ぼくが「コワーキングスペース開業講座」ではなく「コワーキングマネージャー養成講座」をやる理由。
今朝、まさに我が意を得たりという記事に出会ったので紹介しておく。
タイトルは「さらなる高みを目指してコワーキングスペースにおけるコミュニティマネージャーのキャリアアップ戦略」。
コワーキングにコミュニティマネージャーは必須だが、その需要は今後ますます増すという話。後述するが、ぼくが「コワーキングマネージャー養成講座」をやってる理由もまさしくそれだ。
以下、大意はこう。
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このあと、コミュニティマネージャーとして身につけるべきスキルとしては 、「データ分析」「ネットワーキング」「ソーシャルメディア」「デジタルスキル」の4つであり、あらゆる職種の大半が有能な技術力を期待している中、デジタルスキルを磨くことは次のステップに進むのに役立つ、と続く。
キャリア形成をテーマとする記事なので、コミュニティマネージャーにどういうスキルが求められていて、それがコワーキングスペースという環境で育まれ、結果、以後のキャリアアップにつながる、という文脈になっている。
が、ここでぼくが言いたいのは、おっしゃるとおり、コワーキングを健全に運営するためには多種多様なタスクがあり、利用者にはさまざまなニーズとウォンツがあり、したがって、それらに適切に対処しサポートできるスキルとセンスとホスピタリティを持ったコワーキングマネージャー(※)が不可欠だ、ということ。
どうも世間では誤解されているフシがあって、コワーキングマネージャーはwi-fiのパスワードを教えるだけのただの受付では決してない。コミュニティとしてのコワーキングを維持継続させるために、まさに八面六臂で活躍する超人的な人材、それがコワーキングマネージャー。
まず、コワーキングマネージャーには、3つのホスピタリティが求められる。
そしてこれらを前提として、少なくとも以下の業務を日々行う。
・・・とまあ、書いていけばきりがないぐらい、コワーキングマネージャーとは実に大変な仕事なのだ。
「え、そこまでやるの?」とお思いだろうが、そのとおり、ここまでやるのがコワーキングマネージャーだ。コミュニティマネージャーと混同されているけれども、コミュニティマネージャーの仕事はコワーキングマネージャーの仕事のごく一部に過ぎない。
ただ、それだけに、これからはそんな「頼れる=プロと呼ばれるコワーキングマネージャー」がいるコワーキングに人が集まるようになる。
設備がどうとか料金がどうとかというコモディティな次元はすでに過ぎた。そうではなくて、「誰がそこにいるか」でコワーキングが選ばれるフェーズに入っている。いつも言うことだが、「ハコ」ではなくて「ヒト」。
だから、冒頭の引用記事にもあるように、パンデミック以降、欧米のコワーキングチェーンは有能なコワーキングマネージャーを非常に高額な報酬(ひと桁違う)で先を争ってスカウトしている。それだけ希少価値だという証拠。いずれ日本もそうなる。
蛇足だが、コワーキングスペースの経営者とコワーキングマネージャーは必ずしも同一人物ではない。ここでいうコワーキングマネージャーに求められる能力は別に経営者になくても構わない。
ただ、その意味と価値を経営者も承知しておく必要がある。正直、ここを理解していない(いわゆる)オーナーは割と多い。コワーキングを単なる賃貸オフィスとみなしているからだろう。勉強不足のナニモノでもないが(だから利用料金以外に収益モデルを思いついていない)、挙げ句に人件費を節約するために無人管理に走ったりする。本末転倒だ。
(そういう方はこれをお読みいただければ)
なので、そろそろ「頼れる=プロと呼ばれるコワーキングマネージャー」を育成する必要があると考えてカリキュラムを組んで開いたのが、先述の「コワーキングマネージャー養成講座」だ。
前期まではコロナのせいもあって、オンラインで週1回、全8回、2ヶ月にわたって開催してきたが、今期は、リアルにコワーキングスペースに集合する、2泊3日の合宿型講座に編成しなおした。
そのことは、先日も書いたが、講義の概要だけ転記しておく。
(1時限目)コワーキングの基礎知識と実現したいコワーキングの形
・コワーキングの歴史を辿る〜過去・現在・未来
・コワーキングの5大価値とは何か
・コワーキング曼荼羅の8つのテーマ〜それは人と人をつなぐ仕組み
・ローカルに本当に必要なコワーキングを構想する
・ビジネスモデル・キャンバスを描こう(目的と対象を言語化する)
・ダイアログ+発表
(2時限目)コミュニティとしてのコワーキング+コミュニティ運営の基本中の基本
・コラボレーションがすべての原点
・頼りにされるコワーキングマネージャー3つのホスピタリティ
・セミナー・ワークショップを企画する〜起業支援の第一歩
・コワーキングと異業種との協業を考える
・コワーキングはコミュニケーションありき
・ディスカッションよりダイアログ(対話)
・コミュニティ運営に使えるツールとサービス
・チームで運営するということ〜◯人寄れば文殊の知恵
・オンラインコミュニティの運営方法
・ダイアログ+発表
(3時限目)イベントの企画と催行+マーケティングと情報発信はこうする
・なぜイベントをするのか〜コラボと起業支援の第一歩
・単発で終わらせないテーマの選定〜ネタは現場にある
・各地コワーキングの事例
・告知・集客
・決済に使えるツールとサービス
・ローカルだからこそのオンラインイベントの可能性
・情報収集の方法〜これだけはやっておこう
・ファンマーケティングの考え方
・配信コンテンツはこう作る
・数あるツールからどれをどう使うか〜オンラインとオフライン
・最強のマーケティングツール「コミュニティ」の活かし方
・ダイアログ+発表
(4時限目)これからのリモートワークとワーケーション
・テレワークからリモートワーク、デジタルノマドまで〜働き方はこう変わっている
・ワーケーションとコワーケーションはここが違う
・世界のデジタルノマド事情
・ローカルによるワーケーションの企画と催行
・コリビングとコワーキングの関係〜移住と移「働」
※このコマの後半では、会場であるコワーキングのコワーキングマネージャーさんにゲスト講義していただきます。
ワークテラス佐久編
・出会いのきっかけ「ワーケーション」
・そもそもワーケーションの目的に何を置くのか?
・佐久でのワーケーション実践事例
・継続的なつながりを生み出すために意識していること
・ローカルコミュニティとの共創がコトを広げ、好循環を生み出す
・コワーキングは場に必ずしも紐づかない。農園がコワーキング化!?
・まち全体をコワーキングにしてしまおう!佐久地域の様々なコミュニティとの連携
・つながりを深め、その人自身の価値を発揮してもらうためのローカル複業
・ロカール複業化ラボでの実践事例と今後の狙い
・起き始めた変化と好循環
ONOMICHI SHARE編
・ONOMICHI SHAREのこれまでの歩みと取り組み
・コンシェルジュの役割
・地域事業者がつながるためのアイデア
・オノミチシェアチャンネルとは何か
・ワーケーションプランの活用事例
・参加者で考える皆さんの地域でできるワーケーションのコラボレーション
・ダイアログ+発表
(5時限目)フィールドワーク
佐久編:コミュニティ農園にて稲刈り&BBQに参加
・うちやまコミュニティ農園での稲刈り体験
・昼食はバーベキューで交流会
・結果的にコワーキングになった農園
・コワーキングは場に必ずしも紐づかないことを体感
ONOMICHI SHARE編:向島+千光寺と商店街をまち歩き
・渡船にて向島へ
・ロープウェイで千光寺+商店街のまち歩き
・フィールドワークまとめ
(6時限目)収益モデルと運営コストを考える
・デスク利用料の設定〜ユーザーによって変わる料金テーブル
・イベント企画・開催
・利用料以外の収益モデルの事例
・何にコストをかけるべきか〜施設・設備を考える
・行政・自治体補助金の活用
・クラウドファンディング〜同好の士を集めるファンマーケティング
・運営スタイルによるコスト分散
・質疑応答
・ビジネスモデル・キャンバスをもう一度描こう
・各自プレゼンと講評
・まとめ
・修了式
これだけてんこ盛りの内容を、6つのコマでギュ〜っとやる。それだけに濃い体験になることは必至。
コワーキングスペースの運営には必ず成功する方程式というものはない。なぜなら、コワーキングとはさまざまな属性の人たちが交差することで初めて機能するコミュニティだからだ。
そこに集う人たちの目的や課題、想い、背景、そのコミュニティを取り巻く環境、あるいは地域特有のカルチャーなど、さまざまな条件によってその姿は違い、決して一つとして同じものはない。
場合によっては日によってもその顔を変える。チェーン展開するカフェがどこでも同じなのとはわけが違う。コワーキングをカフェだと勘違いしている人はここがお判りになっていない。
従って、この講座では、コワーキング運営に必須のノウハウを共有しつつも、ただ学ぶだけではなく、そこを起点に思考しアレンジしていくことによって、自分(たち)の理想とするコワーキング運営の像を自ら描くことを目指している。
いずれにしろ、コワーキングの優劣を決するのはハードではなくソフト、ヒトだ。その筆頭が、毎日、現場を切り盛りするコワーキングマネージャー。
詳細とお申し込みは以下から。
長野:ワークテラス佐久編
なお、受講申込前の事前相談もオンラインで受け付けているので、ご希望の方は、下記ページの最下部のお問合せフォームからお申し込みくだされたし。
ということで、皆さんのご参加をお待ちしています。
よろしく!
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