には社会的なつながりや有意義な経験、また在宅勤務では得られないカルチャーを求める傾向が強い。そういうニーズを持つ人たちがコロナ禍後、リモートワークやハイブリッドワークを選択し、その実践の場としてコワーキングを利用している。
だから、こういうワーカーの要求に応えられない限りオフィスに戻ってくる可能性は低い。
オフィス勤務を義務付けたい企業は、この極めて根の深い課題に手っ取り早く対応するために、派手な特典やウェルネス・プログラムを提供しようとしている。
だが、その中には「window dressing」、つまり「粉飾」、平たく言えば「嘘っぱち」があり、「表面的にはよく見えるが、従業員の真のニーズに対応できていない」と、このリポートでは指摘している。
これはなかなか鋭い。確かにありそう。
また、過去5年間における職場文化の大きな変化、物理的オフィスの復活、に加えて、単なる働く場所から従業員が自分の居場所を感じ、モチベーションを高め、価値ある関係を築ける場所への変貌を強調している。
「単なる働く場所から従業員が自分の居場所を感じ、モチベーションを高め、価値ある関係を築ける場所」、それこそコワーキングだ。
コロナ禍以前、企業の従業員がコワーキングを利用することは稀だった。オフィスがあるからそんな必要がなかったからだが、コロナのせいで一時期在宅勤務になり、さりとて自宅では仕事できないワーカーが近隣のコワーキングを使うようになり、リモートワーカーのための共用ワークスペースの利便性と、そしてここが肝心だが、「単なる働く場所から従業員が自分の居場所を感じ、モチベーションを高め、価値ある関係を築ける場所」であることを知るに及んだ。で、ハマった。
いまどき自律的に仕事する人間なら誰でもハマる、とぼくは思ってるのだが、それが実現できない企業は歯がゆいわけで、AmazonやDellのような強硬手段に出るか、でなければ勢い「粉飾」をしてしまう。
しかし、そこには、「シズルばかりでステーキはない」、とリポートは上手い言い方をしている。美味しそうな音にはくれぐれも騙されないように。
ちなみに、「Love Where You Work」リポートでは、こういう報告もある。
オフィスはもはやこれまでの仕事をするだけの環境ではなくなってきている。繰り返すが、「単なる働く場所から従業員が自分の居場所を感じ、モチベーションを高め、価値ある関係を築ける場所」、これが働くワーカーの本当に必要とするワークスペースだ。
そこでの経験が「生産性、社交性、コラボレーション、つながりを促進し、柔軟性、アメニティ、パートナー、サービスなどを提供してくれる」と、Hub Australiaの会員であるオフィスデザイナーも言っている。おっしゃるとおり。そして、こうも言っている。
ハコをデザインすればいいのではなく、体験をデザインする。そういうフェーズに入っている。そのことを具現化して見せてくれているのがコワーキングにほかならない。
コワーキングは体験の場であり、価値ある関係を築ける仕組みだ。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:Hub Australia)
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